Amazonで売上を伸ばすにはAmazon広告の運用が必須と聞くけどよく分からない、運用代行会社やツールがあるみたいだけど自分で運用したいと思っている方は多いのではないでしょうか?
Amazonで商品を販売する上で売上を上げるためにスポンサープロダクトをはじめとするAmazon広告の活用は必要不可欠な時代に突入しています。
Amazon内SEO対策には初動の商品の売れ行きが大事になりますがキーワードの調整や画像の改善だけでは強いライバルが数多くいる商品カテゴリで上位表示させることは出来ません。
最初にマーケティングにおける二つの要素の違いを学んでおきましょう。
目次
Amazon販売における2種類のマーケティング
ファンダメンタルなマーケティング
- 3C分析などのフレームワーク
- ペルソナマーケティング
- ページ作り
- インサイトの分析
- 商品の作り込み
テクニカルなマーケティング
- クリック率や遷移率、購入率、キーワードデータなどに基づいた広告運用(AIが強い分野)
- レビュー対策
- SEO対策
- ページのABテスト
片方だけ出来ていても上手くいきません。そのため広告運用が上手くいっていないという現状があったとしてそこだけ改善しても上手くいかないことが多いです。ここが出来ていないでAIツールに頼ったり広告代理店に任せっきりになっている企業が大多数を占めるのできちんと出来たら差をつけることが出来ます。
これらを踏まえた上でAmazon広告の使い方を学んで早い段階で売上を安定させましょう。
Amazon広告は大きく分けて7種類存在しますが一般セラーがセラーセントラル上から運用することになる広告は以下の3種類です。
- スポンサープロダクト広告
- スポンサーブランド広告
- スポンサーディスプレイ広告
それぞれのAmazon広告の効果的な運用方法を見ていきたいと思います。
Amazon広告を出す前のチェック項目
まず商品ページ自体がきちんと出来ていないと成約率(コンバーション率)を落とすことになるので初めにチェックしましょう。
チェック項目は以下の通りです。
- タイトルの長さは200文字以内か
- 箇条書き部分は5つあるか
- 画像の枚数は6枚以上あるか
- 商品説明の文字数が1000文字以上か
- レビュー平均点が4点以上か
- レビュー数は15以上あるか
なお新規で売り始めたばかりの場合当然レビューはありませんのでAmazonで評価を上げる方法を参考にレビューを獲得することが大切です。
レビュー0の状態の商品ページに対しスポンサープロダクトを使うことだけはやめましょう。
Amazonスポンサープロダクト広告の活用方法
Amazonスポンサープロダクト広告は認知度の向上を目的としたインプレッション数増加戦略にも売上増加を目指したコンバージョン数増加戦略にも活用可能なオーソドックスな広告です。
キーワード検索の結果に対して入札額やコンバージョン率などに応じてページの上部・中部・下部に表示されます。
インプレッション数を増加させるには
インプレッション数を増加させるには
- 予算の増加
- 入札単価の増加
- オートターゲティングを1~2週間かけマッチタイプを変更
- オートターゲティングでカバーできないキーワードの設定
- 別ターゲティングの広告の検討
- 定期的な新規キーワードの追加
- 広告枠ごとの動的な入札アップとダウン
が必要になります。
予算の設定以外は全てAIや自動化ツールで問題解決出来る部分となります。
具体的な設定方法としてはまずは広告運用のためのデータ取りを行う必要があるのでキャンペーン、広告グループを作成後対象SKUを設定し、1~2週間程度オートターゲティングを掛けます。
なおインプレッション数を上げることだけを目的としている場合はオートターゲティングをかけ続けるだけです。
ただしオートターゲティングでカバーできないキーワードがあります。
Google広告では”アイフォン”や”あいふぉん”、”iphone”のような表記のゆれはカバーしてくれるのでどれで検索しても部分一致にしていれば広告が出ますがAmazonの場合は現時点ではカバーされていません。
試しにAmazonの検索バーで上記の3種類のキーワードで調べてみてください。出稿されている広告が異なっています。
出品キーワード単位では対策しているセラーが多いですが広告運用に関しては対策していないセラーが多いので設定することをおすすめします。
※Amazon広告もGoogle広告の仕様にいつか変わると考えていますのでこの部分に関してはいつか使えなくなるかもしれないテクニックです。
また私の会社では広告運用代行業務を行う際に以下のキーワードで広告を出すようにしていました。
- 自社の商品名・ブランド名
- 競合の商品名・ブランド名
- 類似商品名・代替商品名
- 関連商品名(クロスセル含む)
自社の商品名・ブランド名
先ほど”掃除機”で検索した際のスポンサープロダクト広告の例を掲載したのでメーカーとしてオリジナルの掃除機を販売することを例に考えてみます。
自社の商品名がaaaa、ブランド名がbbbbだとしたら当然そこは完全一致で広告を出します。
競合の商品名・ブランド名
競合する商品の商品名がcccc、ブランド名がddddであればそこにも広告をかけることがあります。
競合のキーワードで広告を出すことは法的には問題ありません。(商標登録されているキーワードを広告の対象に使った場合、国内での判例は現在のところ見当たりません)
実際大手メーカーのブランド名で検索すると互いにライバルブランドのキーワードで検索した時も広告が表示されます。
ちなみにタイトルに競合商品のキーワードを使うのはもちろんNGですので注意しましょう。
商標をキーワードとして使用することについては、過去に判例がないことや、一般的に「登録商標」は言葉の使用を全面的に制限する権利ではないため、弁護士を通してライバルへ広告の出稿停止を依頼しても、その訴えが法的に認められる可能性は極めて低いと考えられます。
類似商品名・代替商品名
直接競合しない商品でも機能を代替する商品の商品名に対してブランド認知のために広告を出すケースがあります。
掃除機の場合類似商品・代替商品はほうきやクイックルワイパーなどになります。
クリックされることはないのでそのキーワードでのインプレッション数は増えてもクリック率は低くってしまいクリック単価は上がりますが他のキーワードのクリック単価には影響しないので使える場面は限られてきますが使うこともあります。この場合はオートターゲティングでは出てこないキーワードが多くなります。
関連商品名(クロスセル含む)
自社の商品のアップセルやクロスセルにつながるキーワードで出向を行います。
掃除機を出品している場合は”掃除機 交換フィルタ”や”掃除機 バッテリー”などで出します。
しかし会社の規模が大きくない場合はここまでするのは大変なのでオートターゲティングをベースに反応がいいキーワードは完全一致に、反応が悪いキーワードは出稿停止にするという戦略を徹底すればそれだけでも9割方は改善できます。
広告運用の際に少し手間にはなりますが1キャンペーン、1広告グループ、1skuの形で入札を行うとどのキーワードでどの商品が売れたかが分かるのでおすすめです。
広告グループの中に複数の商品、特に類似した商品をまとめるとコンバージョンしたキーワードは分かってもどの商品の売上に繋がったか分からなくなってしまいます。
データ採りが済んだ後は商品の利益率によって異なりますがAcosが一定値以上のキーワードを除外、コンバージョンに繋がっているキーワードのマッチタイプをマニュアルターゲティングでフレーズ一致や完全一致に変更(オートターゲティングでは部分一致となり上位表示が難しい)、インプレッション数が少ないキーワードの入札単価を上げるなどの作業を行います。
なおオートターゲティングは新規キーワードの発掘のためにマニュアルターゲティングと並列して掛け続けます。
また入札単価を変更する際は末尾を50や110のようにキリがいい数字に設定する広告主が多いため51円や111円のように設定します。
ちなみに広告代理店がこのように設定していることが多いので私は験担ぎの意味も込めて52円や112円に設定することが多いです。
広告費を設定してから反映されるまではラグがあるため毎時間ごとに変えてもコスパは悪いですが1日に3回程度は変えるべきです。
ターゲティングはキーワードでなくカテゴリやASINを指定して出すことも出来ますがカテゴリを指定して出すのはコスパが悪いです。また商品を指定するやり方だと取りこぼしが多くなるのでキーワードでターゲティングしてどうしてもライバルの商品ページに自社の広告を出したいという場合に追加で商品ターゲティングを用いるようにしましょう。
最高のパフォーマンスを出すにはこれを1キャンペーン、1広告グループ、1skuに基づいて行うため商品数が多い場合は作業量がかなり増えるためやはりアマトピアの広告運用機能のような広告運用ツールの利用をおすすめしますが商品数が少ないうちは手動で行なっても問題ないと思います。
なおコンバージョンに関係のなさそうなキーワードでも出稿すべきかどうかはデータを見て決めるべきなのでオートターゲティングをかけてレポートを見た結果インプレッション数が少なければ広告単価や予算を上げましょう。
なおインプレッション数が多くてクリック率が高いのにCVRが低い場合は当然出稿を止めるべきですがインプレッション数が高くてクリック率が低い場合はブランド認知の向上のためにも出し続けた方がいいです。
ルールは単純ですが全skuに対してそれぞれ行う必要があるので手動で行うにはなかなか骨が折れる作業です。
コンバージョン数を増加させるには
コンバージョン数を増加させるには上記の施策に加えて
- 商品ページの改善
- マッチタイプの変更
- 除外キーワードの設定
を行う必要があります。
商品ページの改善以外はAIや自動化ツールで問題解決出来る部分となりますが手動で行う場合は広告経由で成約したキーワードをフレーズ一致・完全一致に変更。
完全一致だけにしてしまうとキーワードの取りこぼしが出てくるのでフレーズ一致・完全一致の両方で出すのがポイントです。
入札額やその他の条件が同じ場合フレーズ一致よりも完全一致で出されている広告の方が上位に表示されるため両方必要です。
除外キーワードに関してはAcosが一定値以上(商材によって異なるものの15~25%が目安)で除外キーワードに追加して無駄な広告費をかけないようにします。
なおAcosが高くても商品自体は売れている場合はビジネス設計として商材の利益率設定やページ作りを誤っている可能性が高いので仕入れ時にそのデータを活かすようにしましょう。
広告の表示場所は一番上がいい?
一概には言えませんが弊社のある商品にかけた広告データでは以下のような結果となっています。
インプレッション数はおよそ倍でクリック数はおよそ3~4倍、それに対してコストが1.4倍程度。
つまり上位に表示できた方がお得という訳です。
一部のデータを持ち出しただけですが全体として見てもこのような結果になります。
Google広告では一番上に表示させると割に合わないためあえて5~6番目を狙うようなテクニックがあるのですがAmazonでは今の所上に表示させた方がいいことが分かります。
入札ルールについて
入札ルールはは会社の方針によって異なりますが代表的なものをいくつか挙げたいと思います。
- Acos>40%以上でキーワード除外または入札価格減少
- Acos<40%以下かつ利益>××円以上で入札価格増加
- インプレッション数<1000で入札単価増加
などです。
Amazonの広告セントラル上ではこのようなルール設定は出来ないためAmazon広告用のツールを使う必要があります。
私は広告運用に関しては上場企業で一人当たりの営業利益で最高益を出している北の達人マーケティングの木下さんの5段階利益管理法を使っています。
一般的な広告運用会社では売上から広告費を引いたものを”利益”として扱い運用を行います。
しかし商品により原価は異なりますしそれにかかる人件費、オペレーション費用なども異なります。そのため1商品ごとに原価や人件費を設定できるようにして1商品ごとの営業利益で広告を管理しています。
これにより利益が十分に出ている商品に関しては上限CPO(新規顧客の獲得単価)をデータの中から見極めてそこまで広告費を上げていきます。
反対にAcosが高くなりすぎているキーワードでインプレッション数が低いものはキーワードを除外しAcosが高くてインプレッション数も高いものは入札単価を下げるなどして細かく調整しています。
通常は広告運用担当者が1人必要になりますがルールを設定したらあとは自動でツールで動かしているので非常に低コストで運用出来ます。
広告運用代行業でも活用していますが自分でルールを設定できる人はツールを使うだけでもAcosの抑制、すなわち利益率の増大を達成することができます。
Amazonスポンサーブランド広告の活用方法
スポンサーブランド広告はキーワードターゲティングと商品ターゲティングを行うことが出来、さらに商品ターゲティングはカテゴリーターゲティングと商品ターゲティングの2種類に分けることが出来ます。
スポンサーブランド広告もスポンサープロダクト広告同様インプレッション数の増加によるブランド認知の向上にもコンバージョン数増加による売上の増加にも活用可能です。
- ブランド認知を目的とする場合一番売れている商品ページやいい評価が多い商品ページをスポンサーブランド広告にかける
- スポンサープロダクト広告でコンバージョンしているキーワードで出稿する
- ブランディング向上のためには商品詳細ページではなくストアページに流す
スポンサーブランド広告を運用する場合全ての商材をそれぞれスポンサーブランド広告で出すより効果的です。
Amaoznに自社ブランドを登録している場合ストア登録を行い専用のストアページを作成することができます。
スポンサーブランド広告をかける場合は特にストアページに流した方がCVRが高くなる傾向にあるのでおすすめです。
ちなみに弊社の場合もデータ公表の許可をいただいた弊社のクライアントの場合もスポンサーブランド広告と比較するとCTRはほぼ同じなもののスポンサープロダクト経由の売上はスポンサーブランド広告経由の売上の20倍近くあります。
ただしCPC(クリック単価)としては現在の所スポンサープロダクト広告はスポンサーブランド広告の2~3倍かかっているためスポンサーブランド広告の方が割安感があります。
おそらくスポンサープロダクト広告と比較してノウハウがあまり表に出てきていないためだと思いますがこの機会にぜひ活用しましょう。
Amazonスポンサーディスプレイ広告の活用方法
Amazonスポンサーディスプレイ広告は記事執筆時点では日本では一部のベンダーのみにしか提供されていない広告の出稿方法ですが海外Amazonでは一般ユーザーも出稿することが可能な比較的新しい広告です。
商品詳細ページの出品者欄の下などに広告を出すことが出来ます。
スポンサープロダクト経由のコンバージョン数と比較すると弊社のデータで2%程です。ただしディスプレイ広告はDSP広告の一種でありリターゲティングでAmazon外でAmazonの広告を表示させる場合にも活用可能でありどちらかというとブランド認知向上に使うものなので今後の応用範囲は広くなりそうです。
Amazon広告運用全般に使える考え方
Amazon広告を運用する上で変更できるのはキーワードや入札方式、入札単価などですがこの時一番売上やコストに直結するのは入札単価です。
入札単価はCPCとも呼ばれ1クリックあたりの費用に着目することになります。
CPC×クリック数=広告費用 ・・・①
となります。
またクリック数(=広告経由のページのPV数)は
広告のインプレッション数×クリック率(CTR) ・・・②
で計算されます。
また広告経由の成約数=広告経由のページのPV数×転換率(CVR) ・・・③
で決まります。
広告経由の売上=販売単価×広告経由の成約数 ・・・④
なので②、③、④をまとめると
広告経由の売上=販売単価×広告経由のページのPV数×転換率(CVR)
=販売単価×広告のインプレッション数×クリック率(CTR)×転換率(CVR) ・・・⑤
となります。
また広告経由の営業利益=広告経由の売上-仕入原価-広告費用
なので①より
広告経由の営業利益=売上-FBA手数料含むシステム手数料-仕入原価-CPC×クリック数 ・・・⑥
となります。
⑤、⑥より
広告経由の営業利益=販売単価×広告のインプレッション数×クリック率(CTR)×転換率(CVR)-FBA手数料含むシステム手数料-仕入原価-CPC×クリック数
であることが分かります。
このうち直接コントロールできるのは
- 販売単価
- CPC
の二つのみです。
コントロールが難しいですが改善出来るのは
- クリック率(CTR)
- 転換率(CVR)
の2つです。CTRが低い場合機会損失にはなりますが赤字の要因にはならないので重要なのは転換率(CVR)の方です。
AI運用を行えばCPCの調整は可能ですが販売単価や転換率(CVR)は自分で調整、改善していく必要がありその視点が抜け落ちている企業が非常に多いのが現状です。
CVRは1%が全体の平均で優良企業では5%が平均となっています。一時的に10%になるような商材もありますが長期で見たらやはり5%が平均です。
CVRはAmazonではユニットセッション率と呼びますがユニットセッション率が1%の状態で広告をかけるとちょうどとんとん位で終わってしまいます。この状態では手動で広告をかけようがAIで広告をかけようが大きく利益を出すことは難しいです。
ユニットセッション率が1.5%を超えたあたりから広告をかけても順調に利益を伸ばしやすく5%の状態では適当に広告をかけても利益が出ます。その状態でAIで運用すると利益を最大化出来ます。(この数字はCPCや利益率、あるいはAcosとの関係によります)
だからこそ広告運用それ自体も重要ですが何よりCVRを上げるためのSEO対策、LPO対策が重要です。Amazonのビジネスレポートを開いてユニットセッション率が1%前後のskuに対しては広告をかけるのをやめてCVRをあげることを優先し、それ以外のskuに予算を集中させましょう。
Amazon広告の効果的な運用方法まとめ
Amazonスポンサープロダクトやその他のAmazon広告の設定方法や効果についての記事はいかがだったでしょうか。
事業規模が小さい、または社内に担当者がいる場合は今回紹介したAmazo広告の設定方法を身につけてレベルアップを目指しましょう。
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