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はじめに:なぜ今、日本×Shopeeの無在庫販売なのか

近年、越境ECビジネスは急速に成長しており、特に東南アジア市場への参入は日本のセラーにとって大きなチャンスとなっています。その中でも、Shopeeは東南アジア最大級のECプラットフォームとして、シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム、台湾などで展開しており、日本商品への需要が非常に高いマーケットです。
本記事では、日本の様々なECショップ・ECモールから価格・在庫情報を取得できる「アマトピア」と、海外の様々なECモールに同時出品可能な「Rithum」を組み合わせて、日本商品をShopeeで無在庫販売する方法を詳しく解説します。
1. 無在庫販売のメリットとリスク

無在庫販売のメリット
1. 初期投資の最小化 在庫を持たないため、商品仕入れのための資金が不要です。これにより、少ない資金でビジネスを開始できます。
2. 在庫リスクの回避 売れ残りによる不良在庫のリスクがありません。特に、トレンド商品や季節商品を扱う際に大きなメリットとなります。
3. 幅広い商品ラインナップ 物理的な在庫スペースの制約がないため、理論上は無限の商品を取り扱うことができます。
4. キャッシュフローの改善 商品が売れてから仕入れるため、資金繰りが楽になります。
無在庫販売のリスクと対策
1. 在庫切れリスク
- 対策:アマトピアのリアルタイム在庫確認機能を活用
- 複数の仕入れ先を確保
- 在庫管理の自動化システムを構築
2. 価格変動リスク
- 対策:価格改定の自動化
- 適切な利益率の設定
- 為替変動を考慮したバッファの確保
3. 配送遅延リスク
- 対策:信頼できる仕入れ先の選定
- リードタイムの正確な把握
- 顧客への適切な情報提供
4. アカウント停止リスク
- 対策:各プラットフォームの規約遵守
- 顧客満足度の維持
- 適切な在庫管理
2. アマトピアの機能と活用方法
アマトピアとは
アマトピアは、日本国内の主要ECモール(Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピング、メルカリ、ヤフオク、その他ECショップ)から商品情報、価格、在庫状況を取得できるAPIサービスを提供しています。取得数で日本最多となっています。
アマトピアの設定手順
ステップ1:アカウント登録
- アマトピア公式サイトでアカウント作成
- APIキーの発行
- 利用プランの選択(商品数、API呼び出し回数に応じて)
ステップ2:API接続設定
APIを利用することでスプレッドシートを介してRithumと連携可能です。(Rithum以外とも連携可能です)
ステップ3:商品データの取得
- キーワード検索による商品リスト取得
- カテゴリー別商品取得
- ランキング商品の取得
アマトピアを使った商品リサーチ方法
1. 利益商品の発見
- 複数モール間の価格差を利用
- 送料込み価格での比較
- ポイント還元を考慮した実質価格計算
2. トレンド商品の把握
- ランキング情報の定期取得
- 季節商品の早期発見
- 新商品情報の自動収集
3. 競合分析
- 同一商品の出品者数確認
- 価格帯の分析
- レビュー評価の確認
Shopeeの検索機能はないので他のECモール同様売れているセラーを参考にするのがいいと思います。
ちなみにリサーチはプラットフォームの成長に合わせて
- とりあえず色々出してみて売れるものを調べる
- 売れている人を真似する
- 売れているデータから関連商品も出品する
- 隙間・裏技的やり方を見つける
という形で成長していきます。Shopeeのリサーチはまだ2で大丈夫ですね。市場の成長が止まると4を駆使しないと難しくなります。
3になったら複数のセラーのデータを抜きAIのDeep Researchにかけるのが現代風のリサーチテクニックと言えるでしょう。
3. Rithumの機能と活用方法

Rithumとは
Rithum(旧ChannelAdvisor)は、複数のマーケットプレイスへの同時出品、在庫・価格の一元管理、注文処理の自動化を実現するクロスボーダーEC支援プラットフォームです。
主要機能
1. マルチチャネル出品管理
- Shopee、eBay、Amazon、Lazada等への同時出品
- 商品情報の一元管理
- 各マーケットプレイス向けの最適化
2. 在庫・価格管理
- リアルタイム在庫同期
- 自動価格調整機能
- 為替レート対応
3. 注文管理
- 複数チャネルの注文一元管理
- 発送処理の自動化
- トラッキング情報の自動更新
4. データ分析
- 売上レポート
- 商品別パフォーマンス分析
- 顧客分析機能
Rithumの設定手順
ステップ1:アカウント設定
- Rithumアカウントの作成
- 販売チャネル(Shopee)の接続
- 基本設定(通貨、言語、配送方法)
ステップ2:Shopeeとの連携
// Shopee API連携設定
const shopeeConfig = {
partnerId: 'YOUR_PARTNER_ID',
partnerKey: 'YOUR_PARTNER_KEY',
shopId: 'YOUR_SHOP_ID',
marketplaces: ['SG', 'MY', 'TH', 'ID', 'PH', 'VN', 'TW']
};
ステップ3:商品テンプレート作成
- カテゴリーマッピング
- 属性マッピング
- 価格設定ルール
Shopee向け最適化設定
1. 商品タイトルの最適化
- キーワードの現地語化
- 文字数制限への対応
- SEO対策キーワードの挿入
2. 商品説明の現地化
- 自動翻訳機能の活用
- 文化的配慮
- 現地の購買習慣への対応
3. 価格戦略
- 競合価格の自動取得
- ダイナミックプライシング
- プロモーション価格の設定
4. アマトピア×Rithumの連携システム構築
システム全体の構成
[日本ECモール] → [アマトピアAPI] → [データ処理サーバー] → [Rithum] → [Shopee各国]連携フローの詳細
1. 商品情報の取得と加工
- 日本のサイトでImage Downloaderでまとめて収集かあるいはPythonなどでスクレピングツールを作って収集
- PicwishなどのAI画像加工ツールで白抜き
- さらに真似されないように加工したい場合はMidjourneyなどを活用
2. 価格計算
各種手数料を盛り込み確保したい利益率ベースの計算式を用意
3. 在庫同期
日本のECサイト→Shopee
4. 発送
売れたら他の無在庫販売ビジネス同様発送、アフターフォローでShopee無在庫販売完結。細かいノウハウはあれど大まかな内容はこの通りです。
Rithumと連携するメリットとしてはAmazon、eBay、Lazada、Aliexpress、Joomなど世界の主要マーケットへの同時販売が可能です。私もそれぞれテスト販売して多少売ってみただけで終えていませんがそれぞれ月利300万円以上出している方がすでにいます。私はAmazonとeBayだけで十分で新たなマーケットを開拓する気はありませんが特にAmazonは古のアカウントを持っているセラーが優遇されていて新規だと非常にサスペンドしやすくなっているため無在庫販売に取り組みづらくなっています。おかげでAmazon輸出無在庫販売は参入障壁が高く稼ぎやすいので頑張って古いアカウントを買うのもありです。
そのためこれから新たに取り組む場合はeBayとその他のECモールの組み合わせの方がいいと思います。
5. Shopee各国の特徴と攻略法
ShopeeはAmazonやeBayのように国ごとにアカウントが異なるので簡単に特徴を紹介します。
シンガポール市場
特徴:
- 高い購買力
- 品質重視
- 英語対応可能
※2025年現在法人のみ
攻略法:
- プレミアム商品の展開
- 迅速な配送サービス
- 英語での丁寧なカスタマーサポート
マレーシア市場
特徴:
- 多民族国家
- 価格感度が高い
- イスラム文化への配慮必要
攻略法:
- 多言語対応(英語、マレー語、中国語)
- ハラル認証商品の強調
- 競争力のある価格設定
タイ市場
特徴:
- 日本商品への高い需要
- SNS活用が活発
- 派手なプロモーション好き
攻略法:
- 日本ブランドの強調
- ライブ配信機能の活用
- 頻繁なプロモーション実施
インドネシア市場
特徴:
- 巨大な人口
- モバイルファースト
- 価格重視
攻略法:
- モバイル最適化
- 低価格商品の充実
- 現地インフルエンサーの活用
フィリピン市場
特徴:
- 英語圏
- 若年層が多い
- エンターテインメント好き
攻略法:
- トレンド商品の展開
- ゲーミフィケーション活用
- SNSマーケティング
ベトナム市場
特徴:
- 急成長市場
- 品質への関心上昇
- 日本製品への信頼
攻略法:
- 品質保証の明記
- ベトナム語対応
- 現地の記念日に合わせたプロモーション
台湾市場
特徴:
- 日本文化への親和性
- 高い生活水準
- EC利用率が高い
攻略法:
- 日本限定商品の展開
- 繁体字中国語対応
- 台湾の祝日に合わせたキャンペーン
6. 商品選定と価格戦略
売れ筋商品カテゴリー
1. 美容・コスメ
- 日本製スキンケア
- メイクアップ商品
- ヘアケア商品
2. ファッション
- 日本ブランドアパレル
- アクセサリー
- バッグ・財布
3. ホビー・エンターテインメント
- アニメグッズ
- フィギュア
- ゲーム関連商品
4. 食品・健康食品
- お菓子・スナック
- サプリメント
- 調味料
5. 日用品・雑貨
- 文房具
- キッチン用品
- 収納グッズ
価格設定の考え方
1. 基本価格の計算
販売価格 = (仕入価格 + 国際送料 + 関税) × (1 + 利益率) × 為替レート
2. 競合分析に基づく調整
- 同一商品の価格調査
- 類似商品との比較
- 市場の価格帯把握
3. 心理的価格設定
- 端数価格(.99)の活用
- 価格帯別の設定
- バンドル販売の検討
利益率の最適化
1. 商品別利益率設定
- 高回転商品:15-20%
- 中回転商品:20-30%
- 低回転商品:30-40%
2. 送料込み価格戦略
- 送料無料の訴求
- 商品価格への送料転嫁
- まとめ買い割引
3. プロモーション活用
- Shopeeのキャンペーン参加
- クーポン発行
- フラッシュセール
7. 運用とカスタマーサポート
日々の運用業務
1. 在庫管理
- 毎日の在庫確認
- 在庫切れ商品の対応
- 新商品の追加
2. 価格管理
- 競合価格のモニタリング
- 為替変動への対応
- 利益率の確認
3. 注文処理
- 注文の確認と処理
- 仕入れ先への発注
- 配送手配
カスタマーサポート体制
1. 多言語対応
- 自動翻訳ツールの活用
- テンプレート回答の準備
- 現地スタッフの活用検討
2. よくある質問への対応
- 配送に関する質問
- 商品の使い方
- 返品・交換について
3. クレーム対応
- 迅速な初期対応
- 問題解決への誠意
- 再発防止策の実施
配送と物流
1. 国際配送サービスの選択
- 日本郵便(EMS、eパケット)
- DHL
- FedEx
- 現地配送パートナー
2. 配送時間の管理
- リードタイムの正確な把握
- 配送遅延への対応
- トラッキング情報の提供
3. 関税・輸入規制対応
- 各国の規制確認
- 必要書類の準備
- 関税計算と説明
8. リスク管理とトラブル対応
主なリスクと対策
1. 為替リスク
- 対策:為替予約の活用
- バッファーの確保
- 定期的な価格見直し
2. 在庫リスク
- 対策:複数仕入れ先の確保
- 在庫アラート設定
- 代替商品の準備
3. 配送リスク
- 対策:保険の加入
- 追跡可能な配送方法
- 配送事故時の対応マニュアル
4. アカウントリスク
- 対策:規約の遵守
- KPIの維持
- 定期的なアカウント健全性チェック
トラブル対応フロー
1. 商品未着の場合
1. 追跡番号で配送状況確認
2. 配送業者への問い合わせ
3. 顧客への状況説明
4. 必要に応じて再発送または返金
2. 商品不良の場合
1. 写真による状況確認
2. 仕入れ先への確認
3. 交換または返金対応
4. 再発防止策の実施
3. 在庫切れの場合
1. 即座に顧客へ連絡
2. 代替商品の提案
3. キャンセルと返金処理
4. 在庫管理システムの見直し
9. 売上拡大のための施策
マーケティング戦略
1. Shopee内マーケティング
- キーワード広告の活用
- ショップクーポンの発行
- フォロワー限定特典
2. SNSマーケティング
- Facebook/Instagram広告
- インフルエンサーマーケティング
- コンテンツマーケティング
3. リピーター獲得
- 購入後のフォローアップ
- 会員限定特典
- ニュースレター配信
商品ラインナップの拡大
1. カテゴリー拡張
- 売れ筋カテゴリーの深堀り
- 関連商品の追加
- 季節商品の展開
2. 独占商品の開拓
- 日本限定商品
- 地域特産品
- コラボレーション商品
3. プライベートブランド
- OEM商品の開発
- パッケージのローカライズ
- 独自商品の展開
データ分析と改善
1. 売上分析
- 商品別売上推移
- 国別売上比較
- 時期別トレンド分析
2. 顧客分析
- 購買パターン分析
- 顧客セグメンテーション
- LTV(顧客生涯価値)分析
3. 競合分析
- 価格比較
- 商品ラインナップ比較
- プロモーション分析
10. 成功事例と失敗事例
成功事例
事例1:美容商品セラー
- 月商:0→500万円(6ヶ月)
- 成功要因:
- 日本製美容商品への需要を捉えた
- 現地インフルエンサーとの連携
- 徹底した顧客サポート
事例2:アニメグッズセラー
- 月商:0→300万円(3ヶ月)
- 成功要因:
- トレンドアニメ商品の早期展開
- SNSでのバイラルマーケティング
- 限定商品の独占販売
失敗事例と教訓
事例1:在庫管理の失敗
- 問題:大量の在庫切れによるアカウント評価低下
- 教訓:
- 在庫管理システムの重要性
- 安全在庫の確保
- 複数仕入れ先の必要性
事例2:価格設定の失敗
- 問題:利益率を考慮しない価格設定
- 教訓:
- 全てのコストを考慮した価格計算
- 為替リスクへの対応
- 適切な利益率の設定
まとめ:成功への道筋
アマトピアとRithumを活用した日本×Shopeeの無在庫販売は、適切なシステム構築と運用により、大きな収益を生み出すことが可能です。
成功のための重要ポイント
- システムの自動化:手動作業を最小限にし、効率的な運用を実現する
- 市場理解:各国の特性を理解し、ローカライズされた戦略を展開する
- 顧客満足度:迅速な対応と丁寧なサポートで高評価を維持する
- 継続的改善:データ分析に基づいた改善を継続的に実施する
- リスク管理:想定されるリスクへの対策を事前に準備する
今後の展望
東南アジアのEC市場は今後も成長が期待され、日本商品への需要も拡大していくことが予想されます。アマトピアとRithumを活用したビジネスモデルは、この成長市場で成功するための強力なツールとなるでしょう。
重要なのは、単なるツールの活用ではなく、それらを使いこなし、顧客価値を提供し続けることです。本記事で紹介した方法を参考に、ぜひ独自の成功モデルを構築してください。
最後に、このビジネスモデルは継続的な学習と改善が必要です。市場の変化、プラットフォームの仕様変更、新しいツールの登場など、常に最新情報をキャッチアップし、柔軟に対応していくことが長期的な成功への鍵となります。