OEMに取り組みたいという方の中には中国輸入OEMではなく国内OEMに興味を持つ方も多いと思います。
国内OEMは生産のやりとりなどに関して中国輸入OEMよりはるかに簡単ですがコストに伴い販売価格は高くなってしまいがちで商品を高く売るノウハウを持っていない人には難しい手法になります。
この記事ではそのような国内OEMの方法を解説します。
目次
国内OEMのメリット
- 中国人セラーがライバルにならない
- ブランディングしやすい・ファンが付きやすい
- 1商品辺りの売上・利益が大きい
- 会社のブランド力が増す
- 商品に誇りを持つことができる
- 輸入ではないので輸送が簡単(輸入に関わる検査を受けなくて済む)
国内OEMのデメリット
- 中国輸入OEMよりコストが高い
- 戦略を知らないと高単価商品は売れない
- 集客について深く学ぶ必要がある
- デフレに弱い
国内OEMのやり方
基本的なやり方は中国輸入OEMと同じなのでここでは差分を書いていきます。
中国輸入OEMのやり方に関しては以下のページを参考にしてください。
参照:中国輸入OEMの方法
市場調査の方法
- 市場調査: ターゲット市場のニーズ、競合製品、価格帯を把握します。
- 製品コンセプトの策定: 市場ニーズに基づいて製品のコンセプトを明確にします。
中国製の廉価な商品が多くレビュー平均点が低いジャンルなどは国内OEMでバリューを発揮しやすいです。また富裕層や年配の方が好む商品ジャンルでも国内OEMが強みを持つことが多いです。
国内OEM商品の方が中国製のOEM商品より優位性を持つジャンル
1.品質と精度が求められる製品
- 医療機器: 日本国内の厳しい品質基準や規制に適応する必要があるため、精密さや安全性が求められる医療機器は、国内OEMが強いジャンルです。
- 高精度な機械部品: 特に精密機器や工作機械の部品など、非常に高い精度が求められる製品は、日本の技術と品質管理の強みが発揮される分野です。
2. 安全性や環境基準が重視される製品
- 自動車部品: 日本の自動車メーカーの高い安全性や環境基準に適応するため、国内OEM製品が優位に立つことが多いです。
- 食品関連製品: 食品容器や調理器具など、食品安全に関する厳しい基準が適用される製品は、日本国内での製造が信頼されやすいです。
3. ブランド価値や高付加価値が求められる製品
- 高級消費財: 高品質で信頼性のあるイメージが重要な高級時計やジュエリーなどの製品は、国内OEMが優位です。
- 化粧品: 安全性と品質が重視されるため、日本製の化粧品は高付加価値を持ち、国内OEMが好まれることが多いです。
国産OEMでは基本的に原価が上がり質が上がる分高めの価格帯で商品を販売することが出来るため高単価で販売することになります。具体的には1万円以上です。
しかし原則があれば例があるように国内OEMであっても3000円程度で販売するような商品を作ることもあります。
売上を最大化するのか、利益を最大化するのかで販売価格は変わってきます。
売上を最大化したいのであれば利益率は抑えめな消費者にとって買い求めやすい価格に、利益を最大化したいのであれば高単価寄りになります。
外資系企業は利益率高めで国内企業は利益率が低いですが、私は外資系企業に習って利益は取っていくべきだと考えています。
パナソニック(旧 松下電器)の創始者松下幸之助氏も利益を出せない企業は社会にとって何の価値もない、と言っています。
企業の利益が税金としておさめられ、社会の福祉に貢献することになるからです。利益をとってよりよい商品を生み出しつつ納税していくべきでお客様の為と言って利益率を抑えてキャッシュフローが厳しくなり潰れてしまっては元も子もありません。
もちろん価格を高めに設定して売れないというのは論外なのでブランディングについて勉強しましょう。
4. 顧客サポートや迅速な対応が必要な製品
- カスタマイズ製品: 顧客の要望に応じたカスタマイズが求められる製品は、迅速な対応や細かい調整ができる国内OEMが有利です。
- 小ロット・多品種製品: 少量生産や多品種生産が求められる場合、日本国内の柔軟な生産体制が活きることがあります。
これらのジャンルでは、国内OEMの高い品質、信頼性、法令遵守、柔軟な対応が強みとなり、中国製のOEM商品よりも優位性を発揮することがあります。
5. 中国セラーと被らない商品
中国セラーの中にはレビューを集団的に増やす手法やライバルに嫌がらせレビューをして相対的に自分の地位を高めようとしてくるセラーが少なくありません。もちろん日本のセラーにもそのような人はいるので割合の問題ですが仮にレビューの問題を無視ししても美容家電や電子機器などは中国の工場を運営している会社自体が参入しているケースも多く単純にコストの面で敵いません。
6. 輸入・販売が難しい商品
- 電気用品安全法
- 電波法
- 薬事法
- 食品衛生法
辺りの輸入時や国内の販売時にはハードルになる法律が国内OEMでは味方になってくれます。
例えば中国輸入のガジェット系商品でUSBを使用した商品が多いのは電気用品安全法の対象にならないということにが大いに関係しています。
コンセント付きの商品は電気用品安全法の対象になりますが国内メーカーのOEMで商品を作るときはメーカー側は慣れているのですんなり通すことが可能です。
ちなみに対象商品は輸入時には国への事業届出、基準適合確認、自主検査を行い、販売にあたっては、適合性検査の受検(特定電気用品の場合に限る)、表示を行わなければなりません。
同様に薬事法が関わる商品を零細企業が海外で生産して日本に輸入するのは非常に難しいですが国内OEMですと案外簡単に作ることが可能です。
これは化粧品業界の闇の部分かもしれませんが他社とパッケージが違うけど中身は同じ、というものは実は山ほどあります。
片方はブランド料が乗っていて値段が3倍以上違うなんてこともあります。逆を返せばそれだけブランドの信用力というものが大事だということも出来ます。
ボディクリームやニキビ用洗顔料など通販系は国内OEMですね。
Amazonに並んでいる商品でも広告表示で違反しているものが山ほどあります。(大手メーカーはその辺きちんとやっています)
国内OEMだと食品も狙い目です。まずこの業界は通販系を除いてAmazonの販売ページが弱いです。
実際コンサルで食品系の会社を担当することも多いのですがライバルのページが弱いのでECに限りますが売上を伸ばすのは簡単です。
そもそも食品だとAmazonではなく楽天の売上を伸ばしたいという方が多いですが乾物・お菓子系はAmazonでもわりと売れます。
一時期上級者セラーの間でチョコの販売が流行りましたがチョコのOEMなどもやろうと思えば案外簡単に出来ます。
もちろんそれは国内メーカーの協力があってのことですが。
この辺りだとライバルが中国人セラーになることはまずないと思います。ただ知り合いの中国人が私のブログを読んでいると言っていたのでもしかすると中国人セラーが化粧品や食品系も扱うようになる時代が来るかもしれませんがそこはやはり日本人の方がコミュニケーションコストや情報量の面で有利なのであまり心配しなくてもいい部分かと思います。
国内OEM工場の探し方
これは非常にシンプルです。
商品ジャンル+OEM、商品ジャンル+生産などのキーワードでGoogleで検索しましょう。
ただしそれらの検索で出てきた会社が工場を持っていない場合もあるので要注意です。
要はお客さんを集めて工場に流しているだけの会社もあるということです。別にこれ自体は何も悪いわけではありませんが発注者側からしたら余計なコストが乗ってくるのでなるべくならダイレクトでメーカーと繋がりたいですよね。
ただし日本の悪しき風習とも言うべきか、窓口になっている会社を飛び越えて工場と繋がることの出来ない場合も結構あります。
特定の分野に詳しい社長等が知り合いにいるならそこから紹介を受ける方が確実ですが自力で探して最低5社ほどサンプルを依頼して1社に絞るという流れは中国輸入OEMと同じです。
また国内OEMは最低ロット数が多いと誤解をしている方が多いですがそれは10年以上前の話で今は国内でも小ロットで発注をさせてくれる工場が増えています。
また展示会で探す方法も非常に優れた手法です。
国内OEMの方法まとめ
いかがだったでしょうか。私も国内OEMをしていて本当はそれを海外でも売りたいのですが海外で1から立ち上げたブランドを売るのは非常に難しいです。
成功例はいくつかありますがもしやりたい人はまず日本で売って実力を付けてから海外で売りましょう。
日本人プロ野球選手がまず日本のプロ野球で頑張ってメジャーに挑戦するのに近いですね。いきなりメジャーに行っていたら失敗してしまう確率が高くなってしまいます。
国内OEMに限らずOEMは楽天、Yahooショッピング、自社ECなど販路を広げやすいので副業ではなく本業としてビジネスをしたい人には本当におすすめです。
集客の糸口としても国産や国内産、日本製というキーワードは訴求ポイントになります。
こういったご時世なのでぜひ国内産業を少しでも盛り上げるために国内OEMを出来る人が増えたら嬉しいです。
最初にも書きましたが中国輸入OEMより難度は高いので中国輸入OEMを経験した上で取り組むことをおすすめします。
私は常日頃大切なのはブランディングや集客、マーケティングだと言っていますが、国内でないと作れないもの、国内の方が競争優位性がある商品に対して中国OEMで生産戦うのは難しい場合もあるので仕入れ元で差を付けると言うのも立派な戦略だと思っています。
このようなそもそもどこで作るか、ということもマーケティングの一環だと思うのですがはじめから中国輸入ありきで考えてしまう人も多いので注意してください。これからの時代を生き抜くために適切な選択ができるようになりましょう。