Amazon市場のデータ分析手法

この記事ではAmazon市場のデータ分析をして商品開発をしたり売上を伸ばす方法を解説しています。

分析が出来るようになるとどんないいことがある?

分析の詳しいやり方自体は本を読めばある程度は分かると思いますがそれはあくまで理論の話でありそこからさらに現場レベルでの実践とつなげるのはなかなか難しいです。

しかし難しいからこそ取り組む価値があり私がほとんど時間を使わず複数の会社を経営できているのは完全にマーケティング力のおかげだと思っています。社員にも分析手法の教育を徹底することでデータを取ってきてくれるだけでなく分析する所まで終わった状態で意見書を出しておいてくれるので

「主要因が〇〇か、直感だとこっちの方がいいと思ったけどやっぱり新カテゴリへの参入の時は業界研究もとしないとダメだわ。こっちで行こう」

と言う感じでデータに基づいた判断をすぐにできる状態にあります。

これをデータだけ取ってくるだけなら何かしらツールを使えばいいのですがそこでは大して差はつきません。どのように分析するかで差が付いているのです。

世間で言うマーケティング力というとSNSマーケであったりコンテンツマーケであったりを指すことが多いと思いますがそうではなく純粋な数学的分析としてのマーケティング力です。

USJの森岡毅さんなどをイメージしていただければ分かりやすいと思います。
あの方はトークも面白いですがその力の源は数学力です。

数学と聞くと文系の自分には付いていけない、と思う方も多いと思うのですが文系のひろゆきさんでも統計学だけはちゃんと学んで役に立った、と言うように分析は統計学の延長にあるような手法でビジネスの様々な場面で活きてきます。

特定の売れている商品があるとしてパッケージがいいから売れているのか、値段が安いから売れているのか、レビューが多いから売れているのかなどは数学的に判断出来ます。

それもどの要因がどれだけ寄与しているのかも分かります。

これを分析しないと一次元の情報でしか判断出来ず要因を取り違えてしまいます。

「ライバルのこのページは商品ページの出来が低いから勝てるに違いない。」

と言った判断ですね。実際には商品は様々な要因が絡み合って売れているのでこれだと間違えてしまうわけです。

しかしこの分析ができるようなタイプは経営者になることが非常に少ないように見えます。
優秀であるにも関わらず、あるいは優秀であるがゆえに企業の中で働くことを選んでいる方が多いです。

実際大手企業に属している方が仕事としては大きな仕事ができるのでどちらが正しいかは本人が決めることです。

企業としてもこのような本質的なマーケティングができる人は積極的に雇用していくべきですが当然給与は高くなりますし教えることが出来る人がいないのでP&Gのような一部の大手企業しか採用&教育できていないのが社会の現状です。

Amazon市場の分析に使える分析手法

Amazon市場の分析手法には色々ありますがAmazonの販売でよく使うのは

  • クラスター分析
  • 因子分析
  • 回帰分析

などです。本当は20種類くらいありますが代表的なものとしてとりあえずこの辺りを押さえておきましょう。

簡単にそれぞれを解説します。

クラスター分析

クラスター分析とは、異なるものが混ざりあっている集団の中から互いに似たものを集めて集落(クラスター)を作り、対象を分類するという方法の総称で流行りのビッグデータ分析でも使われる手法の一つです。

顧客アンケート・購買データの分析によく使います。

クラスター分析には階層クラスター分析と非階層クラスター分析があります。

階層クラスター分析とは、全部のデータ間における類似度を出したうえで、最も似ている対象から順にまとめて階層にしていく分析方法です。非階層クラスター分析とは、あらかじめクラスター数を決めて決めたクラスター数に分類していく方法です。ほかのクラスターとの違いとクラスター内の類似性を明確にしつつ徐々に似た性質の要素でクラスターを形成することで、信頼性の高い分析データを得られるのが特徴です。

非階層クラスター分析の方が良さそうに見えますが適切なクラスター数を決めづらいというデメリットがあります。

サンプル数や個体数が100以下の場合は階層クラスター分析、サンプル数や個体数が300以上の場合は非階層クラスター分析が適しています。

因子分析

因子分析は「多変量解析」の分析手法のひとつであり、数多くの変数を少数の潜在変数(因子)に要約してまとめる分析手法です。

顧客アンケートを取ってもただデータを取ってるだけであったり定性的に分析しているだけの企業が多いですが因子分析により数学的に分析することで優先的に取り組む課題が見えてきます。

その際アンケート項目外多いと特に複雑化してしまうのですが因子分析はそのような数多くの説明変数のデータセットの中から潜在的な共通性を見出し、同じ意味合いをもつ説明変数(因子)のグループに分類・集約する多変量解析と呼ばれる分析手法のひとつです。

例えば品質がいい、性能が優れている、開発力があるなどは同じ因子に分けられやすいです。あくまで結果論であってこれを定性的に分けてしまうと取り違えてしまうこともあるからこそ数学的に分類する必要があります。

因子分析では、因子抽出法と回転法の二つを選びます。

抽出法は、最尤法、主因子法、主成分法などがそれにあたります。
回転法は、バリマックス回転、プロマックス回転などがそれにあたります。

抽出法で共通因子を見つけ出した後で回転法でそれぞれの因子の寄与度を計算します。

なお回転法は共通性が推定された後の話です。そのためデータの適合度には影響しないのでどの回転法を選んでもデータとの適合は変わらないです。

回帰分析

「回帰分析」は、結果となる数値と要因となる数値の関係を調べて、それぞれの関係を明らかにする統計的手法です。

単回帰分析と重回帰分析の2種類がありますが使うのは重回帰分析で競合の商品が売れている要素の分析などに主に使います。

目的変数=(説明変数1)×(偏回帰係数1)+(説明変数2)×(偏回帰係数2)+…+誤差

のように表せるので例を挙げれば

売上=レビュー数×66+商品ページのクオリティ×200+値段×(-0.1)

のように計算式で表すことが出来ます。(上記の式は適当です)

商品ジャンルや価格帯、説明変数によっても変わるので一般式はありません。自分なりにこれだと思っている式はあリますが秘伝のうなぎのタレのようなもので公開していないのでぜひ自分なりの公式を見つけてください。

実務レベルではセブンイレブンが新しい店舗を建てようとした時その店舗の売上がいくらになるかの予測を重回帰分析で出していると聞いたことがあります。ただしこれはセブイレブンの蓄積されたデータがあるからでAmazonの場合も同ジャンルばかり商品を出すのであれば使えますが新規カテゴリ参入の時などは使っても効果が低いです。

個人的には回帰分析はベスト3に入る便利な手法だと思っていますがその分扱いが難しく生半可に使用するとただ計算しているだけで本当に意味のない結果を生んでしまうので注意して扱ってください。

間違った市場分析が蔓延している理由

物販ビジネスは個人、零細企業レベルで挑む方が多いので上記のような大手のロジカルなデータ分析の文化は当然浸透していません。

その結果数を打って成功した体育会系の声の大きい人の成功法則が世に出やすくなります。(実際数を打つこと自体は大切です)
例えば既存の商品ページのマイナスレビュー部分を改善すればそのページより売れる商品ページが作れる、というのがその例です。

黎明期であればこれでも通じたのですがAmazonビジネスは成熟しておりより精度の高い本物のやり方を知っている人でないと今から勝ち上がるのが難しくなっています。

実際ここ数年では年商10億円を超えるセラーがちらほら増えてきたと感じると同時に年商1億円程度まで0から浮上する人が減っているように見えます。

いわゆる”稼げる”情報、特に無料の自体は世の中にたくさん溢れて初心者ほど本物の情報に辿り着くのが困難になったためでしょう。

有料の情報だったとしても価値がないものもあればその手法自体には問題がなくとも資金効率が悪いものもあり本当に玉石混交となっています。

手前味噌ですがここ数年で0から始めた人を教えた場合でも問題なく年商数億円レベルまでは到達出来ているので初心者だからというのは関係ないです。

人生という時間が無限にあれば効率が悪い方法でも問題ありません。

特定の期間でいくら増やせるのかを考えると実は何をやるかよりも何をやるべきではないかのほうが大切なことが分かるのですがそれはビジネスを長年続けて初めて見えてくるものです。

あくまで私の持論としてはECでの販売はデータ分析を軸にすると最大限まで売上が伸ばせると信じています。

上場企業の中で社員一人当たりの営業利益が最も高い北の達人の木下社長なども徹底的にデータ分析をされていて社員の方と仲がいいのでその手法を知っていますが私でもまだまだだと感じるほど分析を徹底されています。

世間には知られていませんが北の達人はABテストが禁止というのも面白い話です。

初心者だとABテストのやり方自体分かっていなくて中級者だとテストをとりあえずやってデータを取るだけ取っていて上級者だとABテストをうまく活用できているのですが超上級レベルになると逆に使わなくなります。
それには理由があり私もABテストはほぼ使っていません。

これについては別の機会にどこかで話そうと思います。

Amazon市場のデータ分析手法まとめ

今回紹介した方法は分析手法のごく一部であり実践で使うには何個かハードルを超えていく必要があります。もちろん独学で取り組むのもいいですが完全版をコンサル用コンテンツの方で解説しています。

Amazon市場のデータ分析手法はコンサルティングの全コンテンツの中でも一番自信がある内容になるのでぜひ何度も読み込んで活用していただけると嬉しいです。

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