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「日本で売れているから海外でも売れる」は大嘘だった
「日本で売れている商品は海外でも売れる」という思い込みは越境EC最大の失敗の元だ。東南アジアでは気候・宗教・所得水準・流行が日本と大きく異なり、国内ベストセラーをそのまま出品して在庫を抱えた事例をコンサルで何度も見てきた。
Shopee輸出を始めたばかりの頃、多くのセラーが同じ間違いを犯します。「日本のAmazonで売れている商品を、そのままShopeeに出せば売れるだろう」という思い込みです。私自身、コンサル先でこの考え方が原因で大失敗した事例を何度も見てきました。
あるコンサル先のセラーさんは、日本のAmazonランキングで上位に入っている生活雑貨を30品ほどピックアップして、そのままShopeeのマレーシア市場に出品しました。日本で月に数千個売れている商品ばかりだったので、「海外でも間違いなく売れる」と確信していたそうです。
結果はどうだったか。1か月経っても注文はゼロ。2か月経っても、閲覧数すらほとんど伸びませんでした。
原因はシンプルです。日本と東南アジアでは「欲しいもの」が根本的に違うのです。日本で人気の高機能な収納グッズは、東南アジアの住環境には合いません。日本で定番の冬物グッズは、常夏の国では当然需要がありません。日本語だらけのパッケージの商品は、現地の消費者にとって「何に使うのかわからない謎の商品」でしかありません。
この経験から学んだのは、商品リサーチにおいて最も危険な思考は「日本で売れているから海外でも売れるはず」という安易な発想だということです。Shopeeで成功するためには、日本市場と東南アジア市場の違いを正しく理解し、「外れる商品」と「当たる商品」を見分ける力が必要です。
この記事では、私がコンサルの現場で実際に見てきた失敗事例と成功事例を比較しながら、リサーチで失敗しないための具体的な方法をお伝えします。最初から完璧なリサーチができる人はいません。大事なのは、失敗のパターンを知っておくことです。パターンを知っていれば、同じ失敗を避けられます。

実を言うと、私自身も最初のころは同じ失敗をしていました。日本で評判の良い商品をShopeeに出せば売れると思っていたのです。でも現実は甘くありませんでした。何十品と出品しても売れない日々が続き、ようやく「日本目線のリサーチでは通用しない」ということに気づきました。
その後、何百もの商品の出品と撤退を繰り返す中で、外れる商品と当たる商品にはそれぞれ明確な共通点があることがわかってきました。ここからは、その法則を具体的にお話しします。
私が見てきた「外れ商品」の共通点
「外れ商品」の共通点は①現地では需要がないニッチすぎる機能、②現地で安く入手できる同等品が既に流通している、③宗教・気候・文化的に使用が難しい商品、の3つだ。この3条件のどれかに当てはまる商品はリサーチ段階で除外することで仕入れロスを防げる。
コンサルの現場で「なぜこの商品は売れないのか」を分析し続けた結果、外れ商品には大きく4つの共通点があることがわかりました。これらのパターンを知っているだけで、無駄な出品を大幅に減らすことができます。
パターン1:重すぎて送料が利益を超える
Shopee輸出で最も多い失敗パターンが、送料の計算ミスです。日本国内で販売する場合、送料はせいぜい数百円から千円程度です。しかし、東南アジアへの国際送料は重量によって大きく変わります。
あるコンサル先のセラーさんは、日本製の高品質なステンレス水筒をShopeeに出品しました。日本では2,000円前後で売れている商品です。Shopeeでの販売価格を日本より少し高めの3,500円に設定しました。しかし、水筒1本の重量は約400g。国際送料が1,500円以上かかり、仕入れ値と送料を合わせると利益がほぼゼロになってしまいました。
さらに問題だったのは、現地のショッピングモールで似たような水筒が日本円換算で500円程度で売られていたことです。3,500円の水筒を買う理由が、現地の消費者にはなかったのです。
重量のある商品は、たとえ日本で人気があっても、国際送料を加算した時点で価格競争力を失います。特に500gを超える商品は、よほどの付加価値がない限り外れる可能性が高いです。
別のコンサル先では、日本製の鋳鉄フライパンを出品した方もいました。重量は約1.5kgで、国際送料だけで3,000円近くかかります。商品自体の品質は素晴らしいのですが、送料込みの販売価格が現地の感覚では「ありえない金額」になってしまい、3か月間で注文はわずか1件でした。その1件も「思ったより重かった」という理由で返品されています。送料の問題は単なるコストの話ではなく、受け取った消費者の体験にも影響する点を忘れてはいけません。
パターン2:現地に安い代替品がある
日本製品の品質が高いことは事実です。しかし、東南アジアの消費者にとって「品質の高さ」だけでは購入理由になりません。特に、現地で安く手に入る代替品がある場合はなおさらです。
私のコンサル先で実際にあった事例をお話しします。日本製の台所用スポンジをShopeeに出品したセラーさんがいました。日本では「長持ちする」「泡立ちが良い」と評判の商品です。しかし、マレーシアやタイのスーパーには、1個あたり数十円のスポンジが大量に並んでいます。現地の消費者にとって、スポンジは消耗品であり、「3倍長持ちする」という付加価値よりも「安く買える」ことのほうが重要なのです。
同様の失敗は、文房具、基本的なキッチンツール、一般的な清掃用品など、現地で容易に調達できる日用品全般で起きています。「日本製だから」という理由だけでは、現地価格の3倍から5倍の値段を払ってもらうことは難しいのが現実です。
見極めのコツは、「現地の消費者がその商品を買うときに何を基準にしているか」を考えることです。スポンジや雑巾のように「安さと手軽さ」が基準になるカテゴリでは、品質の差は購入理由になりません。一方で、「安全性」や「ブランドの信頼」が基準になるカテゴリであれば、多少高くても日本製が選ばれます。この違いを理解しているかどうかが、外れを引くかどうかの分かれ目です。
パターン3:文化的に需要がない
日本では当たり前に使われている商品でも、東南アジアでは文化的な背景から需要がないものがあります。これは事前のリサーチで見落としやすいポイントです。
典型的な例が、冬物の衣料品やグッズです。マフラー、手袋、カイロといった商品を東南アジア向けに出品しても、年間を通じて気温が30度前後の地域では需要がほぼありません。「日本旅行のお土産として買う人がいるかも」と期待するセラーさんもいますが、そのようなニッチな需要だけでは商売として成り立ちません。
また、畳関連の商品、和室向けのインテリア、日本酒用の酒器なども、文化的な背景がない地域では売れにくい商品です。その国の生活様式を理解していないと、需要を見誤ります。
ただし、ここには例外もあります。東南アジアでも高地にある地域や、エアコンが強く効いたオフィスで働く人向けのブランケットなど、特定の文脈では需要がある場合もあります。重要なのは、「自分の常識で需要を判断しない」ということです。
パターン4:日本語パッケージで内容が伝わらない
日本の商品は、パッケージに日本語しか書かれていないものがほとんどです。これが海外販売において大きな障壁になります。
コンサル先のセラーさんが出品した日本製のヘアケア商品の事例が印象的でした。日本では非常に人気のあるトリートメントで、商品自体の品質は申し分ありません。しかし、パッケージにはすべて日本語で成分や使い方が書かれており、英語表記は一切ありません。Shopeeの商品ページで丁寧に英語やマレー語で説明を書いたものの、届いた商品を見た購入者から「何が書いてあるかわからない」「使い方がわからない」というレビューが続きました。
結果的にその商品は低評価がつき、返品も増えて撤退せざるを得ませんでした。日本語パッケージの商品を海外で販売する場合は、英語のラベルを貼るか、詳細な使用方法の説明書を同封するなどの対策が必要です。逆に言えば、そのひと手間をかけられるかどうかが、売れるか売れないかの分かれ目になります。
この4つのパターンに当てはまる商品は、リサーチ段階で除外するのが賢明です。もちろん例外はありますが、特にShopee輸出を始めたばかりの段階では、わざわざリスクの高い商品に挑戦する必要はありません。まずは「外れにくい商品」を選ぶことが大切です。

逆に「当たった商品」の共通点
当たった商品の共通点は①Shopee内で検索数が多く競合数が少ない、②日本では1,000〜3,000円でも現地で3,000〜8,000円で販売できる価格帯、③「日本製・日本ブランド」の付加価値が現地で機能するカテゴリの3点だ。
外れ商品のパターンを知った上で、今度は「当たった商品」の共通点を見ていきましょう。私がコンサルの現場で見てきた成功事例には、やはり明確な法則がありました。
共通点1:日本にしかない(現地調達不可)
Shopeeで最も売れやすいのは、「日本でしか手に入らない」商品です。当たり前のことのように聞こえるかもしれませんが、意外とこの視点が抜けているセラーさんが多いです。
成功事例として印象的だったのは、日本の特定ブランドの化粧品です。あるコンサル先のセラーさんが、日本のドラッグストアでしか買えないスキンケアブランドの商品をShopeeで販売したところ、出品初月から注文が入り始めました。このブランドは東南アジアでSNSを通じて認知度が高まっていたものの、現地では正規の販売ルートがなく、購入手段がなかったのです。
日本のアニメや漫画に関連するグッズも同様です。正規品は日本でしか購入できないため、東南アジアのファンにとってShopeeは貴重な購入チャネルになります。あるセラーさんは、特定のアニメの公式グッズを中心に出品し、安定した売上を確保しています。
ポイントは「現地で買えない」という事実が、価格のハードルを下げるということです。現地に代替品がなければ、多少高くても購入してもらえます。リサーチの際は、まず「この商品は現地で手に入るか」を確認することが重要です。
確認方法としては、Shopeeの対象国サイトで同じブランド名や商品名を検索してみるのが最も手軽です。検索結果がゼロか、あっても「日本から発送」のセラーしかいない場合は、現地調達不可の商品と判断できます。この一手間をかけるだけで、リサーチの精度は格段に上がります。
共通点2:軽い・小さい
国際送料のインパクトを考えると、軽くて小さい商品のほうが圧倒的に有利です。これは外れ商品のパターン1の裏返しですが、当たった商品を見ると、やはりこの条件を満たしているものが多いです。
私のコンサル先で特に成功しているのは、日本製の文具や小物アクセサリーです。たとえば、日本の有名メーカーのボールペンやシャープペンシルは、1本あたりの重量が20g程度で、国際送料はごくわずかです。仕入れ値が300円程度の商品を、Shopeeで800円から1,000円で販売しても、送料込みで十分な利益が出ます。
化粧品のサンプルセットや、個包装のお菓子なども同様です。軽くて小さい商品は、まとめ買いにもつながりやすく、客単価が上がるというメリットもあります。1回の注文で5点、10点とまとめて購入してくれるお客さんも珍しくありません。
目安として、1個あたりの重量が200g以下、サイズが20cm四方以内に収まる商品が理想的です。この範囲であれば、送料が利益を圧迫するリスクはかなり低くなります。
共通点3:日本製の信頼が価値になるカテゴリ
すべてのカテゴリで「日本製」が付加価値になるわけではありません。しかし、特定のカテゴリでは「Made in Japan」の信頼性が大きな購入動機になります。
代表的なのは、スキンケア・化粧品、ベビー用品、健康関連商品の3カテゴリです。これらは「肌に直接触れるもの」「赤ちゃんに使うもの」「体に入れるもの」という共通点があり、消費者が品質や安全性に対して敏感になるカテゴリです。
コンサル先のセラーさんで、日本製のベビー用スキンケア商品を販売している方がいます。現地にも類似の商品はありますが、「日本製だから安心」という理由で、現地商品の2倍以上の価格でも継続的に売れています。リピート率も高く、一度購入した顧客が定期的に再購入してくれるため、安定した売上につながっています。
一方で、プラスチック製の収納ケースやシンプルなキッチンツールなど、品質や安全性がそこまで重視されないカテゴリでは、「日本製」の付加価値はほとんど働きません。リサーチの際は、「このカテゴリで日本製であることに消費者がお金を払うか」を冷静に判断する必要があります。
共通点4:SNSで現地のインフルエンサーが紹介した商品
近年、東南アジアでの購買行動に大きな影響を与えているのがSNSです。特にTikTok、Instagram、YouTubeで現地のインフルエンサーが紹介した日本の商品は、一気に需要が高まることがあります。
実際にあった事例をお話しします。タイの人気美容系YouTuberが日本旅行中に購入したあるスキンケア商品を動画で紹介したところ、その翌週からShopeeでの検索数が急増しました。たまたまその商品を出品していたコンサル先のセラーさんは、1週間で通常の10倍以上の注文を受けました。
このような「バズ」は予測が難しいですが、日頃からSNSをチェックしておくことで、トレンドの初動を掴むことは可能です。具体的には、TikTokで「Japan haul」「Japan shopping」「日本购物」といったキーワードで検索し、どのような商品が注目されているかを定期的に確認します。私がコンサル先にお勧めしているのは、週に1回、30分だけこのチェックに時間を使うことです。毎日やる必要はありませんが、定期的に続けることが重要です。
また、Shopee自体にも「Trending」や「Top Selling」のセクションがあります。これらのデータと、SNSでのトレンドを組み合わせることで、「これから売れる商品」を先回りして仕入れることができます。
以上の4つの共通点を満たす商品を探すことが、Shopee輸出のリサーチの基本です。すべてを完璧に満たす必要はありませんが、少なくとも2つ以上の条件に該当する商品は、当たる確率が高い傾向にあります。

リサーチ段階で「外れ」を避けるチェックリスト
リサーチ段階の除外チェックリストは「①Shopee検索で類似商品の最安値を確認(利益率20%以上確保できるか)、②競合セラーの評価数が1,000件以上の商品が3つ以上あるカテゴリは避ける、③現地ECでも販売されている場合は差別化できるか確認」の3点だ。
ここまで読んで、「外れ商品の特徴も当たる商品の特徴もわかった。でも、実際にリサーチするときに何をチェックすればいいの?」と思った方も多いでしょう。
そこで、私がコンサルの現場で実際に使っている「出品前チェックリスト」を公開します。このリストの7項目をすべてクリアした商品だけを出品するようにしたところ、外れ率が大幅に下がりました。
チェック1:送料シミュレーション
商品の重量と大きさを測り、実際にかかる国際送料を計算します。送料込みの販売価格で利益が出るかどうかを必ず事前に確認してください。
具体的には、仕入れ値+国際送料+Shopee手数料(販売価格の約6〜8%)を合計し、販売価格との差額が最低でも500円以上あることを目安にしています。利益が500円を切る商品は、返品やクレーム対応のコストを考えると割に合いません。
送料の計算には、利用する配送業者のウェブサイトで見積もりを取るのが確実です。日本郵便のeパケット、EMS、または民間の転送サービスなど、複数の選択肢を比較して最もコストパフォーマンスの良い方法を選びましょう。
チェック2:現地価格比較
Shopeeの対象国のサイトで同じ商品、または類似の商品を検索します。現地で安く売られている代替品がある場合、価格競争に巻き込まれるリスクが高いです。
チェックの方法は簡単です。Shopeeの対象国のサイトにアクセスし、商品名を英語や現地語で検索するだけです。検索結果の上位に表示される商品の価格帯を確認し、自分の販売価格が大幅に高い場合は要注意です。
ただし、「日本製」「日本から直送」という付加価値によって、現地商品の1.5倍から2倍の価格でも売れるカテゴリはあります。前述のスキンケアやベビー用品がその典型です。単純な価格比較だけでなく、カテゴリの特性も考慮してください。
チェック3:禁制品チェック
意外と見落としがちなのが、輸出禁止品や輸入規制品のチェックです。日本からの輸出が禁止されている商品、または対象国への輸入が規制されている商品を出品してしまうと、商品が税関で差し止められるだけでなく、Shopeeのアカウントが停止されるリスクもあります。
特に注意が必要なのは、リチウム電池を含む製品(モバイルバッテリーなど)、液体類(化粧水、香水など)、食品・サプリメント、医薬品・医薬部外品です。これらは国によって規制が異なるため、必ず事前に確認してください。
Shopeeの公式ヘルプページに「出品禁止商品リスト」が掲載されているので、そちらも必ずチェックしましょう。禁制品を知らずに出品して、アカウントが凍結されたという事例は実際に何件も見てきました。
チェック4:競合数の確認
Shopeeで商品名を検索し、すでに何人のセラーが同じ商品を出品しているかを確認します。競合が多すぎる商品は、価格競争が激しく利益を出しにくい傾向にあります。
目安として、同じ商品を出品しているセラーが20人以上いる場合は、新規参入のハードルが高いと判断しています。逆に、競合が5人以下の商品は狙い目です。ただし、競合がゼロの場合は「需要がない」可能性もあるので、なぜ誰も出品していないのかを考える必要があります。
競合セラーの販売実績も重要な判断材料です。上位のセラーが月に数十個以上売れているようであれば、市場に需要があることの証拠になります。逆に、競合セラーの販売数がゼロに近い場合は、その商品自体の需要を疑ったほうがよいでしょう。
チェック5:レビュー内容の分析
競合セラーの商品レビューを読むことで、消費者のニーズや不満を把握できます。特に低評価のレビューは宝の山です。
たとえば、「届くのが遅い」というレビューが多い商品は、配送スピードで差別化できる可能性があります。「説明と違う」というレビューが多い商品は、正確な商品説明と高品質な画像で差別化できます。「偽物だった」というレビューがある商品カテゴリは、「日本から正規品を直送」という点が大きな付加価値になります。
レビューを最低でも20件は読んで、消費者が何を求めていて、何に不満を感じているかを把握してください。これだけで、自分がどのようなポジションで参入すべきかが見えてきます。
チェック6:季節性の確認
商品によっては、季節によって需要が大きく変動するものがあります。東南アジアは日本ほど四季がはっきりしていませんが、それでも季節性はあります。
たとえば、ラマダン(イスラム教の断食月)の時期にはマレーシアやインドネシアでギフト需要が高まります。旧正月の前には、中華系の多いシンガポールやマレーシアで特定の商品が売れやすくなります。また、学校の新学期に合わせて文房具の需要が高まる時期もあります。
Googleトレンドを使って、対象国での検索ボリュームの推移を確認するのも有効です。季節性の高い商品は、需要のピークに合わせて在庫を準備し、オフシーズンには別の商品にシフトする計画を立てましょう。
チェック7:文化的適合性
最後に、対象国の文化や宗教に照らして、その商品が受け入れられるかどうかを確認します。これを怠ると、出品しても売れないだけでなく、クレームやトラブルにつながることもあります。
代表的な注意点としては、マレーシアやインドネシアはイスラム教徒が多いため、豚由来の成分を含む商品(特に食品や化粧品)は避けるべきです。また、肌の露出が多い衣料品の商品画像は、一部の国では規制の対象になる場合があります。
宗教的なモチーフ(仏像や神社の絵柄など)が入った商品も、国によっては敏感な反応を招くことがあります。対象国の文化について基本的な知識を持っておくことが、トラブルを防ぐ第一歩です。
この7項目のチェックリストは、最初は面倒に感じるかもしれません。しかし、1商品あたり15分から20分の確認で外れ商品を事前に除外できるのですから、結果的には大幅な時間と資金の節約になります。コンサル先のセラーさんにもこのリストを配布していますが、「これを使い始めてから赤字の商品がほとんどなくなった」という声を多くいただいています。
「テスト出品」で判断する方法
商品の可能性を判断する最も確実な方法は「3〜5個のテスト出品」だ。仕入れ前に1〜3個調達して出品し、2週間で問い合わせまたは購入が発生しなければ撤退するルールを事前に設けることで在庫リスクを最小化できる。
チェックリストで事前のスクリーニングを行うことは重要ですが、実際に売れるかどうかは、出品してみないとわかりません。リサーチに時間をかけすぎて、いつまでも出品できないという状態は、最も避けるべきパターンです。
私がコンサル先で推奨しているのは、「テスト出品」という考え方です。完璧なリサーチを追求するのではなく、チェックリストをクリアした商品を小ロットで出品し、実際の市場の反応を見て判断するという方法です。
テスト出品の具体的な進め方
まず、チェックリストを通過した商品を最低でも30品、できれば50品用意します。「30品も?」と驚かれるかもしれませんが、テスト出品の段階では数が重要です。1品や2品では、統計的に有意なデータが取れません。
次に、各商品を1個ずつ、または最小ロットで仕入れます。テスト段階では大量仕入れは絶対に避けてください。売れなかった場合の在庫リスクが大きすぎます。無在庫販売が可能な商品であれば、在庫を持たずに出品するのも一つの方法です。
出品後は、最低でも2週間、できれば1か月は様子を見ます。Shopeeのアルゴリズムが新規出品の商品を表示し始めるまでに一定の時間がかかるためです。1週間で売れなかったからといって、すぐに撤退するのは早すぎます。
どの数字を見て判断するか
テスト出品の期間中に注目すべき数字は、主に3つあります。
1つ目は「閲覧数」です。商品ページがどれくらい見られているかを確認します。2週間で閲覧数が10未満の商品は、タイトルやキーワードの設定に問題があるか、そもそも需要がない可能性があります。まずはタイトルとキーワードを見直し、それでも閲覧数が伸びない場合は撤退を検討します。
2つ目は「いいね数」と「カートに入れた数」です。閲覧数はあるのに「いいね」や「カート追加」がゼロの場合、価格設定か商品画像に問題がある可能性が高いです。競合の価格と画像を比較して、改善の余地がないか確認してください。
3つ目は「注文数」です。テスト期間中に1件でも注文が入った商品は、本格的に展開する候補になります。複数の注文が入った商品は、迷わず在庫を増やして本格展開に移行しましょう。
これら3つの数字は、Shopeeのセラーセンターで簡単に確認できます。毎日チェックする必要はありませんが、テスト期間中は週に2回程度は確認して、数字の推移を記録しておくとよいでしょう。数字の変化を追うことで、「何が効いたか」がわかるようになります。たとえば、商品画像を差し替えた翌日から閲覧数が増えた場合、画像の質が閲覧数に直結していることがわかります。このように、テスト出品は単に「売れるか売れないか」を判断するだけでなく、「何をすれば売れるようになるか」を学ぶ機会でもあります。
50品テスト出品からの絞り込み事例
実際のコンサル事例をお話しします。あるセラーさんは、私のアドバイスに従って50品のテスト出品を行いました。チェックリストを使って厳選した商品を、それぞれ1個ずつ仕入れて出品しました。
1か月後の結果はこうでした。50品中、閲覧数がほとんどなかった商品が20品。閲覧はあったが注文ゼロの商品が15品。1件から3件の注文があった商品が10品。5件以上の注文があった商品が5品。
この時点で、注文ゼロの35品は撤退し、注文があった15品に集中することにしました。特に5件以上の注文があった5品は、在庫を増やして商品ページも徹底的に作り込みました。写真を増やし、商品説明を充実させ、関連商品のバンドルセットも用意しました。
その結果、3か月後にはその5品だけで月商100万円を超えるようになりました。当初50品出品して月商20万円だった状態から、5品に絞って月商100万円です。「多く出品すれば売上が上がる」のではなく、「売れる商品に集中する」ことで売上が伸びるということがよくわかる事例です。
ちなみに、この方が最初に出品した50品のうち、もともと「絶対売れる」と自信を持っていた商品は外れ35品の中に入っていました。逆に、「まあ一応出してみるか」と軽い気持ちで出品した商品が、トップ5に入っていたのです。これが、テスト出品の面白いところです。自分の「勘」だけでは当たりを見つけるのは難しい。だからこそ、数を出して市場に判断してもらう必要があるのです。
テスト出品で重要なのは、感情ではなくデータで判断するということです。「この商品は絶対売れるはず」「もう少し待てば売れるかも」という思い込みを捨てて、数字だけを見て冷静に判断してください。外れ商品に固執する時間とコストは、当たり商品の強化に使ったほうがはるかに効率的です。

リサーチ力は経験で伸びる
リサーチ力は最初の50商品を出品することで急速に伸びる。「売れた・売れなかった」の実データが蓄積するほど当たり商品の仮説精度が上がり、50商品出品後の当たり率が出品開始時の2〜3倍になるケースが多い。
ここまで読んで、「やっぱりリサーチは難しそうだ」と感じた方もいるかもしれません。確かに、最初から完璧なリサーチができる人はいません。私自身も、最初のころは外れ商品ばかり出品していました。
しかし、リサーチ力は間違いなく経験によって伸びます。最初の10品のリサーチは手探りでも、50品、100品とリサーチを重ねるうちに、「この商品は売れそうだ」「これは売れないだろう」という直感が磨かれていきます。この直感は、データと経験の積み重ねによって培われるものです。
失敗を記録することの重要性
リサーチ力を最も効率的に高める方法は、「失敗を記録する」ことです。売れなかった商品をただ撤退させるだけでは、同じ失敗を繰り返す可能性があります。
私がコンサル先で推奨しているのは、「失敗商品リスト」の作成です。具体的には、スプレッドシートに以下の項目を記録します。商品名、カテゴリ、仕入れ値、販売価格、出品期間、閲覧数、注文数、そして最も重要な「売れなかった理由の分析」です。
この「売れなかった理由の分析」が、次のリサーチに直結します。「送料が高すぎた」「現地に安い代替品があった」「そもそも需要がなかった」など、売れなかった理由を言語化することで、同じパターンの失敗を避けられるようになります。
あるコンサル先のセラーさんは、この失敗商品リストを半年間つけ続けた結果、リサーチの精度が劇的に向上しました。最初の3か月は出品した商品の70%が外れでしたが、後半の3か月では外れ率が30%にまで下がりました。テスト出品での当たり率が上がったことで、仕入れにかかる初期コストも大幅に減りました。
データの蓄積が「勘」を育てる
リサーチを続けていると、ある時期から「なんとなく売れそう」「なんとなく売れなさそう」という感覚が生まれてきます。これは根拠のない勘ではなく、過去のデータが無意識のうちにパターン認識として機能している状態です。
たとえば、東南アジア向けに100品のリサーチを行った経験があるセラーさんは、新しい商品を見たときに「この商品は重量的に送料が厳しい」「このカテゴリは現地に安い代替品がある」「このブランドはSNSで話題になっているから需要がある」といった判断を、ほぼ瞬時にできるようになります。
この「経験に裏打ちされた勘」は、AIやツールでは代替できない、セラー個人の最大の武器になります。だからこそ、最初の段階での失敗を恐れる必要はありません。失敗は、将来のリサーチ力を高めるための投資だと考えてください。
ある程度の経験を積んだセラーさんは、「この商品は、あのとき失敗した商品と同じパターンだな」という判断を自然にできるようになります。私のコンサル先でも、半年以上続けているセラーさんは、新しい商品を見たときの判断スピードが初心者とはまったく違います。最初は1商品のリサーチに1時間かかっていたのが、経験を積むと10分程度で判断できるようになるのです。この効率の差が、長期的には大きな収益の差につながります。
チームでリサーチ精度を上げる
もう一つ、リサーチ力を高める方法としてお伝えしたいのが、チームでの情報共有です。一人でリサーチを続けるよりも、複数人で情報を共有したほうが、圧倒的に効率が上がります。
コンサル先のあるチームでは、メンバー全員が失敗商品リストを共有し、週に一度「今週の学び」をシェアする時間を設けています。Aさんが発見した「このカテゴリは売れない」という情報を、Bさんがすぐに活用できるため、チーム全体のリサーチ精度が急速に向上しました。
個人で取り組んでいる方も、Shopee輸出のコミュニティやSNSグループに参加して、他のセラーさんと情報交換することをお勧めします。自分一人では気づけなかった視点やノウハウを得られることが多いです。特に、自分がターゲットにしていない国の情報は、他のセラーさんから聞いて初めて知ることがほとんどです。「フィリピンではこのカテゴリが意外と売れる」「ベトナムではこの価格帯がボリュームゾーン」といった生の情報は、データだけでは得られません。
リサーチに終わりはありません。市場は常に変化しますし、トレンドも移り変わります。今日売れている商品が半年後も売れているとは限りません。しかし、リサーチの基本的な考え方と失敗を記録する習慣があれば、変化に対応し続けることができます。
大切なのは、完璧を目指すのではなく、行動しながら学ぶことです。チェックリストでスクリーニングし、テスト出品で検証し、失敗を記録して次に活かす。このサイクルを回し続けることが、リサーチ力を高める最も確実な方法です。











