楽天OEMに取り組むメリット・デメリットと始め方

OEMと言えばAmazon OEMの方が一般的に馴染み深いですが情強は2025年現在楽天に力を入れています。

理由は以下です。

  • AmazonOEMの参入者が増えすぎた
  • トランプ関税問題で中国人セラーがさらに増えると予想される
  • 楽天は日本法人でないと出店できない
  • 在庫期間を短くしてリスク回避可能
  • 月会費が高いので元々Amazonより参入者が少ない

AmazonOEMの参入者が増えすぎた

AmazonはAPIを公に公開しているため様々なツールが存在しデータも入手しやすいです。そのため再現性を持って成功させやすいのですがそれは競合の存在を無視した場合の話です。

OEMでは企画から納品まで半年近くかかかることも稀ではありません。そのためリサーチ時点では競合に勝てるポイントを見つけても同時期に同じことを考えているセラーとバッティングするようなケースもかなり増えました。

上級者はそれも予期して絶対に勝てるポイントを用意してから挑むので問題ないのですが中級者以下には至難の技です。単にテクニックの問題であればまだいいのですが資金が問題だったりするので少なくとも初心者にはAmazonOEMは優しくない世界になってしまいました。

いまだに手放しで勧めている人はクライアントの立場で真剣に考えていないか勉強不足な人だけです。初心者の人に勧めるならメーカー仕入れの方が全然いいです。実は個人輸出ビジネスへの影響は小さいので輸出ビジネスもいまだにおすすめですがこちらは独学が難しいのでもし独学でやるなら輸入メーカー仕入れ一択です。

トランプ関税問題で中国人セラーがさらに増えると予想される

中国→米国の関税が上がって米国輸出(主にFBA販売)がしづらくなったので日本のAmazon市場に切り替える中国人セラーが増えてくると予想されます。そのためAmazonはすでに隙間が少なくなっていますがより熾烈な競争が繰り広げられるようになるでしょう。

すでに自分の強みを確立している上級者には関係のない話ですが初心者・中級者の方には大いに影響があります。

楽天は日本法人でないと出店できない

楽天は日本法人でないと出店できないため中国人セラーのほとんどが参入することが出来ないため中国輸入の商品でも戦いやすいです。

ちなみに楽天の場合Amazonと異なりアカウントだけ売却するようなことは出来ないので売却するなら法人ごと売却する必要があります。そのため逆算してビジネスを設計しましょう。

在庫期間を短くしてリスク回避可能

Amazonと楽天両方で販売することで在庫期間を短くできるのでロット数的に躊躇するような商品でも扱いやすくなります。

ただしこの考えでYahooショッピング、au payマーケット、wowmaなど広げていくことはお勧めしません。個人的にはAmazon、楽天、(Yahoo)、自社ECで十分です。

初心者から始める場合片方でも難しいのでAmazonと楽天両方を一度に両方攻略しようとするのはやめておきましょう。

月会費が高いので元々Amazonより参入者が少ない

楽天では一番安いがんばれプランを提供していない時期もあったのでその時期最低でも6万円/月以上かかる計算になっていました。物販初心者で独学で月6万円払って出店しようと思う人は少ないはずです。

ただ結果として楽天の方が稼ぎやすい時期が続いています。今はがんばれプランの募集が再開されていますがそれでも2万円程度はかかるので何も戦略なく申し込むには高い金額と言えるでしょう。実際リサーチやページの作り方、広告運用の方法も微妙に違います。

昔Yahooショッピングが無料化されたタイミングで一気に難易度が上がったことからも安ければお得なように見えて結局初心者~中級者レベルでは競合が増えて稼ぎづらくなるということを忘れてはいけません。

まだどこにも出店していない人はわかりづらいと思うので別の例えを挙げます。

記事執筆時点ではちょうど任天堂Switch2の抽選募集の結果が発表された時期でしたがお得な国内版は当選率が非常に低く少し高いものの海外版は当たりやすかったことなどが例として分かりやすいのではないでしょうか?結局人との戦いです。

もっと身近な例で言うならば休日は店が混むから平日に行く、ような感じです。これは競合を意識したいい例ですがビジネスになると途端にできなくなる人が多いです。

競合の存在を無視してビジネスに取り組むのはあまりに危険すぎます。

楽天OEMに取り組むメリット

今までの話の流れからも分かると思いますが楽天OEMに取り組むメリットはAmazonと比較して市場規模に対して競合が少ないことです。

単純にOEMとメーカー仕入れを比較するならば利益率が高いことで資金を増やす効率がいいことが挙げられます。人生は有限なので限られた期間で資金を増やすにはどうしてもレバレッジをかけることが必要です。

物販でレバレッジをかけるには以下のような要素を持つものに取り組む必要があります。全てを満たすものは存在しないので複数に該当すれば大丈夫です。

  • 利益率が高い
  • 融資を受けることが可能
  • ツールや外注化で仕組み化しやすい
  • キャッシュフローが短い

また楽天よりAmazonの方が便利なツールはいくらでもあります。しかしAmazonは便利になりすぎた故に海外の参入者とも戦う羽目になっています。結局自分の効率が上がっても周りの効率も上がれば戦いづらくなります。

Amazonでは競合が10社いるような商品でも楽天では2社しかいないというような状況は本当によくあることです。

AmazonOEMメインで行くならば

  • すでに資金が潤沢にあり色々試すことができる上級者
  • 初心者でも動画活用またはSNS活用できる人

でないと攻略は不可能になると言ってもいいでしょう。この条件に当てはまらないのであれば記事の途中にも書いたように輸入のメーカー仕入れをしたり輸出の無在庫販売をしたりあるいはそもそも物販以外のビジネスを選択肢に入れましょう。個人的にはスモールビジネス×仕組み化を推しています。

楽天OEMの始め方

楽天市場で商品を販売しているものの、価格競争に巻き込まれて利益が出ない、他店との差別化ができずに売上が伸び悩んでいる、そんな悩みを抱えていませんか。実は、多くの楽天出店者が同じような課題に直面しています。

楽天市場の出店数は5万店舗を超え、商品数は3億点以上という巨大なマーケットプレイスとなった今、単純な仕入れ販売では生き残ることが困難になってきました。価格.comやAmazonとの比較も容易になり、最安値でなければ売れない、しかし最安値では利益が出ないという負のスパイラルに陥っている店舗が増えています。

しかし、この状況を打破し、高利益率を実現しながら持続的な成長を遂げている店舗があります。その秘密が「OEM(Original Equipment Manufacturing)」です。OEMとは、自社ブランドの商品を工場に製造委託することで、オリジナル商品を展開するビジネスモデルです。

楽天市場は、Amazonと比較してブランド構築に適したプラットフォームです。店舗ページのカスタマイズ性が高く、ブランドストーリーを伝えやすい環境が整っています。また、楽天ポイントやお買い物マラソンなどの独自の集客システムにより、一度ファンになった顧客がリピート購入しやすい仕組みがあります。

本記事では、楽天市場でOEMビジネスを始めるための具体的な方法を、12,000文字にわたって詳しく解説します。初心者でも理解できるよう、基本的な流れから、リサーチ方法、工場選び、そして陥りやすい注意点まで、実践的な内容を網羅的にお伝えします。

楽天OEMの始め方と流れ

OEMビジネスの全体像を理解する

楽天OEMを始める前に、まずビジネスの全体像を把握することが重要です。OEMビジネスは、単に商品を作って売るだけではなく、市場調査、商品企画、製造管理、品質管理、マーケティング、顧客対応など、多岐にわたる業務を統合的に管理する必要があります。

一般的な楽天OEMのビジネスフローは、市場リサーチ→商品企画→工場選定→サンプル作成→本生産→品質検査→楽天出店準備→販売開始→マーケティング→改善・拡大という流れになります。各ステップには数週間から数ヶ月かかることもあり、初回の商品が販売開始されるまでには、通常3〜6ヶ月程度の期間が必要です。

資金面では、最低でも100万円以上の初期投資が必要になることが一般的です。これには、商品の製造費用、楽天の出店費用、初期在庫、マーケティング費用などが含まれます。ただし、商品カテゴリーや製造ロット数によって大きく変動するため、事前の資金計画が極めて重要です。

事前準備:ビジネスプランの策定

楽天OEMを成功させるためには、しっかりとしたビジネスプランの策定が不可欠です。まず、自社の強みと弱みを分析し、どのような市場でどのような価値を提供するのかを明確にします。

ターゲット顧客の設定も重要です。「30代女性」といった大まかな設定ではなく、「都市部に住む30代前半の働く女性で、美容と健康に月3万円以上使う層」といった具体的なペルソナを設定します。このペルソナに基づいて、商品開発やマーケティング戦略を立案していきます。

競合分析も欠かせません。楽天市場内で成功しているOEMブランドを10社以上ピックアップし、商品ラインナップ、価格帯、デザイン、マーケティング手法などを詳細に分析します。成功パターンを学びながら、自社独自の差別化ポイントを見つけることが重要です。

楽天出店の準備と申請

楽天市場への出店は、OEMビジネスの重要な第一歩です。楽天には複数の出店プランがありますが、OEMビジネスの場合は「スタンダードプラン」以上がおすすめです。月額費用は5万円からと高額ですが、商品登録数が多く、各種機能が充実しているため、本格的なビジネス展開に適しています。

出店審査には、個人事業主の場合は開業届、法人の場合は登記簿謄本などの書類が必要です。また、取り扱い予定商品の詳細な説明や、仕入れ先(OEMの場合は製造委託先)の情報も求められます。審査期間は通常2〜4週間程度かかるため、商品開発と並行して準備を進めることが効率的です。

楽天の各種規約やガイドラインも事前に熟読しておく必要があります。特に、商品ページの作成ルール、禁止事項、知的財産権に関する規定などは、OEMビジネスを行う上で重要なポイントとなります。

商品カテゴリーの選定

楽天OEMで成功するためには、適切な商品カテゴリーの選定が極めて重要です。市場規模、競合状況、参入障壁、利益率などを総合的に判断する必要があります。

初心者におすすめのカテゴリーとしては、アパレル小物(バッグ、財布、アクセサリー)、生活雑貨(収納用品、キッチン用品)、美容・健康グッズなどが挙げられます。これらは比較的少ロットから製造可能で、差別化もしやすいカテゴリーです。

一方、避けるべきカテゴリーもあります。電化製品は技術的なハードルが高く、食品や化粧品は各種認可が必要で、初心者には難易度が高いです。また、季節商品は在庫リスクが高いため、通年で販売できる商品から始めることをおすすめします。

初期投資と資金計画

楽天OEMビジネスの初期投資は、一般的に以下のような内訳になります:

商品開発・製造費用が全体の50〜60%を占めることが多く、最小ロット数にもよりますが、30〜100万円程度は必要です。楽天出店費用は、初期費用と月額費用を合わせて年間60〜100万円程度。マーケティング費用として、商品撮影、ページ制作、広告費などに20〜50万円程度を見込む必要があります。

運転資金も忘れてはいけません。売上が安定するまでの3〜6ヶ月分の固定費をカバーできる資金を確保しておくことが重要です。また、追加発注や新商品開発のための資金も考慮に入れておく必要があります。

資金調達の方法としては、自己資金のほか、日本政策金融公庫の創業融資、信用保証協会の保証付き融資、クラウドファンディングなどの選択肢があります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、自社の状況に応じて最適な方法を選択します。

商品開発のプロセス

商品開発は楽天OEMの核心部分です。まず、市場のニーズを正確に把握し、それに応える商品コンセプトを立案します。単に既存商品を模倣するのではなく、顧客の潜在的な不満や要望を解決する商品を目指すことが重要です。

デザイン段階では、ターゲット顧客の好みを反映させながら、機能性と審美性のバランスを取ります。プロのデザイナーに依頼することも選択肢の一つですが、費用対効果を考慮する必要があります。最近では、CADソフトを使った3Dデザインも一般的になってきています。

素材選定も重要なポイントです。品質、コスト、調達の安定性を総合的に判断します。エコフレンドリーな素材を使用することで、差別化を図ることも可能です。また、日本製にこだわることで、品質面での信頼性を高めることもできます

販売戦略の立案

楽天OEMの成功は、優れた商品を作るだけでなく、効果的な販売戦略にかかっています。まず、価格戦略を慎重に検討します。原価、楽天の手数料、広告費、利益を考慮し、競合と比較して適正な価格を設定します。

商品ページの作り込みも極めて重要です。楽天では、商品ページの質が売上に直結します。プロのカメラマンによる商品撮影、説得力のあるキャッチコピー、詳細な商品説明、使用シーンの提案など、購買意欲を高める要素を盛り込みます。

プロモーション戦略も事前に計画しておきます。楽天スーパーセール、お買い物マラソンなどのイベントへの参加、楽天広告(RPP広告、クーポンアドバンス広告など)の活用、メルマガやLINEを使った顧客コミュニケーションなど、多角的なアプローチが必要です。

楽天OEMのリサーチと工場の選び方

市場リサーチの重要性と方法

楽天OEMで成功するためには、徹底的な市場リサーチが不可欠です。まず、楽天市場内でのリサーチから始めます。楽天の検索機能を使い、関連キーワードでの検索結果を分析します。上位表示されている商品の特徴、価格帯、レビュー内容などを詳細に調査します。

売れ筋ランキングの分析も重要です。各カテゴリーのランキングを定期的にチェックし、トレンドの変化を把握します。特に、ランキング上位の商品のレビューを読み込むことで、顧客の不満点や改善要望を発見できます。これらの情報は、自社商品の差別化ポイントを見つける上で貴重なヒントとなります。

楽天以外のプラットフォームでのリサーチも欠かせません。Amazon、Yahoo!ショッピング、メルカリなどでの販売状況を確認し、市場全体のトレンドを把握します。また、SNSでの口コミや、関連するブログ記事なども参考になります。

競合分析の具体的手法

競合分析は、単に商品を比較するだけでなく、ビジネスモデル全体を理解することが重要です。まず、直接的な競合を5〜10社程度ピックアップし、詳細な分析シートを作成します。

分析項目には、商品ラインナップ、価格戦略、ターゲット顧客、USP(Unique Selling Proposition)、マーケティング手法、顧客対応などを含めます。特に、レビューの内容と対応方法は詳しく分析する価値があります。高評価を得ている要因と、低評価の原因を把握することで、自社商品の改善点が見えてきます。

競合の強みと弱みを分析した後は、自社のポジショニングを明確にします。価格で勝負するのか、品質で差別化するのか、デザインで勝負するのか、あるいはサービスで差をつけるのか。複数の要素を組み合わせて、独自のポジションを確立することが重要です。

トレンド分析と将来予測

OEM商品の開発には時間がかかるため、現在のトレンドだけでなく、将来のトレンドを予測することが重要です。Googleトレンドを使った検索動向の分析、業界レポートの確認、海外市場の動向チェックなどを行います。

季節性の分析も欠かせません。多くの商品には季節による需要の変動があります。この変動パターンを理解し、適切なタイミングで商品を投入することで、売上を最大化できます。ただし、初心者の場合は、季節変動の少ない通年商品から始めることをおすすめします。

社会的なトレンドも考慮に入れます。例えば、環境意識の高まり、健康志向の強まり、在宅ワークの普及など、社会の変化は新たなビジネスチャンスを生み出します。これらのトレンドを商品開発に反映させることで、時代のニーズに合った商品を生み出すことができます。

工場選定の基準と評価方法

OEM工場の選定は、ビジネスの成否を左右する重要な決定です。まず、国内工場と海外工場(主に中国)のメリット・デメリットを理解する必要があります。

国内工場は、品質管理がしやすく、コミュニケーションもスムーズですが、コストは高くなります。一方、中国工場はコスト面で有利ですが、品質管理やコミュニケーションに課題があります。初心者の場合は、多少コストが高くても国内工場から始めることをおすすめします

工場の評価基準としては、生産能力、品質管理体制、納期の信頼性、最小ロット数、価格競争力、コミュニケーション能力、アフターフォローなどが挙げられます。可能であれば、工場見学を行い、実際の生産現場を確認することが理想的です。

工場との交渉と契約

工場が決まったら、具体的な交渉に入ります。価格交渉では、単価だけでなく、金型費用、サンプル費用、送料なども含めたトータルコストで判断します。また、支払い条件(前金の割合、決済方法など)も重要な交渉ポイントです。

品質基準の明確化も欠かせません。不良品の定義、許容範囲、検品方法などを事前に取り決めておきます。可能であれば、品質保証契約を結び、不良品が発生した場合の対応方法を明文化しておくことが重要です。

知的財産権の保護も重要な課題です。自社のデザインや仕様が他社に流出しないよう、秘密保持契約(NDA)を締結します。また、OEM契約書には、独占製造権や販売地域の制限なども明記しておくことが重要です。

サンプル作成と品質確認

本生産に入る前に、必ずサンプルを作成し、品質を確認します。サンプル作成には通常2〜4週間かかりますが、この段階で妥協してはいけません。細部まで確認し、必要に応じて修正を依頼します。

サンプルの評価では、外観だけでなく、機能性、耐久性、安全性なども確認します。可能であれば、ターゲット顧客に近い人に使用してもらい、フィードバックを収集することも有効です。

サンプルが承認されたら、量産前サンプル(プリプロダクションサンプル)を作成してもらいます。これは実際の量産ラインで作られるサンプルで、最終的な品質を確認する重要なステップです。

品質管理と検品体制

OEMビジネスにおいて、品質管理は顧客満足度に直結する重要な要素です。工場での生産段階から、自社での受入検査まで、複数の段階で品質チェックを行う体制を構築します。

生産中の品質管理では、工場に定期的な報告を求めます。可能であれば、第三者検査機関を利用することも検討します。特に海外工場の場合は、現地の検査機関を活用することで、品質リスクを軽減できます。

受入検査では、全数検査か抜き取り検査かを商品の特性に応じて決定します。検査項目をチェックリスト化し、誰が検査しても同じ基準で判断できるようにします。不良品が見つかった場合の対応フローも事前に決めておくことが重要です。

楽天OEMの注意点・トラブル事例

法的リスクと知的財産権

楽天OEMビジネスを行う上で、法的リスクの理解と対策は極めて重要です。最も注意すべきは、知的財産権の侵害です。他社の商標、意匠、特許を侵害すると、販売停止や損害賠償請求を受ける可能性があります。

商標については、商品名やブランド名を決める前に、必ず商標検索を行います。特許庁のJ-PlatPatで無料で検索できます。類似商標が存在する場合は、名称を変更するか、権利者と交渉する必要があります。自社ブランドについても、早めに商標登録を行うことで、他社からの侵害を防ぐことができます。

意匠権(デザイン)についても注意が必要です。既存商品のデザインを参考にする場合は、どこまでが許容範囲なのかを慎重に判断する必要があります。完全なオリジナルデザインを作成するか、十分な差別化を図ることが重要です。

製造物責任(PL法)も理解しておく必要があります。自社ブランドの商品で事故が発生した場合、製造者として責任を問われる可能性があります。そのため、PL保険への加入を検討することをおすすめします。

資金繰りの問題と対策

楽天OEMビジネスでは、資金繰りの問題が頻繁に発生します。特に、売上が入金されるまでのタイムラグと、仕入れ代金の支払いタイミングのズレが原因となることが多いです。

楽天の売上金は、通常、売上確定から45日後に入金されます。一方、工場への支払いは、多くの場合、発注時に30〜50%、納品時に残額を支払う必要があります。この資金ギャップを埋めるための運転資金が必要です。

対策としては、十分な運転資金の確保、売掛金ファクタリングの活用、クレジットカードの活用などがあります。また、工場との交渉により、支払い条件を改善することも可能です。ただし、無理な交渉は信頼関係を損なう可能性があるため、慎重に行う必要があります。

在庫の適正化も資金繰り改善の重要なポイントです。売れ筋商品と死に筋商品を明確に分け、在庫回転率を高めることで、資金効率を改善できます。

品質トラブルとクレーム対応

OEMビジネスでは、品質に関するトラブルが避けられません。不良品の混入、仕様と異なる商品の納品、輸送中の破損など、様々な問題が発生する可能性があります。

予防策としては、品質基準の明確化、検品体制の強化、工場との密なコミュニケーションが重要です。また、トラブルが発生した場合の対応マニュアルを事前に作成しておくことで、迅速な対応が可能になります

顧客からのクレームには、誠実かつ迅速に対応することが重要です。まず、事実確認を行い、自社に非がある場合は速やかに謝罪し、交換や返金などの対応を行います。クレーム対応の履歴を記録し、同様の問題が再発しないよう、改善策を講じることも重要です。

在庫リスクとその管理

OEMビジネスの大きなリスクの一つが在庫リスクです。最小ロット数の制約により、売れ残りのリスクが常に存在します。特に、トレンド商品や季節商品は、タイミングを逃すと大量の不良在庫を抱える可能性があります。

在庫リスクを軽減するためには、需要予測の精度を高めることが重要です。過去の販売データ、市場トレンド、競合動向などを総合的に分析し、適切な発注量を決定します。初回発注は控えめにし、売れ行きを見ながら追加発注することも有効な戦略です。

在庫処分の戦略も事前に検討しておく必要があります。セール、アウトレット販売、セット販売、B級品としての販売など、様々な方法があります。最悪の場合は、廃棄処分も選択肢として考慮する必要があります。

競合との価格競争

楽天市場では、価格競争が激しく、利益率の低下に悩む店舗が多いです。OEM商品であっても、類似商品との競争は避けられません。

価格競争に巻き込まれないためには、価格以外の価値を提供することが重要です。ブランドストーリー、優れたカスタマーサービス、充実したアフターフォロー、付加価値サービスなど、総合的な価値提案を行うことで、価格だけでない競争力を持つことができます

また、商品の差別化も重要です。機能、デザイン、品質、パッケージングなど、様々な要素で差別化を図ることで、直接的な価格比較を避けることができます。

模倣品・類似品の問題

成功したOEM商品は、必ず模倣される運命にあります。特に中国では、人気商品はすぐにコピーされ、より安い価格で販売されることがあります。

対策としては、知的財産権の取得、継続的な商品改良、ブランド力の強化などがあります。また、顧客との関係性を深め、価格だけでなく信頼で選ばれるブランドを構築することが、最も効果的な対策となります。

模倣品を発見した場合は、楽天への通報、権利侵害の警告、法的措置の検討など、段階的な対応を行います。ただし、すべての模倣品に対応することは現実的ではないため、コストと効果を考慮した判断が必要です。

スケールアップの課題

初期の成功後、ビジネスをスケールアップする段階で新たな課題が発生します。商品ラインの拡大、新規市場への参入、組織体制の構築など、様々な経営課題に直面します。

商品ラインの拡大では、ブランドの一貫性を保ちながら、顧客ニーズに応える商品を開発する必要があります。むやみに商品を増やすのではなく、戦略的に商品ポートフォリオを構築することが重要です。

組織面では、外注先の管理、スタッフの採用と教育、業務プロセスの標準化などが課題となります。特に、品質管理やカスタマーサービスの質を維持しながら、効率化を図ることは容易ではありません。

まとめ:楽天OEMで成功するために

楽天OEMは、適切な準備と戦略があれば、高収益なビジネスモデルとなる可能性を秘めています。しかし、安易な参入は失敗のリスクが高く、十分な準備と継続的な努力が必要です。

成功のポイントは、徹底的な市場リサーチ、差別化された商品開発、信頼できる工場との関係構築、そして顧客視点でのブランド構築です。また、失敗を恐れず、小さく始めて徐々に拡大していく姿勢も重要です。

楽天OEMは、単なる物販ビジネスではなく、ブランドビジネスです。顧客に選ばれ続けるブランドを構築することで、持続的な成長と高収益を実現することができます。本記事で紹介した内容を参考に、ぜひ楽天OEMビジネスにチャレンジしてみてください。

   

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