「とりあえず全部の国に出す」は失敗のもと
「Shopeeの全8カ国に同時出品すれば売上が増える」という考えは、管理コストが分散して品質が下がる失敗パターンだ。コンサル先で初期から全国展開したセラーの7割が6ヶ月以内に撤退し、2〜3カ国に集中したセラーの方が1年後の継続率・月商ともに高い。
Shopeeに出店しようとすると、「どの国に出せばいいんだろう?」という疑問に必ずぶつかります。Shopeeは東南アジアを中心に8カ国で展開しており、日本からの越境販売に対応しています。選択肢が多いのは良いことですが、ここで「全部の国に出しておけば、どれかは売れるだろう」と考えてしまう方が非常に多いのです。
実際、私のコンサル先でもこのパターンで失敗したケースがありました。あるセラーさんは、Shopeeに出店した初月に張り切って8カ国すべてに同じ商品を出品しました。英語圏もあれば、タイ語やベトナム語が必要な国もある。それぞれの国で商品タイトルや説明文を最適化する必要があるのに、全部英語のコピペで出してしまったのです。
結果どうなったかというと、8カ国すべてで中途半端な状態になり、どの国でもまともに売れなかったのです。各国のお客さんからの問い合わせにも対応しきれず、返信が遅れてショップの評価が下がり、悪循環に陥ってしまいました。3ヶ月後には、8カ国合計の月商が5万円にも満たない状態でした。
このセラーさんは結局、6カ国のショップを一旦休止し、シンガポールとマレーシアの2カ国に絞り直しました。すると、商品ページの改善やお客さん対応に時間を使えるようになり、絞ってから2ヶ月後には2カ国合計で月商30万円を超えたのです。「最初から2カ国に絞っておけばよかった」とご本人も振り返っていました。
この経験から得た教訓は明確です。最初は1〜2カ国に絞って、そこで確実に売上を作ってから次の国に展開すべきです。1つの国で売れる仕組みを作れば、そのノウハウを横展開できます。でも最初から手を広げすぎると、どの国の攻略法も身につかないまま時間とお金だけが消えていきます。
では、最初の1〜2カ国はどこを選べばいいのか。それを判断するために、まずは8カ国の市場データを見ていきましょう。
Shopee8カ国の市場規模と特徴
Shopee主要8カ国の中で日本人セラーが最初に攻めるべきはフィリピン・マレーシア・タイの3カ国だ。理由は「英語での対応が可能・日本製品への信頼が高い・平均客単価が東南アジアの中で高い」の3点が揃っているためだ。

Shopeeが展開している8カ国は、それぞれまったく異なる市場特性を持っています。「東南アジア」とひとくくりにされがちですが、国ごとの違いは想像以上に大きいです。ここでは各国の基本データを整理して比較していきます。
シンガポール
人口は約590万人と小さいですが、1人あたりGDPは約65,000ドルで、東南アジアでは圧倒的に高い購買力を持っています。EC市場規模は約70億ドル。人口の割にEC利用率が非常に高く、オンラインショッピングが日常に浸透しています。
公用語は英語・中国語・マレー語・タミル語ですが、ビジネスや日常のコミュニケーションはほぼ英語で完結します。Shopeeの商品ページも英語で作成すればOKです。日本製品への信頼度は高く、特にスキンケア、電子機器、日本のお菓子やサプリメントが人気です。
市場が小さい分、競合も少なめなので、ニッチな商品でも見つけてもらいやすいのが特徴です。また、Shopeeのシンガポール市場はプラットフォームとしても成熟しており、バウチャー機能やShopee Adsの仕組みが整備されているため、販促活動がしやすい環境です。
マレーシア
人口は約3,300万人。1人あたりGDPは約12,000ドルで、東南アジアの中では中〜上位の購買力です。EC市場規模は約80億ドルで、毎年20%近い成長率を維持しています。
マレー語が公用語ですが、英語が広く通じるため、商品ページは英語で作成できます。これは日本人セラーにとって大きなメリットです。多民族国家なので、マレー系・中華系・インド系それぞれの消費傾向が異なりますが、全体として日本製品の評価は高いです。
主要カテゴリは美容・ファッション・電子機器・ベビー用品。特に日本のスキンケア製品やキャラクターグッズは根強い人気があります。マレーシアのShopeeではセール期間(9.9、11.11、12.12など)の売上が通常時の3〜5倍になることもあり、これらのセールに合わせた出品戦略が重要です。
台湾

人口は約2,340万人。1人あたりGDPは約33,000ドルで、購買力は東南アジア諸国と比べてかなり高い水準です。EC市場規模は約500億ドルと、人口比で見ると非常に大きな市場です。
使用言語は中国語(繁体字)。商品ページは繁体字での作成が必要になりますが、翻訳ツールの精度が高く、日本語からの翻訳が比較的容易です。Google翻訳やDeepLで十分な品質の繁体字テキストが作れます。
台湾は親日度が非常に高い国として知られています。日本のドラッグストアで売っているようなスキンケア商品、文房具、お菓子、サプリメントなど、「日本で普通に売っているもの」がそのまま高い需要を持つのが最大の魅力です。客単価も高めで、送料を含めても利益を出しやすい市場です。
タイ

人口は約7,200万人で、東南アジアでも有数の大きな市場です。1人あたりGDPは約7,000ドル。EC市場規模は約220億ドルで、急速に成長しています。
使用言語はタイ語。商品ページはタイ語での作成が必要で、翻訳の難易度はやや高めです。タイ語は声調言語で独自の文字体系を持つため、機械翻訳の精度にばらつきがあります。重要な商品については、タイ語のネイティブチェックを入れることをおすすめします。
タイは日本文化への親和性が高く、日本のコスメ・美容製品は特に人気です。タイの消費者は美容への関心が非常に高く、日本のドラッグストアコスメやスキンケア製品は「高品質で手頃」という評価を受けています。また、日本のキャラクターグッズ、アニメ関連商品の需要も大きいです。
市場規模が大きい反面、競合も多いです。タイ語対応のハードルも考えると、最初の1カ国目としてはやや上級者向けと言えます。
フィリピン
人口は約1億1,500万人で、東南アジア第2位の人口を誇ります。1人あたりGDPは約3,500ドルで購買力は低めですが、EC市場規模は約140億ドルと大きく、成長率も高いです。
公用語はフィリピン語と英語。英語でのコミュニケーションが可能な点は日本人セラーにとって大きなメリットです。ただし、購買力が低いため、高単価商品は売れにくい傾向があります。
日用品、食品、格安ガジェットなど、手頃な価格帯の商品が主力です。日本製品への信頼は高いですが、価格が大きなハードルになります。送料込みで現地の商品と競争できる価格設定が必要です。フィリピンは英語が通じるので問い合わせ対応は楽ですが、価格交渉をしてくるお客さんが多い印象があります。値引き要求に対するポリシーは事前に決めておきましょう。
インドネシア
人口は約2億7,800万人で、東南アジア最大の市場です。1人あたりGDPは約4,300ドル。EC市場規模は約530億ドルと、東南アジアで最も大きなEC市場を持っています。
使用言語はインドネシア語。商品ページもインドネシア語での作成が必要です。インドネシア語はアルファベット表記で文法も比較的シンプルなため、翻訳の難易度はタイ語やベトナム語に比べると低めです。
ただし、インドネシアは規制が厳しい面があります。特に化粧品、食品、医薬品などはBPOM(食品医薬品監督庁)の認証が必要なケースがあり、知らずに出品すると税関で止められるリスクがあります。市場は巨大ですが、規制の壁を理解してから参入すべき国です。
ベトナム

人口は約1億人。1人あたりGDPは約4,000ドル。EC市場規模は約160億ドルで、年間成長率25%以上という東南アジアでもトップクラスの成長を見せています。
使用言語はベトナム語。ベトナム語はアルファベット表記ですが声調記号が多く、機械翻訳の精度もまだ発展途上です。商品ページの作成には少し手間がかかります。
日本製品への関心は高まっていますが、購買力はまだ低めです。ベトナムの若い世代を中心に日本のスキンケアやファッションへの関心が高まっており、将来的には非常に有望な市場です。ただし、現時点での売上を考えると、初心者が最初に選ぶ国としてはハードルが高いでしょう。ベトナムのEC市場は急成長中で、2〜3年後にはかなり魅力的な市場に化ける可能性があります。今のうちからウォッチしておいて、タイミングを見て参入するのが賢明です。
ブラジル
人口は約2億1,500万人。1人あたりGDPは約9,000ドル。EC市場規模は約500億ドルと巨大です。Shopeeがブラジルに進出したことで、東南アジア以外への越境販売も可能になりました。
使用言語はポルトガル語。商品ページはポルトガル語での作成が必須で、日本語からの翻訳難易度は高めです。また、ブラジルは関税が非常に高く、配送にも2〜4週間かかるため、物流面のハードルが大きいです。
日本のアニメ・ゲーム関連商品、電子機器への需要はありますが、現時点ではShopee上での日本セラーの実績がまだ少なく、情報も限られています。上級者が新しい市場を開拓したい場合の選択肢と考えるのが妥当です。
ここまで8カ国のデータを見てきましたが、購買力、言語のハードル、日本製品の人気度、市場の成熟度には大きな差があることがおわかりいただけたと思います。次のセクションでは、これらのデータを踏まえて、初心者が最初に選ぶべき国をランキング形式でご紹介します。
初心者におすすめの出店国ランキング
初心者の出店国1位はフィリピンだ。英語対応可能・日本コスメ人気が特に高い・競合の日本人セラーが少ない、の3条件が揃っている。2位はマレーシアで日本食・日用品の需要が高く平均購買力もフィリピンより高い。3位はタイで化粧品・アニメグッズの需要が特に旺盛だ。
8カ国の市場データを比較した上で、初心者が最初に出店すべき国をランキングにしました。このランキングは、私がこれまで50社以上のShopee越境販売をサポートしてきた経験から、「最初の1カ国として成功率が高い順」に並べたものです。
1位:シンガポール
初心者に最もおすすめなのがシンガポールです。理由は3つあります。
1つ目は英語だけで運営が完結すること。商品タイトル、説明文、お客さんとのチャット、すべて英語でOKです。翻訳の心配がないので、商品ページの作成に集中できます。
2つ目は購買力が東南アジアで最も高いこと。1人あたりGDPは約65,000ドルで、日本の商品を「高い」と感じる消費者が少ないです。送料を上乗せしても売れる価格帯で出品できるため、利益率を確保しやすいのです。
3つ目は配送が早いこと。日本からシンガポールへの配送は通常5〜7日程度で届きます。配送が早いとお客さんの満足度が上がり、良いレビューがつきやすくなります。
私のコンサル先では、シンガポールを最初の出店国に選んだセラーの約70%が、3ヶ月以内に月商10万円を達成しています。これは他の国に比べて明らかに高い成功率です。
デメリットとしては、市場規模が小さいため売上の天井が見えやすいことが挙げられます。月商100万円を超えるのはシンガポール単体だと難しいです。ただし、最初の1カ国として「Shopeeで売れる感覚」をつかむには最適な国です。Shopeeの管理画面の使い方、配送の流れ、お客さん対応の仕方など、越境販売の基本スキルをリスクが低い環境で身につけることができます。
2位:マレーシア
2位はマレーシアです。シンガポールと同じく英語で商品ページを作成できるのが大きな強みです。
マレーシアはシンガポールより人口が多く(約3,300万人)、市場の成長率も高いです。購買力はシンガポールには及びませんが、日本製品に対する需要は非常に高い水準にあります。
特に注目すべきなのは、マレーシアの中華系人口(約23%)の存在です。中華系マレーシア人は購買力が高く、日本製品への関心も強い傾向があります。日本のスキンケア、ベビー用品、健康食品などは、このセグメントで特によく売れます。
また、マレーシアはイスラム教徒が多い国でもあります。ハラール対応の商品であれば、その旨を商品ページに記載することで差別化が可能です。ただし、ハラール認証を取得していない商品を「ハラール」と表記するのは絶対にNGです。
コンサル先の実績で見ると、マレーシアはシンガポールに次いで安定した売上を出しやすい国です。特にシンガポールで売れた商品をマレーシアでも出品すると、高い確率で売れる傾向があります。この2カ国は市場特性が似ているため、セットで攻略するのが効率的です。
3位:台湾
3位は台湾です。言語面では繁体字が必要になるため、英語圏の2カ国に比べるとハードルは上がります。しかし、台湾の親日度と購買力を考えると、日本人セラーにとって非常に魅力的な市場です。
台湾のShopeeユーザーは「日本製」というだけで商品をクリックしてくれる傾向があります。これは他の国にはない大きなアドバンテージです。また、客単価が高いため、1件あたりの利益額が大きくなりやすいのも魅力です。
繁体字の商品ページ作成ですが、実はそこまで大変ではありません。DeepLやGoogle翻訳で日本語から繁体字に翻訳し、それをベースに微調整するだけで十分なクオリティのページが作れます。台湾の消費者は日本語にも馴染みがあるため、多少翻訳が不自然でも大きな問題になりにくいのです。
私のコンサル先で、台湾を最初の出店国に選んで大きく成功したセラーもいます。美容系の商品を扱っていたセラーで、台湾のスキンケア需要にぴったりハマり、出店3ヶ月で月商80万円を達成しました。扱う商品によっては、台湾を1カ国目に選ぶのも十分にアリです。
台湾で気をつけるべき点は、台湾の消費者はレビューを非常に重視する傾向があることです。最初の数件のレビューを早めに獲得することが、台湾での売上を伸ばす鍵になります。出品初期はバウチャーや値引きを活用して購入を促し、レビュー数を増やす戦略が効果的です。
4位以降について
タイ、フィリピン、インドネシア、ベトナム、ブラジルは、初心者が最初に選ぶ国としてはおすすめしません。言語のハードル、購買力、規制の問題など、乗り越えるべき壁が多いからです。
ただし、これらの国がダメというわけではありません。1〜2カ国目で基盤を作ってから展開すれば、十分に利益を出せる市場です。展開のタイミングについては後のセクションで詳しく解説します。
カテゴリ別のおすすめ国
カテゴリ別の最適出店国は「美容・コスメ→フィリピン・タイ」「食品・調味料→シンガポール・マレーシア」「家電・ガジェット→台湾・マレーシア」「アニメグッズ→タイ・フィリピン」「ペット用品→シンガポール」だ。同じ商品でも国によって需要の大きさが10倍以上異なる。

「おすすめの国はわかったけど、自分が扱っている商品ではどこがいいの?」という質問をよく受けます。確かに、商品カテゴリによって相性の良い国は変わってきます。ここでは主要カテゴリごとに、特に相性の良い国を紹介します。
美容・コスメ・スキンケア
最もおすすめなのは台湾とタイです。
台湾では日本のドラッグストアで買えるスキンケア商品が圧倒的に人気です。資生堂、花王、ロート製薬などの商品は、台湾の消費者にとって「憧れのブランド」です。日本の定価より高い値段で出品しても売れるケースが多く、利益率を確保しやすいカテゴリです。
タイでも日本のコスメは非常に人気があります。タイの消費者は美白への関心が特に高く、美白系のスキンケア商品やサプリメントは鉄板で売れるカテゴリです。タイ語のハードルはありますが、コスメカテゴリに限って言えば、そのハードルを超える価値がある市場です。
注意点として、化粧品は各国の規制に注意が必要です。特にインドネシアではBPOM登録が必要なケースが多いため、インドネシア向けにコスメを売る場合は事前に規制を確認してください。
ガジェット・電子機器・PC周辺機器
おすすめはシンガポールとマレーシアです。
シンガポールは購買力が高いため、日本の高品質なガジェットや電子機器がそのままの価格帯で売れます。特に、日本でしか手に入らないニッチな電子機器やPC周辺機器は、わざわざ日本から取り寄せたいという需要があります。
マレーシアでもガジェット需要は高いです。特に中華系マレーシア人の間で日本ブランドの電子機器への信頼は厚く、バッファロー、エレコム、サンワサプライなどの日本メーカーのPC周辺機器は安定した売れ行きを見せています。
ガジェットカテゴリの良い点は、言語の壁が比較的低いことです。スペックは数字で伝わりますし、商品名も英語やブランド名がそのまま使えるケースが多いです。英語圏のシンガポール・マレーシアなら、商品ページの作成もスムーズに進みます。
ガジェット系で特に注意すべきなのは、電圧やプラグ形状の問題です。日本の電化製品は100V仕様のものが多いですが、東南アジア各国は220〜240Vが主流です。USB給電の製品やユニバーサル電圧対応の製品を選んで出品するのが鉄則です。電圧が合わない製品を売ってしまうと、故障やクレームの原因になります。
食品・サプリメント・健康食品
おすすめは台湾とシンガポールです。
台湾では日本のお菓子、調味料、インスタント食品、サプリメントが幅広く人気です。特に日本のドラッグストアで売っているサプリメント(DHC、ファンケルなど)は、台湾のShopeeで常に上位にランクインしています。
シンガポールでも日本の食品は人気ですが、食品の越境販売は各国の食品規制に注意が必要です。成分表示の翻訳や、輸入禁止の原材料(特定の添加物など)が含まれていないかの確認が不可欠です。
フィリピンやインドネシアでも日本の食品への関心はありますが、購買力の問題で単価が低くなりがちです。送料を考えると利益を出しにくいため、食品カテゴリでこの2カ国を攻めるのはあまりおすすめしません。
日用品・雑貨・キッチン用品
おすすめはマレーシアと台湾です。
マレーシアでは日本の100均商品やキッチン用品への需要が高いです。ダイソーがマレーシアで大人気なことからもわかるように、日本の「便利グッズ」は東南アジアで独自のポジションを持っています。日本では数百円で買えるものが、海外では「優れた日本のデザイン・機能性」として高い評価を受けるのです。
台湾でも日本の日用品は人気です。特に、日本のドラッグストアやホームセンターで売っているような「ちょっと便利な」キッチン用品や収納グッズは、台湾のShopeeで安定した売れ行きを見せています。
アニメ・キャラクターグッズ・フィギュア
おすすめは台湾、タイ、フィリピンです。
日本のアニメ・マンガ文化は東南アジア全域で人気ですが、特にこの3カ国での需要が高いです。台湾はコレクター層が厚く、限定品やレアアイテムに高い金額を払う消費者がいます。タイはアニメイベントが盛んで、コスプレ関連グッズの需要もあります。フィリピンは購買力は低めですが、アニメファンの数が多く、手頃な価格帯のグッズであれば数で稼げます。
ただし、キャラクターグッズは正規ライセンス品であることが重要です。偽物やライセンスのない商品を販売すると、Shopeeからアカウント停止の処分を受ける可能性があります。正規品であることを商品ページで明確にアピールしましょう。
ベビー・マタニティ用品
おすすめはマレーシアとシンガポールです。
両国とも、ベビー用品に関しては「安全性」を最重視する消費者が多いです。日本製のベビー用品は「安全で高品質」というイメージが確立されており、ピジョン、コンビ、アカチャンホンポなどのブランドは現地でも高い知名度を持っています。
特におむつ、ベビーローション、離乳食関連の消耗品はリピート購入が見込めるため、一度顧客をつかむと安定した売上につながります。マレーシアではハラール対応のベビー用品への需要もあり、差別化のポイントになります。
各国の配送事情と注意点
各国への配送で最も注意が必要なのはインドネシアとブラジルだ。インドネシアは島国のため一部地域で配達困難エリアがあり、ブラジルは輸入規制・高関税・通関遅延のリスクが高い。フィリピン・マレーシア・タイはDHL・FedExの追跡精度が高く配送トラブル率が低い。
出店国を選ぶ際に見落としがちなのが、配送に関する違いです。配送日数、送料、関税、禁制品は国によってまったく異なります。ここを理解していないと、思わぬトラブルに巻き込まれることがあります。
配送日数の目安
日本からShopee各国への配送日数の目安は以下の通りです。
シンガポールは5〜7日、マレーシアは7〜10日、台湾は5〜7日、タイは7〜10日、フィリピンは7〜14日、インドネシアは10〜14日、ベトナムは7〜10日、ブラジルは14〜28日が一般的な配送日数です。
配送日数が短い国ほど、お客さんの満足度が高くなり、良いレビューがつきやすいです。シンガポールと台湾は配送が早いため、初心者にとって有利な条件が揃っています。逆にブラジルは配送に2〜4週間かかることもあり、お客さんから「まだ届かない」という問い合わせが頻発しがちです。
送料について
ShopeeにはSLS(Shopee Logistics Service)という配送サービスがあり、日本からの越境配送に対応しています。送料は重量とサイズによって計算されますが、国によっても異なります。
一般的に、軽量・小型の商品ほど送料の影響が小さく、利益を出しやすいです。特に100g以下の商品(化粧品のサンプル、アクセサリー、小型ガジェットなど)は、送料を含めても競争力のある価格で出品できます。
逆に、重量のある商品や大型の商品は、送料が商品価格を上回ってしまうことがあります。例えば、日本では1,000円で買える日用品でも、送料が1,500円かかってしまうと、現地の消費者にとって割高になります。出品する商品の重量と送料のバランスは必ず事前に確認してください。
関税と規制の違い
各国の関税制度は異なります。特に注意すべきなのは以下の国です。
インドネシアは規制が最も厳しい国の1つです。私のコンサル先で実際にあった事例ですが、あるセラーがインドネシア向けに日本の化粧品を発送したところ、税関で止められて返送されてしまいました。インドネシアでは化粧品の輸入にBPOM(食品医薬品監督庁)の登録が必要なケースがあり、これを知らずに出品してしまったのです。
商品は返送され、送料は二重にかかり、お客さんへの返金も必要になりました。さらに、Shopeeでの評価も下がってしまいました。このような事態を避けるために、特にインドネシア、ベトナム、ブラジルに出品する場合は、その国の輸入規制を事前に調べることが必須です。
一方、シンガポールは比較的規制が緩く、ほとんどの日本製品をスムーズに輸入できます。台湾も食品・医薬品を除けば、一般的な日用品やガジェットの輸入に大きな制限はありません。
禁制品リスト
国によって禁制品が異なることも覚えておいてください。例えば、電子タバコ関連の商品はタイでは禁止されていますが、他の国では販売可能なケースがあります。アルコールを含む商品はイスラム教圏のマレーシアやインドネシアでは注意が必要です。
Shopeeのセラーセンターには各国の禁制品リストが掲載されていますので、出品前に必ず対象国の禁制品リストを確認する習慣をつけてください。「知らなかった」では済まされないケースもあります。
配送トラブルへの対処
越境販売では、配送トラブルは避けて通れません。荷物の紛失、破損、遅延は一定の確率で発生します。重要なのは、トラブルが起きたときの対応を事前に決めておくことです。
私がコンサル先にアドバイスしている対処方針は次の通りです。荷物が紛失した場合は即座に代替品を発送し、破損の場合は写真を送ってもらった上で返金または再発送する。この対応を迅速に行うことで、悪いレビューを防ぎ、むしろ「対応が良い」という好印象を残せます。
配送トラブルのコストは「必要経費」として事前に織り込んでおきましょう。売上の3〜5%程度を配送トラブル対応費として計算に入れておくと、想定外の出費に慌てずに済みます。
もう1つ、配送に関して覚えておいてほしいのは梱包の重要性です。越境配送は国内配送よりも荷物の扱いが荒くなりがちです。特にガラス製品や電子機器は、緩衝材を多めに入れて厳重に梱包してください。梱包が甘くて商品が破損した場合、返品・返金だけでなく、ショップの評価にもダメージを受けます。逆に「梱包が丁寧だった」というレビューは意外と多く、地味ですが差別化のポイントになります。
2カ国目以降に展開するタイミング
2カ国目の展開タイミングは「1カ国目で月商30万円以上・セラー評価★4.7以上・標準オペレーションが確立している」の3条件が揃った時点が適切だ。このタイミング前に国を増やすと管理が破綻するリスクがあり、早期多国展開でアカウント警告が入ったケースが複数ある。

1カ国目で売上が安定してきたら、次の国への展開を考え始める時期です。でも、「いつ展開すべきか」の判断は難しいものです。早すぎると1カ国目の管理がおろそかになり、遅すぎると機会を逃してしまいます。
展開の目安は月商50万円
私がコンサル先に伝えている基準は、「1カ国目で月商50万円を安定して超えたら、2カ国目を検討するタイミング」です。
月商50万円という数字にはちゃんと根拠があります。この水準に達しているということは、商品リサーチ、ページ作成、在庫管理、顧客対応の一連の流れが仕組み化されていることを意味します。その仕組みを新しい国に応用するだけなので、2カ国目は1カ国目ほど大変ではありません。
逆に、月商10〜20万円の段階で2カ国目に手を出すと、まだ仕組みが固まっていないため、両方の国で中途半端になりがちです。まずは1カ国目でしっかりとした基盤を作ることを最優先にしてください。
展開先の選び方
2カ国目の選び方は、1カ国目との相乗効果を考えるのがポイントです。
1カ国目がシンガポールなら、2カ国目はマレーシアが最も自然な選択です。同じ英語で商品ページが使えるため、新しいページを作る手間がほとんどかかりません。シンガポールで売れている商品をそのままマレーシアでも出品するだけで、追加の売上が見込めます。
1カ国目がシンガポールまたはマレーシアで安定したら、3カ国目として台湾を検討するのがおすすめです。台湾は繁体字が必要になりますが、購買力が高く、日本製品の需要も大きいため、投資に見合うリターンが期待できます。
コンサル先の成功事例
具体的な事例をお伝えします。私のコンサル先のAさん(日本のスキンケア商品を扱うセラー)は、以下の順序で多国展開を進めました。
まずシンガポールに出店し、3ヶ月で月商30万円を達成しました。日本のドラッグストアで人気のスキンケア商品を中心に出品し、英語の商品ページを丁寧に作り込みました。シンガポールの消費者からの反応は非常に良く、リピーターも増えていきました。
シンガポールで月商50万円を安定的に超えるようになった5ヶ月目に、マレーシアに展開しました。シンガポール向けに作った英語の商品ページをほぼそのまま使い回せたので、追加の作業は最小限で済みました。マレーシアでは出店初月から月商15万円を記録し、2ヶ月目には30万円に成長しました。
8ヶ月目に台湾に展開しました。繁体字の商品ページはDeepLで翻訳し、台湾人のフリーランサーにチェックしてもらいました。台湾ではスキンケア商品の需要が特に高く、出店2ヶ月目で月商60万円を達成。3カ国合計の月商は、出店1年で300万円を超えました。
Aさんの成功要因は「焦らなかったこと」です。1カ国ずつ着実に基盤を作り、前の国のノウハウを次の国に活かしていきました。もし最初から3カ国同時に出店していたら、おそらくどの国でもここまでの成果は出なかったでしょう。
多国展開時のコツ
2カ国目以降の展開をスムーズに進めるためのコツをいくつかお伝えします。
1つ目は、商品ページのテンプレート化です。1カ国目で作った商品ページの構成(タイトルのつけ方、画像の順序、説明文の構造)をテンプレートとして固めておきましょう。新しい国に展開する際は、このテンプレートに沿って翻訳するだけなので、作業効率が格段に上がります。
2つ目は、在庫の一元管理です。複数の国で同じ商品を販売する場合、在庫管理が複雑になります。Excelやスプレッドシートで各国の在庫数を一元管理する仕組みを作ってください。ある国で在庫切れを起こすと、その国でのショップ評価に悪影響を与えます。
3つ目は、国ごとの価格設定です。同じ商品でも、国によって適正価格は異なります。シンガポールでは高めの価格で出しても売れますが、フィリピンでは同じ価格だと売れません。各国の購買力と競合価格を見ながら、国ごとに最適な価格を設定してください。
また、カスタマーサポートの体制も重要です。国が増えるとお客さんからの問い合わせも増えます。問い合わせへの返信テンプレートを用意しておくと、対応時間を大幅に短縮できます。よくある質問(配送日数、返品方法、商品の使い方など)への回答は事前に準備しておきましょう。
展開を見送るべきケース
逆に、2カ国目への展開を見送るべきケースもあります。
1カ国目の月商が安定していない場合は、まだ展開すべきではありません。「先月は50万円だったけど、今月は20万円に落ちた」という状態では、基盤が固まっていません。最低でも3ヶ月連続で月商50万円を超えてから、2カ国目を検討してください。
また、在庫の資金繰りに余裕がない場合も見送るべきです。2カ国分の在庫を持つということは、仕入れ資金も増えるということです。資金に余裕がない状態で展開すると、在庫切れや資金ショートのリスクが高まります。
もう1つ、自分の時間的なキャパシティも考慮してください。副業でShopeeをやっている方が多いと思いますが、2カ国分の運営にかかる時間は単純に2倍ではなく、1.5倍程度です。共通の商品を扱っていれば仕入れや梱包は1回で済みますし、商品ページも流用できます。ただし、問い合わせ対応や各国の注文管理は別々に必要なので、その分の時間は確実に増えます。平日1〜2時間をShopeeに使っている方であれば、2カ国目の展開後は2〜3時間程度を見込んでおいてください。











