売上はあるのに利益が出ない ― Shopee輸出の利益計算でやりがちな5つのミス

月商200万なのに手元に残ったのは3万円だった

月商200万円を達成したのに手元に残ったのが3万円だったという事態は、Shopee輸出で最もよくある失敗パターンだ。原因は「送料・手数料・為替・返品コスト」の4項目を計算に入れていなかったことで、正しい利益計算シートの作成がこのリスクを完全に防ぐ。

Shopee輸出の利益計算の重要性

「先月、月商200万円を超えました!」

そう報告してくれたコンサル先のAさん。Shopee輸出を始めて半年、台湾・タイ・マレーシアの3か国で順調に売上を伸ばしていました。私も「おめでとうございます」と声をかけたのですが、ふとある違和感を覚えました。

「ところで、利益はどれくらい出ていますか?」

Aさんは少し考えてから、「たぶん20万円くらいだと思います」と答えました。「たぶん」という言葉が引っかかりました。そこで、一緒に正確な利益計算をしてみることにしました。

結果は衝撃的でした。

月商200万円に対して、実際の利益はわずか3万円。利益率にして1.5%です。

Aさんは何を間違えていたのか。仕入原価は正確に把握していました。しかし、国際送料の見積もりが甘かった。Shopeeの手数料を正しく計算していなかった。為替差損をまったく考慮していなかった。この3つが重なった結果、売上はあるのに利益がほとんど残らない状態に陥っていたのです。

実はこの状態、Shopee輸出を始めたばかりの方にはかなり多く見られます。国内ECと違って、越境ECには「見えにくいコスト」がたくさんあります。そのコストを正しく把握せずに値付けをすると、売れば売るほど利益が薄くなるという恐ろしい事態になります。

私自身、Shopee輸出を始めた当初は同じような失敗をしていました。月商が伸びているのに口座残高が増えない。その原因がわからなくて、ひたすら売上を追いかけていた時期があります。あの時にちゃんと利益計算をしていれば、もっと早く軌道に乗せることができたはずです。

この記事では、私がこれまでのコンサルティングで実際に見てきた「Shopee輸出の利益計算でやりがちな5つのミス」を紹介します。それぞれのミスについて、なぜ起きるのか、どうすれば防げるのかを具体的に解説していきます。最後には、正しい利益計算シートの作り方もお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。

Shopee輸出の利益構造を理解する

Shopee輸出の利益構造は「売上 – 原価 – 国際送料 – Shopee手数料(2〜6%)- 決済手数料 – 為替コスト – 返品コスト」で計算する。「売上 – 原価」だけで計算するため実際の利益率が想定の半分以下になるケースがコンサル先で頻発している。

利益計算の具体的な方法

まず、Shopee輸出における利益の構造を正しく理解しましょう。利益計算の基本式はこうなります。

利益 = 売上 – 仕入原価 – Shopee手数料 – 決済手数料 – 送料 – 梱包資材費 – 為替差損

国内のメルカリやAmazonで販売している方がShopeeに参入すると、この項目の多さに驚かれることがあります。でも、越境ECではこれらすべてを計算に入れないと、正確な利益は出ません。一つずつ見ていきましょう。

仕入原価

これは説明するまでもないかもしれませんが、商品を仕入れる際にかかるコストです。仕入先からの購入価格に加えて、仕入時の国内送料も含めて考える必要があります。メルカリやヤフオクで仕入れる場合は、送料込みの価格で計算してください。問屋やメーカーから仕入れる場合は、送料が別途かかることが多いので、1個あたりの送料も按分して原価に含めます。

意外と見落としがちなのが、仕入れにかかる「時間コスト」です。店舗仕入れの場合は交通費やガソリン代、ネット仕入れの場合でもリサーチにかかる時間があります。これらを厳密に原価に含める必要はありませんが、時給換算で考えておくと、「この商品は利益が出ているように見えるけど、仕入れの手間を考えると割に合わない」という判断ができるようになります。

Shopee手数料(コミッション + サービスフィー + トランザクションフィー)

Shopeeの手数料は大きく3つに分かれます。ここが国内ECとの大きな違いです。

まずコミッションフィー。これはShopeeに支払う販売手数料で、商品カテゴリーや出店国によって異なりますが、おおむね1%から6%程度です。

次にサービスフィー。これはShopeeのプラットフォーム利用料のようなもので、2%前後が一般的です。

そしてトランザクションフィー。これは決済処理にかかる手数料で、2%程度かかります。

これらを合計すると、販売価格の6%から10%程度が手数料として差し引かれる計算になります。たとえば1,000円の商品を販売した場合、60円から100円が手数料として消えるわけです。月商200万円なら、手数料だけで12万円から20万円になります。

ここで注意が必要なのは、手数料率は出店国によって異なるという点です。たとえばシンガポール、台湾、タイ、マレーシアなど、国ごとに手数料体系が微妙に違います。複数の国に出店している場合は、国ごとに手数料率を確認して計算する必要があります。

決済手数料

Shopeeの手数料とは別に、Payoneerなどの決済サービスの手数料がかかります。Payoneerの場合、受け取り時に1%から2%程度の手数料が発生します。これを忘れている方が非常に多いです。

国際送料

越境ECにおける最大のコスト要因の一つが国際送料です。送料は配送方法、配送先の国、荷物の重量・サイズによって大きく変わります。

たとえば500gの荷物をシンガポールに送る場合の目安を見てみましょう。

EMSなら約1,400円。eパケットなら約900円。eパケットライトなら約700円。この差だけでも、利益に大きく影響します。配送先がタイやフィリピンになると、さらに送料が変わってきます。国ごと、配送方法ごとに料金テーブルを作っておくことを強くおすすめします。

また、Shopee独自の物流サービス「Shopee Logistics Service(SLS)」を利用する場合は、料金体系が異なります。SLSは手軽で追跡もできるため利用している方が多いですが、重量帯によっては他の配送方法より割高になることがあります。自分の取り扱い商品の重量帯で最もコスパの良い配送方法を選ぶことが、利益を残すうえで非常に重要です。

さらに、実重量だけでなく容積重量も考慮する必要があるのですが、これを知らない方が意外と多いです。容積重量については、次のセクションで詳しく説明します。

梱包資材費

段ボール、緩衝材、テープ、ラベルなどの梱包資材のコストです。1件あたり50円から200円程度ですが、月に数百件を発送する場合は無視できない金額になります。月200件の発送で1件あたり100円なら、月2万円です。

為替差損

越境ECならではのコストが為替差損です。お客様が購入した時点のレートと、実際にお金が入金される時点のレートが異なることで発生する損失です。これも後のセクションで詳しく解説します。

このように、Shopee輸出の利益を正確に計算するには、7つの項目を考慮する必要があります。冒頭のAさんは、このうち送料、手数料、為替差損の3つを正しく計算できていなかったために、利益が想定より大幅に少なくなっていたのです。

具体的な計算例

ここで一つ、具体的な計算例を見てみましょう。日本の化粧水をシンガポールで販売するケースです。

販売価格はSGD 50(日本円で約5,500円、1SGD=110円で計算)。仕入価格は1,800円。国際送料がeパケットで900円。Shopee手数料が販売価格の8%で440円。決済手数料が2%で110円。梱包資材費が50円。

これらを差し引くと、利益は2,200円。利益率は40%になります。

この例では利益率40%と非常に良い数字ですが、これはすべてのコストを正確に計算した上での数字です。もし送料を500円と見積もっていたら、実際との差額400円分、利益が減ります。手数料率を5%で計算していたら、3%分の165円が余計にかかります。こうした小さな誤差が積み重なると、最終的に利益が大幅に目減りするのです。

やりがちなミス(1)(2):送料と手数料の計算漏れ

ミス①「送料を売上に上乗せすれば問題ない」という誤解:競合に合わせた価格設定では送料分が完全に赤字になるケースがある。ミス②「Shopee手数料は一律5%」という誤解:手数料はカテゴリ別に2〜6%と幅があり複数カテゴリを取り扱う場合は個別計算が必須だ。

価格設定の戦略

ここからは、具体的なミスの内容とその防ぎ方を見ていきます。まずは送料と手数料に関する2つのミスです。

ミス(1):送料の見積もりが甘い

Shopee輸出で最もよく見るミスが、国際送料の見積もり間違いです。特に多いのが、容積重量を考慮していないケースです。

国際配送では、「実重量」と「容積重量」のうち、大きい方が送料計算に使われます。容積重量とは、荷物の外寸(縦×横×高さ)から算出される仮想的な重量のことです。計算式は一般的に以下の通りです。

容積重量(kg) = 縦(cm) × 横(cm) × 高さ(cm) ÷ 5,000

たとえば、重さ300gのぬいぐるみを送るとします。実重量は300gですが、サイズが30cm×25cm×20cmだとすると、容積重量は30×25×20÷5,000=3.0kg。実重量の10倍の重量で送料が計算されてしまうのです。

コンサル先のBさんは、軽量だけどかさばる雑貨を中心に販売していました。すべての商品について実重量で送料を計算し、その前提で値付けをしていました。結果、全商品が赤字という状態に。容積重量の存在を知らなかったのです。

Bさんのケースでは、まず全商品の外寸を計測し、容積重量を再計算しました。そのうえで、利益が出る価格に修正したところ、価格競争力がなくなる商品がいくつか出てきました。それらの商品は潔くラインナップから外し、容積重量でも利益が出る商品に集中することで、翌月から黒字化に成功しました。

送料のミスを防ぐためのポイントをまとめます。

第一に、必ず実重量と容積重量の両方を計算し、大きい方を使うこと。第二に、配送方法ごとの料金表を最新のものに更新しておくこと。料金は改定されることがありますので、半年に1回は確認してください。第三に、梱包後のサイズで計算すること。商品そのもののサイズではなく、緩衝材や段ボールを含めた梱包後のサイズで計算する必要があります。

特に3つ目のポイントは見落としがちです。商品サイズが20cm×15cm×10cmでも、梱包すると25cm×20cm×15cmになることはよくあります。この差が容積重量に影響し、送料が変わってくるのです。

Bさんのケースから得られる教訓はもう一つあります。それは、商品を選定する段階で送料を考慮すべきということです。「売れそうだから」という理由だけで商品を選ぶのではなく、「この商品はいくらの送料で送れるか」「その送料を含めても利益が出る価格設定ができるか」を最初の段階で検証する必要があります。リサーチの段階で梱包後のサイズと重量を想定し、送料を計算してから仕入れを決める。この順番が大切です。

ミス(2):Shopeeの手数料を正しく把握していない

2つ目のミスは、Shopeeの手数料体系を正確に理解していないことです。

先ほど説明した通り、Shopeeの手数料はコミッションフィー、サービスフィー、トランザクションフィーの3つで構成されています。ところが、「Shopeeの手数料は5%くらい」となんとなく理解して、それで計算してしまう方が多いのです。

コンサル先のCさんがまさにこのパターンでした。ネットで「Shopeeの手数料は5%」という情報を見て、すべての商品の利益計算を手数料5%で行っていました。しかし実際には、Cさんが出店していた台湾でのトータル手数料率は約8.5%。この3.5%の差が、月商150万円のCさんにとっては月に約5万円の想定外のコストになっていました。

手数料のミスを防ぐためのポイントはこうです。

まず、Shopeeセラーセンターで自分の出店国の最新の手数料率を確認すること。手数料率はShopeeが変更することがありますので、定期的なチェックが必要です。次に、コミッション、サービスフィー、トランザクションフィーの3つを個別に把握すること。合計だけでなく内訳を知っておくと、手数料が変更された際にすぐに対応できます。

さらに、Shopeeのバウチャーやプロモーションに参加する際は、その費用も計算に入れることを忘れないでください。たとえば10%オフのバウチャーをセラー負担で出す場合、それは実質的に追加の手数料と同じです。プロモーション期間中は手数料率が実質20%近くになることもあります。

バウチャーやセールに参加すること自体は売上アップに有効な施策ですが、利益計算に反映させなければ、「売上は上がったけど利益は減った」ということになりかねません。

Cさんには、Shopeeセラーセンターの「My Income」セクションを定期的に確認する習慣をつけてもらいました。ここでは、各注文ごとに実際に差し引かれた手数料の内訳を確認できます。自分の利益計算シートの数字と突き合わせることで、計算のズレを早期に発見できます。実際、Cさんは「My Income」を確認する習慣をつけてから、手数料の変更にもすぐに気づけるようになり、値付けの精度が格段に上がったと言っていました。

やりがちなミス(3):為替リスクの無視

Shopeeの売上はドル建てまたは現地通貨建てで計上され、円に換算するタイミングで為替差損が発生する。円高局面では月商200万円の案件で月20〜30万円の為替損失が出るケースがある。為替ヘッジとして「売上の20〜30%を外貨のまま保持する」方法が有効だ。

3つ目のミスは、為替リスクを考慮していないことです。これは越境EC特有の問題であり、国内ECの経験しかない方が特に陥りやすいミスです。

受注時と入金時の為替差

Shopeeで商品が売れた時点の為替レートと、実際に売上金が入金される時点の為替レートは異なります。Shopeeの場合、売上金の入金は通常、商品の配達完了から数日後です。さらにPayoneerなどの決済サービスを経由して日本の銀行口座に振り込まれるまでには、さらに数日かかります。

つまり、注文を受けてから実際にお金を手にするまでに、1週間から2週間のタイムラグがあるのです。この間に為替レートが変動すると、利益が増えることもありますが、減ることもあります。

新興国通貨の変動リスク

特に注意が必要なのが、新興国通貨の為替変動です。Shopeeの主要マーケットであるタイ(バーツ)、マレーシア(リンギット)、フィリピン(ペソ)、インドネシア(ルピア)などの通貨は、米ドルや台湾ドルに比べて変動が大きい傾向があります。

コンサル先のDさんの話をしましょう。Dさんはタイ市場を主力にしていて、月商約100万円をタイで売り上げていました。ある時期、タイバーツが対円で急落したことがありました。1バーツ=4.2円だったのが、2週間ほどで1バーツ=3.8円まで下がったのです。

Dさんはバーツ建てで価格を設定していたため、日本円に換算した売上が約10%減少しました。月商100万円のうち約10万円が為替差損として消えた計算です。利益率が20%だったDさんにとって、利益の半分が吹き飛んだことになります。

為替リスクへの対策

では、為替リスクにはどう対策すればよいのでしょうか。いくつかの方法をお伝えします。

第一に、価格設定時に為替バッファーを持たせること。現在のレートぴったりで計算するのではなく、5%程度の為替変動を見込んだ価格設定をします。たとえば、1バーツ=4.2円の時期なら、1バーツ=4.0円で計算して値付けするということです。

第二に、定期的に為替レートを確認し、必要に応じて価格を改定すること。月に1回、為替レートの変動をチェックして、大きく動いていれば価格を調整します。5%以上の変動があれば、価格改定を検討するのが目安です。

第三に、複数の国に分散して出店すること。タイだけ、台湾だけに集中するのではなく、複数の国に出店することで為替リスクを分散できます。ある通貨が下落しても、別の通貨が上昇していれば、全体としてのダメージは軽減されます。

第四に、Payoneerの口座に外貨のまま保有し、レートが有利なタイミングで日本円に換金する方法もあります。ただし、これは為替の知識がある程度必要ですし、資金繰りに余裕がないと難しい方法です。

Dさんの場合は、第一の方法(為替バッファー)と第三の方法(複数国への分散)を組み合わせて対策しました。タイ一国集中からシンガポールとマレーシアにも出店し、すべての国で5%の為替バッファーを持たせた価格設定に変更しました。その結果、為替変動があっても利益が大きく目減りすることはなくなりました。

補足ですが、為替の問題は「損失」だけでなく「機会損失」にもつながります。たとえば、円高の時期に価格を据え置いていると、現地通貨建てでは割高になり、売上自体が落ちてしまいます。逆に円安の時期は、現地通貨建てでは割安になるので、値上げしても売れるチャンスです。為替の動きを定期的にチェックし、価格を柔軟に調整できる体制を作っておくことが、長期的な利益の安定につながります。

やりがちなミス(4)(5):在庫リスクと返品コスト

ミス④「売れ残り在庫の処分コストを計算に含めない」:無在庫でも在庫を持つ場合も処分コストの計上が必要だ。ミス⑤「返品コストをゼロとして計算する」:返品率3〜5%なら月商200万円で6〜10万円の返品損失が発生し、計画が破綻する。

資金管理の基本

4つ目と5つ目のミスは、在庫リスクと返品コストに関するものです。この2つは関連が深いのでまとめて解説します。

ミス(4):在庫リスクを計算に入れていない

「無在庫販売だから在庫リスクはない」と思っている方がいます。確かに、注文が入ってから仕入れる無在庫方式なら、売れ残りのリスクは低いです。しかし、完全にリスクがゼロかというと、そうではありません。

たとえば、注文が入ってから仕入先に発注したら在庫切れだったというケースがあります。この場合、キャンセルになりますが、Shopeeではキャンセル率が高くなるとペナルティを受ける可能性があります。最悪の場合、アカウント停止もありえます。

また、仕入れたものの、お客様都合でキャンセルされることもあります。その場合、仕入れた商品が手元に残ります。他のお客様に売れればいいですが、売れなければ不良在庫です。

在庫を持って販売する場合は、さらにリスクが大きくなります。在庫回転率を意識する必要があります。在庫回転率とは、一定期間に在庫が何回入れ替わったかを示す指標です。

計算式は以下の通りです。

在庫回転率 = 売上原価 ÷ 平均在庫金額

たとえば、月の売上原価が50万円で、平均在庫金額が100万円なら、月次の在庫回転率は0.5回。つまり、在庫が一巡するのに2か月かかるということです。

Shopee輸出の場合、在庫回転率は月1回以上を目指すべきです。つまり、仕入れた商品が1か月以内にすべて売れるペースです。回転率が低いということは、資金が在庫に寝てしまっているということであり、その分の機会コストが発生しています。

コンサル先のEさんは、「まとめて仕入れた方が単価が安い」という理由で、人気商品を一度に大量に仕入れていました。しかし、予想より売れるペースが遅く、3か月分の在庫を抱えてしまいました。その間、約80万円の資金が在庫に固定され、新商品の仕入れや広告費に回せない状態が続きました。

Eさんには、まず仕入れ量を「2週間分の販売予測量」に制限するようにアドバイスしました。単価は少し上がりますが、在庫リスクは大幅に減ります。さらに、売れ行きが鈍っている商品は価格を下げて早めに現金化するという判断基準も設けました。具体的には、2週間売れなかったら10%値下げ、1か月売れなかったら20%値下げ、というルールです。

このルールを導入した結果、Eさんの在庫回転率は月0.3回から月1.2回に改善しました。資金が在庫に寝てしまう期間が短くなったことで、新しい商品のテスト仕入れに回せる資金が増え、結果的に売れ筋商品の発掘スピードも上がりました。在庫管理は地味な作業ですが、利益に直結する重要なポイントです。

もう一つ、Eさんのケースで学べるのは、「安く仕入れる」ことと「利益を最大化する」ことは必ずしもイコールではないという点です。まとめ買いで仕入れ単価を下げても、売れ残りが出れば結局損をします。仕入れ単価だけでなく、在庫リスクも含めたトータルコストで判断する視点が必要です。

ミス(5):返品コストを見込んでいない

5つ目のミスは、返品にかかるコストを利益計算に入れていないことです。

Shopeeでは、お客様が商品を受け取った後に返品・返金を要求できる仕組みがあります。商品の破損、説明と異なる商品、お客様都合の返品など、理由はさまざまです。

返品が発生した場合、以下のコストが発生します。

売上の取り消し + 返送料 + 商品の損傷による価値低下 + 対応にかかる時間コスト

越境ECの場合、返品時の送料は国際送料です。お客様から日本への返送料がかかります。この費用はセラー負担になるケースが多いです。商品によっては、返送料だけで商品価格を超えることもあります。

さらに、返品された商品が再販できる状態かどうかも問題です。開封済みの商品は新品として再販できませんし、配送中に破損している可能性もあります。

では、返品コストをどう利益計算に反映させればよいのでしょうか。

私がコンサル先に勧めているのは、想定返品率を設定して、その分を利益計算に組み込む方法です。具体的には、カテゴリーごとに過去の返品率を集計し、その比率分のコストを全商品に上乗せします。

たとえば、返品率が3%で、返品1件あたりの平均コストが2,000円だとします。月に100件販売するなら、返品は3件。返品コストの合計は6,000円。これを100件で割ると、1件あたり60円が返品コストの引き当てになります。

この60円を利益計算に組み込んでおけば、実際に返品が発生しても「想定内」として対処できます。逆に返品が発生しなければ、その分は利益の上振れになります。

商品カテゴリーによって返品率は大きく異なります。アパレルや靴はサイズ違いによる返品が多く、返品率が5%から10%になることもあります。一方、消耗品やコスメは比較的返品率が低い傾向があります。自分が扱う商品カテゴリーの特性を理解して、適切な返品率を設定してください。

また、返品を減らすための予防策も重要です。商品説明を正確かつ詳細に書く。商品写真を複数の角度から撮影する。サイズ表を掲載する。梱包を丁寧にして配送中の破損を防ぐ。こうした基本的なことが、結果的に返品コストの削減につながります。

越境ECの場合、返品が発生した際の対応も国内ECとは異なります。国際返送のコストが高すぎる場合、商品を返送してもらわずに返金だけ行う「返品なし返金」を選択することもあります。商品の単価が低い場合は、返送料のほうが商品代金より高くなるため、この判断が合理的なケースも多いです。ただし、この方法を悪用されるリスクもあるため、返品なし返金のルールは慎重に設定する必要があります。

コンサル先では、商品単価が1,500円以下の場合は返品なし返金、1,500円以上の場合は返品を依頼する、というルールを基本にしているところが多いです。もちろん、商品の状態や顧客とのやり取りの内容によって柔軟に判断しますが、基準を持っておくことで判断に迷わなくなります。

正しい利益計算シートの作り方

正しい利益計算シートの必須項目は「売上・原価・国際送料・Shopee手数料・決済手数料・為替コスト(売上の2%目安)・返品コスト(売上の3〜5%目安)・広告費」の8項目だ。最終的な実利益率が20%以上であることを出品判断の基準にすることを推奨する。

ここまで5つのミスを見てきましたが、これらのミスを防ぐために最も効果的な方法は、正しい利益計算シートを作って、商品ごとに利益を管理することです。

私がコンサル先に導入してもらっている利益計算シートの作り方を紹介します。Googleスプレッドシートを使えば、無料で作成でき、複数のデバイスからアクセスできるのでおすすめです。

利益計算シートに必要な項目

最低限、以下の項目を入れてください。

商品基本情報として、商品名、SKU番号、出店国、販売価格(現地通貨)、販売価格(日本円換算)の5項目。

コスト項目として、仕入原価、国際送料(実重量・容積重量の大きい方で計算)、Shopeeコミッションフィー、Shopeeサービスフィー、Shopeeトランザクションフィー、決済手数料(Payoneerなど)、梱包資材費、返品引当金の8項目。

計算結果として、コスト合計、利益額、利益率の3項目。

合計16項目です。多いと感じるかもしれませんが、一度テンプレートを作ってしまえば、新商品を追加する際は商品名、仕入原価、販売価格、送料を入力するだけで自動計算されるように設定できます。

シートの具体的な作り方

Googleスプレッドシートで作成する手順を説明します。

まず、1行目にヘッダーを入力します。A列からP列まで、先ほどの16項目を順番に入れていきます。

次に、計算式を設定します。たとえば、販売価格(日本円換算)は「=販売価格(現地通貨)×為替レート」という式になります。為替レートは別のセルに入力しておき、そこを参照するようにします。こうすることで、為替レートが変わった時に1か所を変更するだけで全商品の利益が再計算されます。

Shopeeの各手数料は、販売価格に手数料率を掛ける式を入れます。手数料率も別セルに入力しておけば、Shopeeが手数料率を変更した際にすぐ対応できます。

送料は商品ごとに異なるため、手入力が基本です。ただし、配送方法と重量から自動計算する式を組むことも可能です。送料テーブルを別シートに持っておき、VLOOKUP関数で参照するのがスマートなやり方です。

返品引当金は、「販売価格×想定返品率×返品1件あたりコスト÷販売価格」で計算します。これも想定返品率を別セルに入れておけば、一括で調整できます。

コスト合計は各コスト項目の合計。利益額は「販売価格(日本円換算)-コスト合計」。利益率は「利益額÷販売価格(日本円換算)×100」です。

利益率の基準

利益計算シートが完成したら、次に決めるべきは「利益率の基準」です。

私がコンサル先に推奨している基準は以下の通りです。

最低ライン:利益率15%以上。これを下回る商品は販売を見直すべきです。

目標ライン:利益率20%から30%。この範囲に収まるように価格設定をします。

理想ライン:利益率30%以上。ここを超える商品は優先的に在庫を確保し、販売を強化します。

15%以下の商品は、よほどの理由がない限り取り扱いを見直した方がいいです。薄利多売の戦略もありますが、Shopee輸出では手数料や送料の変動があるため、利益率が低い商品は少しの変動で赤字に転落するリスクがあります。

月次での振り返り方

利益計算シートを作ったら、月に1回は振り返りを行いましょう。チェックするポイントは以下の通りです。

第一に、各商品の実際の利益率は想定通りか。想定と実績の乖離が大きい商品があれば、原因を調べます。送料が想定より高かったのか、為替が動いたのか、返品が多かったのか。原因がわかれば対策が打てます。

第二に、利益率が15%を下回っている商品はないか。あれば、価格改定か取り扱い中止を検討します。

第三に、為替レートは前月から大きく変動していないか。5%以上変動していれば、価格改定を検討します。

第四に、Shopeeの手数料率に変更はないか。Shopeeは手数料の改定を行うことがありますので、セラーセンターで最新情報を確認します。

第五に、全体の利益額と利益率の推移はどうか。月ごとの推移を見ることで、ビジネスが健全に成長しているかどうかがわかります。売上が伸びているのに利益が横ばいなら、コスト構造に問題がある可能性があります。

利益計算シート導入で利益率が改善した事例

最後に、利益計算シートの効果を示す実例を紹介します。

コンサル先のFさんは、台湾とタイで月商約300万円を売り上げていました。しかし、利益をきちんと計算していなかったため、利益率は約10%。月に約30万円の利益でした。

Fさんに利益計算シートを導入してもらい、全商品の利益を可視化しました。すると、いくつかの発見がありました。

まず、全商品の約20%が赤字だったこと。送料やら手数料やらを正確に計算すると、売れば売るほど損をする商品が約30品目あったのです。Fさん自身、「まさか赤字だとは思わなかった」と驚いていました。

次に、利益率40%を超える「稼ぎ頭」の商品が10品目ほどあったこと。これらの商品に販売を集中させることで、全体の利益率を引き上げることができます。

Fさんは以下の施策を実行しました。赤字商品は販売を停止。利益率15%以下の商品は価格を改定。利益率の高い商品は広告費を増やして販売を強化。全商品の送料を容積重量で再計算。為替バッファー5%を価格に反映。

その結果、利益率は10%から25%に改善。月商は300万円から250万円に下がりましたが、利益は30万円から約63万円に増加しました。売上は減ったけれど、利益は倍以上になったのです。

「売上を追うのではなく、利益を追うことの大切さがようやくわかりました」というFさんの言葉が印象的でした。

Fさんの事例から学べることは、利益計算シートは「作って終わり」ではなく、「使い続けることで効果が出る」ということです。シートを導入した直後は、データ入力が面倒に感じるかもしれません。しかし、1か月、2か月と続けていくうちに、自分のビジネスの利益構造が手に取るようにわかるようになります。どの商品が稼ぎ頭で、どの商品が足を引っ張っているのか。どのコストが最も大きく、どこを改善すれば利益が伸びるのか。こうした判断が数字に基づいてできるようになるのです。

著者: trade-king.biz 編集部

物販・輸出入ビジネス歴12年以上。eBay・Amazon・ShopeeなどのクロスボーダーEC、AI活用による業務効率化、コンサルティングを専門とする。累計コンサル支援社数は300社以上。

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