輸出ビジネスの経費になるものと確定申告の方法

輸出ビジネスを行う上で確実に必要になってくるのが確定申告です。

確定申告を税理士に任せてしまえば楽ですが個人のうちは顧問料を払うのも惜しいのでなるべく自分でやりたいと思っている方も多いはず。

また税理士に任せるとしても自分である程度知識を持っていないとその人が本当に親身になって節税方法を考えてくれているかどうかなど分かりません。実際税理士の人でも判断が異なるケースはよくあります。

そのためAmazon輸出やeBay輸出のような輸出ビジネスに必要な確定申告の方法を大体でもいいのでこの機会に学びましょう。

輸出ビジネスと消費税還付

輸出ビジネスに関する消費税還付の方法はリンク先のページにまとめています。

簡単にまとめてしまえば課税事業者登録を行い、国税庁のサイトで書類を入手し管轄の税務署に必要書類を提出するだけです。

なお海外取引が絡む事業は税務署の調査が入りやすいので初めから税理士に任せてしまった方がいいと思います。

特に消費税還付を受けようと思うと調査が入りやすくなると言われています。

輸出ビジネスの確定申告で経費にできるもの

  1. 仕入れ高
  2. 期首商品棚卸高・期末商品棚卸高
  3. 旅費・交通費
  4. 事務用品費
  5. 通信費
  6. 支払報酬
  7. 販売促進費
  8. 支払い手数料
  9. 広告宣伝費
  10. 外注費
  11. 会議費・交際費
  12. 研究開発費用
  13. ソフトウェア
  14. 地代家賃
  15. 役員報酬
  16. 採用教育費
  17. 消耗品費
  18. 雑費
  19. 減価償却費
  20. 福利厚生費
  21. 法定福利費

仕入れ高

仕入高とは、事業で販売する商品や、その商品を作るための原材料を仕入れるための費用を計上するために利用します。

事業ごとに経費計上する基準が異なるので注意が必要です。経費計上する基準は以下の3つがあります。

・発送基準(出荷基準)
・受取基準(入荷基準)
・検収基準

このうちAmazon輸出で使うのは主に受け取り基準(入荷基準)になります。

税務調査でも狙われやすい部分なので

  1. 二重計上が行われていないか
  2. 計上時期が正しいか

をきちんとチェックするようにしましょう。

期首商品棚卸高・期末商品棚卸高

前期(前年度)末の棚卸で在庫として残っていた商品を、当期へ繰越すための勘定科目です。

商品は、売れて初めて仕入れた額が費用になるので前年度における費用にならなかった仕入額分を、当期へ繰り越すために使われる勘定科目が ここで言う 「期首商品棚卸高」です。

基本的に決算時しか登場しません。

旅費・交通費

商談のための出張やタクシー代、電車代などは経費に入れることが出来ます。

プライベートの旅費まで経費に入れる人がいますが行き先が沖縄や京都・北海道などだと本当にビジネスで行っているのか怪しまれます。

きちんとプライベートの旅費と分けるようにしましょう。交通費で要注意なのはSuicaやPasmoのチャージです。通常チャージした瞬間には経費になりません。

チャージして使ったタイミングで初めて経費になります。

事務用品費

筆記用具、コピー用紙などは事務用品費として経費計上可能です。

※事務用品費が少額の場合事務用品費という科目は設けず一般的に消耗品費として処理するのが一般的です。

通信費

携帯代やポケットwifi代、プロバイダ料金などは通信費として経費計上可能です。

ホームページやネットショップを持っている人はドメイン代やサーバー代も通信費としいぇ計上可能です。

支払報酬

弁護士や税理士への報酬の支払いは支払い報酬として経費計上可能です。

販売促進費

「セールス・プロモーション活動費」とも呼ばれ、商品や製品、サービスの売上を増加・促進するために支出された費用のことです。

消費者プレゼントや景品の製造・発送に要した費用 、無料サンプルの製作費用 、お店に取り付けるPOP、特定時間に割引するクーポンなどが販売促進費となります。

支払い手数料

銀行の振込手数料や不動産業者の仲介手数料のことです。

支払い報酬と一緒にしている人が多いですが支払い報酬は源泉がかかってくるものもあるので別で処理しておいたほうが後で楽です。

広告宣伝費

Amazonスポンサープロダクトの料金やその他広告、チラシなどの代金は広告宣伝費として経費に入れることが出来ます。

外注費

外注費は税務調査で狙われやすい部分です。

時間の拘束やPCなどの備品の提供があると外注費ではなく給与として扱われ源泉の支払い義務が生じて来ます。

契約内容ではなく実態で見られるので外注費に入れるのであれば必ず外注の定義に基づく仕事の振り方をしましょう。

会議費

会議費とは、会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用を処理する費用勘定のことを言います。

次に紹介する交際費との線引きが難しいと言われていますがかかった代金を人数で割ってその額が一人当たり5000円以下であれば通常会議費で処理します。

交際費

交際費とは、交際費・接待費・機密費その他の費用で、法人がその得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出する費用のことです。

当然のことながら、友人や家族と行った場合は接待交際費として処理することは不可能です。

研究開発費用

本やセミナーの参加代、コンサルの受講代などを研究開発費用で処理します。

またソフトウェア制作に関しては市場販売目的のソフトウェアのうち最初の製品マスター完成までの費用、または購入したソフトウェアに著しい改良を施した場合の費用のみを研究開発費として処理しそれ以降は次に紹介する”ソフトウェア”という勘定科目で処理します。

ソフトウェア

購入したソフトウェアなど費用をこの科目で処理することになりますが外注に任せて作成した場合は外注費になります。

またソフトウェアを開発する場合は資産として計上され減価償却を行う必要があります。

減価償却が必要なものは税務調査で狙われやすい部分なので税理士の方にお任せすることをおすすめします。

地代家賃

地代家賃とは、店舗や事務所の賃借料金や駐車場料金のことを指します。自宅兼事務所の場合は、仕事場の専有面積や営業時間などを按分の根拠として、経費となる地代家賃を算出します。

自宅兼事務所の場合通常50%までは経費にすることが出来ますが完全に事務所として使っている場合は100%経費になります。

役員報酬

代表取締役や取締役などの役員に支払う給与である役員報酬は、定められた範囲内であれば、経費にすることが出来ます。

法人の場合は以下の条件を満たす必要があります。

  1. 定期同額給与(一定の期間において、同じ金額で支払われている給与)
  2. 事前画定届出給与(事前に税務署に届出をしてある給与)
  3. 利益連動給与(利益に関して示した指標に連動して計算され支払われた給与)

なお役員報酬は新しい会計年度に入ってから3ヶ月以内までに決める必要があります。

利益をシミュレーションして決定する必要がありますがAmazon輸出を行っている人は月50万円くらいにしている方が多い印象です。

日本の税制では個人+法人で残るお金を最大化することを考えると月190万円くらいの役員報酬が限界になります。

個人の税金は年々上がっているのでこの数字も少しずつ下がっていくと思いますが一つの目安として安定して月100万円程度役員報酬として支払えるようになるのがAmazon輸出に取り組む上での一つの目標になると思います。

採用教育費

採用教育費は求人広告や研修費用に使用します。

消耗品費

消耗品費とは、取得金額が10万円未満の消耗品又は、使用可能期間(法定耐用年数)が1年未満の消耗品です。

しかし青色申告者である中小企業者に限って、少額減価償却資産の特例が使用できます。

取得金額が30万円未満の減価償却資産についても、その取得金額の全額を一括して消耗品として損金処理が可能です。

雑費

雑費とは損益計算書の販売費一般管理費の勘定科目の1つで、他のどの勘定科目にも属さないもの、科目が分かっていても少額なもの、使用頻度が少ないもの、一時的な費用、臨時的な費用、金額が少額で重要度の低い費用、特に専用の科目を設けるほどではない費用などのことです。

使途不明金が含まれる可能性から高額になると税務署に狙われやすい部分でもあります。

減価償却費

減価償却とは「高額で、長期にわたって利用できるもの」を数年・数十年にわたって少しずつ経費として計上する仕組みのことをさします。

以下は減価償却する項目と耐用年数・償却率の一例です。

項目 耐用年数 償却率
小型車
((総排気量が〇・六六リットル以下のもの)
4年 25%
事務机、事務いす、キャビネット
(主として金属製のもの)
15年 6.7%
事務机、事務いす、キャビネット
(その他のもの)
8年 12.5%
ベッド 8年 12.5%
パソコン 4年 25%
時計 10年 10%
ラジオ、テレビジョン、テープレコーダー 5年 20%
ソフトウエア
(複写して販売するための原本)
3年 33%
ソフトウエア
(その他のもの)
5年 20%

中古品であれば耐用年数が下がるため節税目的で中古車を購入する方も多いです。

福利厚生費

福利厚生費とは、役員を含むすべての従業員に公平に支給される給与以外のお金のことです。

福利厚生費を計上するときのポイントは、その制度を全社員が利用でき、常識の範囲内での支給である、ということです。

以下のようなものが福利厚生費の使い道として認められています。

1. 慶弔見舞金(結婚・出産祝い金、病気見舞金、香典など)
2. 通勤費
3. 健康診断費用
4. 忘年会、新年会、歓送迎会などレクリエーション費用
5. 社員旅行
6. 社宅
7. 保養所
8. 食事代の補助(残業に伴う食事代など)
9. 会社の常備薬
10. 社内同好会への補助
11. 制服を着用させるための制服費用
12. 外部の福利厚生サービスの利用費
13. 育児・介護関連

法定福利費

法定福利費に該当するのは、健康保険料や厚生年金保険料、介護保険料などの社会保険料や、雇用保険料、労災保険料などの労働保険料です。

輸出ビジネス向けの税理士

個人輸出ビジネスは比較的新しいビジネスであると同時にネットと国際税務が関係する難しい分野です。

売上が少ないうちは個人で確定申告をしてもいいかもしれませんが消費税還付を狙うのであれば最初から税理士の方に任せましょう。

税理士代をケチって自分で消費税還付を行おうとし還付されなかったというケースを何件も知っています。

無料の税理士紹介サービスなどを活用して自分が行っているビジネスを詳細に伝え最適な税理士・税理士事務所を紹介してもらうのがオススメです。

私は起業当初近場の税理士事務所に任せていますがそのあと3回税理士事務所を変えています。

税務はそれほどに重要な部分だと思いますので必ず複数の税理士事務所の中から検討するようにしましょう。

また以下のページでAmazon輸出やeBay輸出で税理士が必要かどうか、特に副業で行っている人はそもそも税理士が必要かどうかも解説しているので合わせて参考にしてください。

参照:輸出ビジネスに税理士は必要?おすすめの税理士は

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