eBay広告Promoted Listings完全ガイド|広告費率の決め方と利益を残す運用サイクル

「広告をかけたら、利益が消えた」——よくある相談から

eBayのPromoted Listings(プロモーテッドリスティング)は、出品を検索結果の上位や露出枠に押し出す公式広告。正しく使えば売上を大きく伸ばせるが、広告費率(ad rate)を根拠なく設定すると「売れているのに利益が残らない」状態に陥る。広告運用の本質は出稿ボタンを押すことではなく、利益設計から逆算した費率の決定と、データに基づく週次の改善サイクルにある。

コンサルの相談で、こういうケースが定期的に来ます。Aさん(中古カメラ・月商80万円)は、売上を伸ばしたくてPromoted Listingsを全出品に一括設定しました。推奨されるままの広告費率で、対象は全商品。結果、売上は月商95万円に伸びました。ところが月末に利益を締めると、広告費が利益の4割を食っていて、手取りは広告を始める前より減っていたのです。

Aさんの失敗は、広告そのものではありません。「何%までなら払えるのか」を計算せずに出稿したことと、「どの商品に広告が効くのか」を選別しなかったことです。逆に言えば、この2つを設計してから出せば、Promoted ListingsはeBay輸出で最も再現性の高い売上加速装置になります。

この記事では、Promoted Listingsの仕組みと種類、利益設計から逆算する広告費率の決め方、対象商品の選び方、データの読み方、週次の改善サイクルまで、「利益を残す広告運用」に絞って解説します。クーポンやセールなど販促機能全般の使い方は別記事(eBay広告運用と販促ツールのガイド)に譲り、ここでは広告の費用対効果だけを深掘りします。

eBayの出品広告は大きく「成果報酬型(売れたときに設定した広告費率を支払う・旧Standard系)」と「クリック課金型(キーワードを指定しクリックごとに課金・旧Advanced系)」の2つ。名称はGeneral・Priorityなどへの改称が繰り返されているため管理画面の最新表記で確認しつつ、課金の起き方で区別するのが本質的。初心者はまず成果報酬型から始める。

eBay Seller Hubのマーケティングメニュー画面

eBayの出品広告は、Seller Hubの広告メニューから作成します。細かいメニュー名は改定が続いていますが、課金モデルで見ると本質は2つだけです。

課金が起きるタイミングコントロール向いている人
成果報酬型
(旧Standard→General系)
広告経由で売れたときに、設定した広告費率(ad rate)%を支払う費率%を商品ごとに設定するだけ。キーワード指定なし全セラー。まずここから。売れなければ広告費ゼロ
クリック課金型
(旧Advanced→Priority系)
検索結果の最上位枠などでクリックされるたびに課金キーワード・入札額・予算を自分で運用運用に時間を割ける中級者以上。競争の激しい商材

重要なのは、成果報酬型は「売れなければ1円もかからない」ことです。在庫が動かないリスクはあっても、広告費が空振りするリスクはありません。だからeBay広告の入口は必ず成果報酬型です。クリック課金型は、クリックされたのに売れなければ費用だけが出ていく、いわば上級者の武器。この記事では成果報酬型を軸に解説し、クリック課金型は後半で導入手順に触れます。

名称は変わる。課金モデルで覚える
eBayの広告メニューはStandard→General、Advanced→Priorityなど改称・再編が繰り返されています。ネット上の古い記事とメニュー名が食い違っていても慌てず、「売れたとき課金か、クリックで課金か」で見分けてください。この2分類は変わっていません。

どこに表示され、いつ課金されるのか

成果報酬型の広告枠は検索結果の上位・類似商品欄・商品ページ下部など多岐にわたり、広告経由のクリックから一定期間内に購入されると設定費率が課金される。オーガニック(自然検索)で売れた場合は課金されないため、「広告で見つけてもらい、後で買われる」ケースも取りこぼさない設計になっている。

成果報酬型の広告を設定すると、あなたの出品は検索結果の上位枠、商品ページの「類似商品」欄、関連商品のレコメンド枠など、eBay内のさまざまな露出面に「Sponsored」表示付きで出るようになります。

課金のルールも整理しておきましょう。

バイヤーが広告枠経由でクリックし、その後一定期間内にその商品を買ったときに、設定した費率%が課金される
広告を出していても、自然検索(オーガニック)経由で売れた場合は課金されない
課金額は「成約価格 × 設定費率」。$100で売れて費率5%なら広告費$5

つまり成果報酬型は、「広告で露出を買い、売れたときだけ成功報酬を払う」モデルです。この構造を理解すると、後述する「何%かけるか」が単なる感覚ではなく、利益からの逆算問題だと分かります。

広告費率は何%にすべきか——利益から逆算する

広告費率の上限は「商品の利益率から、確保したい最低利益率を引いた残り」で決まる。利益率20%の商品で最低15%を確保したいなら、許容広告費率は5%が上限。感覚や推奨値ではなく、商品ごとの利益構造から逆算して設定することが、広告で利益を溶かさない唯一の方法になる。

本題です。広告費率は、次の一行で決まります。

許容広告費率の計算式
許容広告費率 = 商品の利益率 − 確保したい最低利益率
例:利益率20%の商品で、最低でも15%は残したい → 広告にかけられるのは最大5%。利益率12%の商品で最低10%残したいなら、許容は2%。この式より高い費率を設定した瞬間、「売れるほど目標利益を割る」ことが確定します。

利益率別の目安を表にします。自分の主力商品の利益率と照らしてください。

商品の利益率確保したい利益率許容広告費率運用の考え方
25%以上15%〜10%広告余力が大きい。強気の費率で露出を最大化できる
20%15%〜5%標準ゾーン。2〜5%から始めて効果を見る
15%12%〜3%低費率で「最後のひと押し」だけ買う。全品出稿はしない
12%以下原則出稿しない広告の前に、仕入れ・価格・送料の見直しが先

ここで大事な視点がもう1つあります。広告は「利益率」だけでなく「利益額」で判断することです。$300のレンズに3%の広告費を払うと$9ですが、それで売れる確率が上がるなら、利益額$50超の商品では十分ペイします。一方、$30の商品の3%は$0.9でも、もともと利益額が$4しかないなら重い。高単価・高利益額の商品ほど広告と相性が良いのは、この構造のためです。

推奨費率(suggested rate)を鵜呑みにしない

eBayが表示する推奨費率(suggested ad rate)はカテゴリ内の競争状況から算出された「露出を取りやすい水準」であり、セラーの利益を考慮した数字ではない。推奨値が自分の許容広告費率を超えているなら、それは「その商品は広告競争に向いていない」というシグナルとして読む。設定は常に自分の逆算値を優先する。

広告設定画面には、商品ごとに「推奨費率」が表示されます。ここが最大の罠です。推奨費率は、そのカテゴリの広告競争で露出を取りやすい水準を示したもので、あなたの利益が残るかどうかは一切考慮されていません。

推奨との付き合い方は次の通りです。

自分の許容広告費率(前章の逆算値)を先に計算してから、推奨値を見る
推奨値が許容内なら、推奨値付近でスタートしてよい(露出効率は良い水準)
推奨値が許容を超えているなら、許容値の上限で出す。それで露出が取れないなら、その商品は広告勝負に向いていない
「推奨値まで上げませんか」という表示に、根拠なく従わない
推奨費率はeBayの営業提案でもある
推奨値はデータに基づく参考値であると同時に、広告収益を最大化したいプラットフォーム側の提案でもあります。悪意はなくとも、あなたの損益分岐を知っているのはあなただけです。「推奨だから安心」ではなく「許容内だから出す」。判断の主導権を手放さないでください。

どの出品に広告をかけるか——全部載せはNG

広告対象は「新規出品の初速づけ」「閲覧はあるが伸び悩む準売れ筋」「季節ピークを迎える商品」に絞るのが原則。もともと売れている看板商品は広告なしでも売れるため費率を最小に、閲覧すらない死に筋は広告より先に出品自体(写真・タイトル・価格)の改善が必要になる。

Aさんの失敗のもう半分は「全出品に一括設定」でした。広告が効く商品と効かない商品を仕分けます。

新規出品:実績ゼロの出品は検索で不利。最初の2〜4週間だけ広告で初速をつけ、販売実績が付いたら費率を下げる
準売れ筋:閲覧・ウォッチはあるのに成約が伸びない商品。露出を一段増やすと化けることが多い、広告の主戦場
季節商品:ピーク前に費率を上げて露出を確保し、シーズンで刈り取る
看板商品(放っておいても売れる):広告なしでも検索上位。かけるなら最小費率で「枠の防衛」だけ
死に筋(閲覧すらない):露出を買っても、写真・タイトル・価格が弱ければクリックも成約もされない。広告費をドブに捨てる前に出品を直す
広告は「もう少しで売れる商品」の背中を押す道具
広告が最も効くのは、商品力はあるのに露出だけが足りない出品です。ゼロを1にする力はありません。「閲覧はあるか」「ウォッチは付くか」を見て、商品力の証拠がある出品にだけ投資する。これが費用対効果の分水嶺です。

キャンペーン作成の手順

成果報酬型キャンペーンの作成は「Seller Hubの広告メニュー→キャンペーン作成→対象出品の選択→費率設定→開始」の流れで数分で完了する。最初は主力ジャンルの10〜20品・許容内の費率でスモールスタートし、キャンペーンは「新規出品用」「準売れ筋用」など目的別に分けると後の分析が楽になる。

eBay広告キャンペーン作成画面のスクリーンショット

実際の作成手順です。数分で終わります。

1
Seller Hubの広告(Advertising)メニューを開き、キャンペーン作成を選ぶ
2
成果報酬型のキャンペーンタイプを選択する
3
対象出品を選ぶ。最初は全選択せず、前章で仕分けた「新規出品」「準売れ筋」から10〜20品
4
費率を設定する。一括同率ではなく、商品ごとに許容広告費率の範囲で入力する
5
キャンペーン名を「新規出品ブースト」「準売れ筋テコ入れ」など目的が分かる名前にして開始する

キャンペーンを目的別に分けておくと、後で「新規向けは効いているが、テコ入れ組は動かない」のような分析が一目でできます。逆に全商品を1つのキャンペーンに放り込むと、何が効いているのか永遠に分かりません。キャンペーン設計は分析設計です。最初に分けておいてください。

データの読み方——見るべき指標は4つだけ

広告ダッシュボードで見るべきは「インプレッション(表示回数)・クリック数/CTR・広告経由売上・広告費」の4系統。この4つから「表示されているか→クリックされているか→買われているか→採算は合っているか」を順に診断でき、どの段階で詰まっているかで打ち手(費率調整・出品改善・対象入替)が決まる。

広告キャンペーンのパフォーマンス分析ダッシュボード画面

広告を出したら、ダッシュボードで結果を読みます。指標はたくさん表示されますが、見るべきは4系統だけです。

指標何が分かるか詰まっていたら
インプレッション
(表示回数)
そもそも露出枠に出ているか費率が競争水準に届いていない。許容内で費率を一段上げるか、その商品の広告は諦める
クリック数・CTR表示された広告が押されているか写真1枚目とタイトルと価格の問題。広告でなく出品を直す
広告経由の成約クリックしたバイヤーが買っているか商品ページの中身(説明・状態・送料・返品条件)か価格の問題
広告費と広告経由売上採算が合っているか費率の下げ・対象からの除外を判断する

この4つは診断の順番でもあります。「表示→クリック→成約→採算」の順に見て、最初に詰まっている段階を直す。表示されていないのにクリック率を悩んでも意味がなく、クリックされていないのに費率を上げても無駄です。順番に潰せば、打ち手は自動的に決まります。

週次の改善サイクル——15分で回す

広告運用は毎日眺めるものではなく、週1回15分の定例で「採算の合わない商品を外す→詰まっている段階に応じて費率・出品を直す→新規出品を足す」を回すのが現実的。判断に必要なデータが貯まる前に触りすぎると、何が効いたのか分からなくなる。

広告は植物と同じで、毎日引っこ抜いて根を確かめると育ちません。週1回、曜日を決めて15分だけ触ります。

1
ダッシュボードを開き、キャンペーンごとに広告費と広告経由売上を確認する
2
「広告費が利益を食っている商品」を対象から外すか、費率を下げる
3
表示が出ていない商品は費率を許容内で一段上げる。クリックされていない商品は写真・タイトルを直す
4
今週の新規出品を「新規出品ブースト」キャンペーンに追加する
5
変更は一度にまとめて行い、次週まで触らない(変更点と結果の対応を取るため)
触りすぎは「何が効いたか分からない」を生む
費率を毎日いじると、売上の変化がどの変更のせいなのか切り分けられなくなります。変更は週1回まとめて、1週間は我慢して観察する。地味ですが、これが最速の学習ループです。

クリック課金型(キーワード型)の始め方

クリック課金型は検索キーワードを指定して最上位枠を狙う上級メニューで、始めるなら「主力1商品・1日数百円の予算上限・自分が買い手なら打つ検索語5〜10個」からのスモールスタートが鉄則。検索語レポートで「クリックはされるが売れない語」を除外していく運用が本体で、放置すると費用だけが積み上がる。

成果報酬型が回り始めたら、競争の激しい主力商品にクリック課金型を試す価値があります。ただし、こちらは売れなくてもクリックで課金される「攻めの武器」。手順を間違えると費用だけが出ていきます。

1
対象は主力1商品だけに絞る(いきなり複数はNG)
2
1日の予算上限を数百円に設定する。上限なしで開始しない
3
キーワードは「自分がバイヤーならこう検索する」を5〜10個。型番・ブランド名・状態(used/mint等)の組み合わせが基本
4
1〜2週間後に検索語レポートを見て、クリックだけ集めて売れない語を除外する
5
売れる語が見つかったら、その語に予算を寄せる

クリック課金型の本体は、出稿ではなく除外の運用です。「関係ない検索で押されている」を潰し続けると、残った語の費用対効果がどんどん締まっていきます。逆に、出しっぱなしで放置するくらいなら、やらないほうがましです。

広告より先に、出品品質——順番を間違えない

広告は出品の弱点を拡大表示する装置でもあり、写真・タイトル・価格・送料条件が弱い出品に広告費をかけても「露出は増えたのに売れない」だけで終わる。広告投下の前に、1枚目の写真・タイトルのキーワード・相場に対する価格・発送/返品条件の4点を整えるのが正しい順番になる。

最後に、この記事で一番大事なことを言います。広告は、良い出品を加速する装置であって、悪い出品を救う装置ではありません。むしろ露出が増えるぶん、弱点が拡大表示されます。クリックされない写真、検索に引っかからないタイトル、相場より高い価格。広告費は、これらの問題を可視化するためにだけ消えていきます。

広告を出す前のチェックリストです。

1枚目の写真は、検索結果の小さなサムネイルでも商品が魅力的に見えるか
タイトルに、バイヤーが実際に打つキーワード(型番・ブランド・状態)が入っているか
価格は、同条件の落札履歴(Sold Listings)と比べて説明のつく水準か
発送日数・送料・返品条件が、競合と比べて見劣りしないか

この4点が整った出品への広告は、少ない費率でもよく効きます。整っていない出品への広告は、高い費率でも効きません。広告の費用対効果は、出稿前にほぼ決まっているのです。

広告費込みの月次利益管理——実効広告費率を追う

広告の採算はキャンペーン単位だけでなく、月次の「実効広告費率(広告費÷総売上)」で管理する。オーガニック売上も含めた総売上に対して広告費が何%かを見ることで、事業全体として広告に依存しすぎていないかが分かる。目安は総売上比3〜5%以内で、これを超えて伸び続けるなら「広告で買った売上」に利益が食われ始めている。

キャンペーン単位の採算に加えて、月に1回だけ「事業全体」の視点で広告を見ます。使う数字は1つ、実効広告費率=広告費 ÷ 総売上(オーガニック含む)です。

月次項目金額例売上比
総売上(広告経由+オーガニック)1,000,000円100%
仕入原価−550,000円55%
送料・梱包−120,000円12%
販売手数料−130,000円13%
広告費−40,000円4%(実効広告費率)
利益160,000円16%

広告経由の採算が個別に合っていても、実効広告費率がじわじわ上がり続けているなら要注意です。それは「広告がないと売れない体質」に近づいているサインで、費率競争が激化した瞬間に利益構造が崩れます。目安として、実効広告費率は総売上の3〜5%以内に収め、超えてきたらオーガニックの強化(販売実績・評価・出品品質)に投資を戻してください。広告は売上の柱ではなく、柱を太らせる肥料です。

AIで週次レポートの診断を自動化する

週次の広告診断はAIに任せられる。ダッシュボードの数値(表示回数・クリック・成約・広告費)を貼り付けて「表示→クリック→成約→採算のどの段階で詰まっているか」を商品ごとに判定させれば、15分の週次サイクルが5分に縮む。判断基準(許容費率・診断の順番)をプロンプトに書き込んでおくのがコツになる。

本記事の「4指標の診断」は、判断基準が明確なぶんAIと相性抜群です。週次サイクルで使えるプロンプトを置いておきます。ダッシュボードの数値をコピーして貼り付けるだけです。

あなたはeBay広告(Promoted Listings・成果報酬型)の運用担当です。
以下の商品ごとの週次データを診断してください。

【私の判断基準】
- 診断は「表示→クリック→成約→採算」の順に、最初に詰まっている段階を特定する
- 各商品の許容広告費率は「利益率 − 確保したい利益率」で、下表の「許容%」列に記載
- 許容超過の商品は費率引き下げか対象除外を提案する

【データ】(商品名 / 費率% / 許容% / 表示回数 / クリック / 広告経由成約 / 広告費 / 広告経由売上)
[ここにダッシュボードの数値を貼り付け]

各商品について:
1. 詰まっている段階(表示不足/クリック不足/成約不足/採算悪化/問題なし)
2. 具体的な打ち手(費率を何%へ・出品のどこを直す・対象から外す 等)
3. 今週変更すべき優先度(高・中・低)
を表形式で出力してください。最後に、キャンペーン全体の実効広告費率と総評を一言でまとめてください。

AIの提案をそのまま実行する必要はありません。役割は「全商品を漏れなく診断する下読み」です。人間は、AIが「優先度高」と挙げた数商品の判断に集中する。この分業で、週次15分が5分になります。

事例:費率の見直しで広告費半減・売上維持のBさん

全出品一律8%で出稿していたセラーが「許容費率の逆算・対象の仕分け・週次サイクル」に切り替えた実例では、広告費が月3.4万円から1.6万円へ半減する一方、売上はほぼ維持され、利益は月約1.8万円改善した。看板商品の費率を最小化し、準売れ筋に投資を寄せる再配分が効いた。

冒頭のAさんとは別の、うまくいった側の事例です。Bさん(ホビー系・月商110万円)は、全出品に一律8%で出稿しており、広告費は月3.4万円。売上は伸びていましたが、利益の伸びが鈍い状態でした。

やったことは、この記事の内容そのままです。①商品ごとに許容費率を逆算(利益率にばらつきがあり、8%は半数の商品で許容超過でした)、②看板商品は2%へ・死に筋は広告対象から除外・準売れ筋に費率を寄せる、③週次15分の見直しサイクル。

3か月後、広告費は月1.6万円へ半減。売上はほぼ変わらず、利益は月あたり約1.8万円の改善になりました。

「広告を減らしたら売上も減ると思い込んでいました。実際は、売れる商品は広告がなくても売れていて、広告費の半分は『どのみち売れた注文』に払っていたんです」
—— コンサル先Bさん(ホビー系・月商110万円)

Bさんの気づきは本質的です。成果報酬型は「広告経由で売れたら課金」なので、もともと売れる商品に高い費率をかけると、オーガニックで売れたはずの注文にまで広告費を払うことになります。看板商品の費率最小化は、最も簡単で効果の大きい見直しです。

多国展開時の広告——どの国のサイトに出すか

広告は出品先サイトごとに設定するため、eBaymag等で欧州へ多国展開している場合は国別に広告方針を決める必要がある。原則は「取引データが最も厚い米国サイトに広告予算を集中し、欧州各国はオーガニックで様子を見て、売れ始めた国にだけ低費率で追加する」。全展開国に一律で広告を広げると、データが薄い国で費用対効果の検証ができないまま費用が分散する。

eBaymagなどで欧州多国展開をしているセラーから、「展開先の国にも広告を出すべきか」とよく聞かれます。原則はシンプルです。

主戦場(米国)に予算を集中する:取引データが最も厚く、費率調整の学習が速い。広告運用の型は米国で作る
展開国はまずオーガニックで観察:多国展開直後は、広告なしでどの国のどの商品が動くかを2〜4週間見る
売れ始めた国にだけ低費率で追加:実売の証拠が出た国・商品に絞って、低い費率からテストする

広告は国ごとの独立した競争です。データの薄い国に予算を分散させると、どの国でも検証に必要なデータが貯まらず、「なんとなく出して、なんとなく止める」を繰り返すことになります。1つの国で型を作ってから横に写す。多国展開の広告も、この記事の原則(逆算→仕分け→週次サイクル)をそのまま国単位で適用してください。

よくある失敗5選

Promoted Listings の典型的な失敗は「全出品への一律出稿」「推奨費率の鵜呑み」「看板商品への高費率(オーガニック分まで課金)」「死に筋への広告(出品改善が先)」「毎日費率をいじって学習不能になる」の5つ。いずれも利益からの逆算と週次サイクルの徹底で防げる。

全出品に一律の費率で出稿する:商品ごとに利益構造が違う以上、正しい費率も商品ごとに違う。一括設定は「半数の商品で許容超過」を生む
推奨費率をそのまま採用する:推奨は露出競争の水準であって、あなたの損益分岐ではない
看板商品に高費率をかける:どのみち売れた注文に広告費を払うことになる。看板は最小費率で枠を守るだけでよい
死に筋を広告で救おうとする:クリックされない出品は、露出を増やしてもクリックされない。先に写真・タイトル・価格
毎日費率を変える:変更と結果の対応が取れなくなり、永遠に学習できない。変更は週1回まとめて

よくある質問(FAQ)

Q
広告費率は最低何%から設定できますか?
A
成果報酬型はごく低い費率(1%前後)から設定できます。ただし低すぎると露出枠の競争に負けてほぼ表示されません。「許容内で、表示が出る最低ライン」を探るのが実務で、まず2〜3%から始めて表示回数を見ながら調整するのが現実的です。
Q
広告経由かどうかは、どうやって区別されるのですか?
A
バイヤーが「Sponsored」表示の広告枠をクリックして、その後一定期間内に購入した場合に広告経由としてカウント・課金されます。自然検索から直接買われた場合は課金されません。ダッシュボードでは広告経由の売上が分けて表示されるので、オーガニックとの比率も確認できます。
Q
Best Offerで値引き成約した場合、広告費はどうなりますか?
A
広告費率は実際の成約価格に対してかかります。値引きした分、広告費も比例して下がります。ただし利益計算では「値引き+手数料+広告費」の三重の変動を織り込む必要があるため、Best Offer併用商品の許容費率は保守的に見積もってください。
Q
広告を止めたら、検索順位は下がりますか?
A
広告枠からは当然消えますが、オーガニックの検索順位が広告停止のペナルティを受けるわけではありません。ただし広告経由で積んだ販売実績は順位の材料になるため、「広告で実績を作り、オーガニックが育ったら費率を下げる」という育成的な使い方が理にかなっています。
Q
無在庫販売でも広告を使っていいですか?
A
使えますが、在庫連動の管理が前提です。広告で露出を増やした商品が仕入元で在庫切れになると、売れてからキャンセルする最悪のパターンを広告費を払って加速することになります。在庫確認の仕組みが回っている商品にだけ出稿してください。
Q
クーポンやセールとの併用はできますか?
A
できます。広告で露出を増やし、クーポンやセール価格で成約率を上げる組み合わせは定番です。ただし「広告費率+値引き率」の合計が許容範囲に収まっているかを必ず計算してください。販促機能全般の使い方は別記事で解説しています。

まとめ:広告は「計算してから」踏むアクセル

Promoted Listingsは、eBay輸出の売上を最も確実に加速できる公式の仕組みです。そして同時に、計算せずに踏めば利益を最も静かに溶かす装置でもあります。分かれ目は才能ではなく、順番です。

今日やることは4つ。①主力商品の許容広告費率を「利益率−確保したい利益率」で計算する。②出品を「新規・準売れ筋・看板・死に筋」に仕分ける。③新規と準売れ筋だけで小さくキャンペーンを作る。④週1回15分の見直しを予定に入れる。この4つを回した1か月後、あなたの広告ダッシュボードは「費用」ではなく「投資」の画面になっているはずです。

著者: trade-king.biz 編集部

物販・輸出入ビジネス歴12年以上。eBay・Amazon・ShopeeなどのクロスボーダーEC、AI活用による業務効率化、コンサルティングを専門とする。累計コンサル支援社数は300社以上。

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