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起業する前に準備しすぎて3年間動けなかった人の話
「起業したいんです。でも、まだ準備が足りなくて……」
これは、私のコンサルティングに相談に来た40代男性の言葉です。彼は起業を決意してから、すでに3年が経っていました。
その3年間で彼がやったことを聞いて、正直驚きました。
まず、「起業するなら資格が必要だ」と考えて、中小企業診断士の勉強を始めました。1年半かけて取得。次に、「人脈が大事だ」と考えて、異業種交流会に月3回通い始めました。名刺は500枚以上配ったそうです。そして、「事業計画書がないと始められない」と考えて、半年かけて50ページの事業計画書を作成しました。
資格、人脈、事業計画書。どれも立派なものです。でも、肝心の「起業」はまだしていない。売上はゼロ。お客さんもゼロ。ビジネスとしては何も始まっていない状態でした。
3年間、彼は「準備」という名の現状維持をしていただけだったのです。
この話は決して珍しいケースではありません。私がこれまでコンサルティングをしてきた中で、同じような「準備の沼」にハマっている人を何十人と見てきました。起業セミナーに通い続けている人、ビジネス書を100冊読んだ人、起業仲間とのミーティングを毎週やっている人。みんな「準備中」です。でも、いつまでも「準備中」のまま、実際のビジネスは始まりません。
私自身はどうだったかというと、2012年に起業したとき、準備らしい準備はほとんどしていません。「とりあえずやってみよう」で始めました。最初はネットで物を売ることから始めて、失敗しながら学び、試行錯誤を重ねて、年商10億円の会社にまで育てました。
もちろん、無計画に突っ走れと言いたいわけではありません。ただ、「完璧な準備」を待っていたら、一生起業できないということは、はっきりと伝えておきたいのです。
起業に本当に必要なのは、資格でも人脈でも50ページの事業計画書でもありません。この記事では、実際に0から起業して事業を成長させてきた私の経験をもとに、「起業するには本当は何が必要で、何から始めればいいのか」を具体的にお伝えします。
準備に時間をかけすぎて動けなくなっている人、これから起業したいけど何から手をつけていいかわからない人は、ぜひ最後まで読んでみてください。この記事を読み終わる頃には、「まず何をすればいいか」が明確になっているはずです。
起業に本当に必要なもの ― たった3つ
起業というと、多くの人が「あれも必要、これも必要」と考えがちです。法人登記、オフィス、名刺、ホームページ、ロゴ、経理ソフト、ビジネスフォン……。リストアップし始めるとキリがありません。
でも、実際に起業して成功している人たちの多くは、最初からそんなものを揃えていたわけではありません。起業に本当に必要なものは、突き詰めるとたった3つしかありません。

1. 売るもの(商品・サービス)
当たり前ですが、ビジネスとはお客さんに価値を提供して対価をもらうことです。だから、まず「何を売るか」を決める必要があります。
ただし、ここで完璧な商品を作ろうとする必要はありません。最初は「とりあえず売れそうなもの」で十分です。私の場合、最初に売ったのは海外から仕入れた雑貨でした。特別なオリジナル商品ではなく、「これ、日本で需要ありそうだな」と思ったものを仕入れて売っただけです。
商品の種類としては、大きく分けて3つあります。
物販(既製品の転売・オリジナル商品の販売)、スキル販売(コンサル・デザイン・ライティングなど)、コンテンツ販売(教材・オンライン講座など)の3つです。
どれを選ぶかは後ほど詳しく解説しますが、ポイントは「最初から完璧な商品を作らなくていい」ということ。まずは市場に出してみて、お客さんの反応を見ながら改善していくのが正解です。
2. 売る場所(プラットフォーム)
商品が決まったら、次は「どこで売るか」です。昔なら店舗を構える必要がありましたが、今はインターネットがあります。
物販なら、Amazon、楽天、メルカリ、ヤフオク。スキル販売なら、ココナラ、ランサーズ、クラウドワークス。コンテンツ販売なら、Brain、note、Udemy。すでに集客力のあるプラットフォームが山ほどあります。
自分でゼロからホームページを作って集客する必要はありません。既存のプラットフォームに乗っかれば、最初からお客さんがいる場所で商売ができます。
私も最初はAmazonやヤフオクを使っていました。自社サイトを立ち上げたのは、ある程度売上が安定してからです。最初からすべてを自前で揃えようとすると、時間もお金もかかりすぎます。
3. 最低限の資金(10万円あれば十分)
「起業するにはまとまった資金が必要」と思っている人が多いですが、これは大きな誤解です。飲食店や店舗ビジネスならたしかに数百万円の初期投資が必要ですが、ネットビジネスなら話は別です。
物販なら、最初の仕入れ資金として5万〜10万円あれば始められます。スキル販売なら、パソコンとネット環境さえあれば資金はほぼゼロです。コンテンツ販売も同様です。
「お金が貯まったら起業しよう」と考えている人は、永遠に起業できません。なぜなら、お金が貯まる頃には別の「準備が足りない理由」を見つけてしまうからです。大事なのは、今ある資金でできることから始めることです。
逆に言えば、この3つさえあれば起業はできます。法人登記は後でいい。名刺も後でいい。オフィスも後でいい。まずは「売るもの」「売る場所」「最低限の資金」を揃えて、小さく始めましょう。
起業の5つのステップ
「起業に必要なものはわかった。じゃあ具体的にどうすればいいの?」という声が聞こえてきそうです。ここからは、私自身の経験とコンサル先の成功事例をもとに、起業の具体的な5つのステップを解説します。

ステップ1:何で稼ぐか決める(副業レベルでテストする)
いきなり会社を辞めて起業する必要はありません。まずは副業レベルで「何で稼げるか」をテストしましょう。
具体的には、以下のような方法でテストできます。
物販に興味があるなら、メルカリで不用品を売ることから始めてみてください。「売る」という行為の感覚をつかめます。商品の写真をどう撮れば売れやすいか、説明文はどう書けば反応がいいか、価格設定はどうすれば適正か。不用品販売だけでも、ビジネスの基本が学べます。その後、仕入れた商品を売ってみる。これだけで物販の基本は体験できます。
スキル販売に興味があるなら、ココナラに自分のスキルを出品してみましょう。ライティング、デザイン、プログラミング、翻訳、占い、何でも構いません。最初は格安でもいいから、「お金をもらってサービスを提供する」経験をしてみてください。実際にお客さんとやり取りをして、納品して、お金をもらう。この一連の流れを経験することで、「自分のスキルでお金がもらえるんだ」という実感が得られます。この実感は、どんなセミナーよりも価値があります。
コンテンツ販売に興味があるなら、noteで有料記事を書いてみましょう。自分の経験や知識を文章にまとめて、500円や1,000円で販売する。売れるかどうかで、市場のニーズがわかります。たとえば、転職の体験談、ダイエットの成功記録、資格取得のノウハウなど、あなたが「当たり前」だと思っている経験が、他の人にとっては貴重な情報である可能性があります。
大事なのは、「考える前にやってみる」こと。頭の中でシミュレーションしても答えは出ません。実際にやってみて初めて、「これはイケる」「これは違う」がわかるのです。
テスト期間の目安は1〜3ヶ月です。この期間で月に数千円〜数万円でも稼げたら、それは「ビジネスの種」になります。稼げなかったら、別のことを試せばいい。この段階ではリスクはほぼゼロです。
ステップ2:最小限で始める
テストで手応えを感じたら、次は本格的に取り組み始めます。ただし、ここでも「最小限」がキーワードです。
物販なら、最初は1つのプラットフォーム、1つのジャンルに集中しましょう。「Amazonも楽天もメルカリも全部やろう」と手を広げると、どれも中途半端になります。まずは1つに絞って、そこで結果を出すことに集中してください。
スキル販売なら、最初は1つのサービスメニューに絞りましょう。「あれもできます、これもできます」と欲張ると、かえって何屋かわからなくなります。「Webライティング専門」「ロゴデザイン専門」など、専門性を打ち出した方が選ばれやすいです。
「あれもこれも」ではなく「これだけ」。最初は選択と集中が大切です。
また、この段階ではまだ会社を辞める必要はありません。副業として続けながら、売上が安定してきたタイミングで独立を検討すればいいのです。私のコンサル先でも、いきなり独立して成功した人より、副業から段階的に移行した人の方が圧倒的に成功率が高いです。会社員としての安定収入があるうちに、ビジネスの土台を作っておく。これが最もリスクの低い起業のやり方です。
ちなみに、「副業禁止の会社なんですが……」という相談もよく受けます。まず、就業規則を確認してください。「副業禁止」と明記されていても、実際には憲法上の職業選択の自由との関係で、全面的な副業禁止は無効とされるケースが多いです。ただし、本業に支障をきたす場合や競合する事業を行う場合は別です。不安な場合は、まずは確定申告が不要な年間20万円以内で小さく始めて、感覚をつかむのも一つの手です。
ステップ3:月利30万円を目指す
最小限で始めたビジネスを軌道に乗せて、月利30万円を目指しましょう。なぜ30万円かというと、これが「会社員の給料と同等レベル」の一つの基準だからです。
月利30万円が安定して出せるようになれば、独立しても生活に困りません。逆に、月利が10万円以下の段階で会社を辞めるのはリスクが高すぎます。
月利30万円を達成するために意識すべきことは3つです。
まず、商品の単価を上げること。1,000円の商品を300個売るより、1万円の商品を30個売る方が現実的です。安売り競争に巻き込まれると疲弊するだけなので、付加価値をつけて単価を上げる工夫をしましょう。
次に、リピーターを増やすこと。新規のお客さんを集め続けるのは大変ですが、一度買ってくれたお客さんがリピートしてくれれば、売上は安定します。購入後のフォローやメルマガ配信などで、お客さんとの関係を維持しましょう。
そして、作業を効率化すること。同じ作業を繰り返しているなら、テンプレート化やツール化できないか考えましょう。1日8時間働いて月利30万円より、1日4時間で月利30万円の方が次のステップに進みやすいです。
ステップ4:法人化を検討する
月利が安定して30万円を超え、年間の利益が500万円を超えるようになったら、法人化を検討するタイミングです。
法人化のメリットは主に3つあります。税金面での優遇(所得が大きくなると法人税の方が有利)、社会的信用の向上(法人口座の開設、取引先の拡大)、経費の幅が広がる(役員報酬、社宅、出張手当など)ということです。
ただし、法人化にはデメリットもあります。設立費用(合同会社なら約6万円、株式会社なら約25万円)、毎年の決算・税務申告のコスト、社会保険料の負担増などです。
目安としては、年間利益が500万円以下なら個人事業主のまま、500万円を超えたら法人化を検討、800万円を超えたら法人化した方が有利、というのが一般的です。ただし、個別の状況によって異なるので、税理士に相談することをおすすめします。最近はオンラインで無料相談を受けてくれる税理士事務所も増えていますので、法人化を検討する段階になったら、一度プロの意見を聞いてみてください。
法人化の手続き自体は、今は非常に簡単になっています。freee会社設立やマネーフォワード会社設立などのサービスを使えば、必要書類の作成から法務局への届出まで、ほぼオンラインで完結します。合同会社なら、実質的な作業時間は数時間程度です。手続きの複雑さを理由に法人化を躊躇する必要はありませんが、「タイミング」は慎重に見極めてください。
私自身も最初は個人事業主として始めて、売上が伸びてきたタイミングで法人化しました。最初から法人にする必要はまったくありません。
ステップ5:仕組み化・スケールする
法人化が完了したら(あるいは個人事業のままでも)、次は「仕組み化」と「スケール」のフェーズです。
仕組み化とは、自分がいなくても売上が立つ状態を作ることです。具体的には、以下のようなことを行います。
外注化:自分でなくてもできる作業は、外注さんやスタッフに任せる。商品の梱包・発送、カスタマーサポート、データ入力などは、比較的早い段階で外注できます。
自動化:ツールやシステムを使って、手作業を減らす。メール配信の自動化、在庫管理の自動化、経理の自動化など、今はさまざまなツールがあります。
マニュアル化:自分のやり方を文書化して、誰でも再現できるようにする。これがないと、外注しても品質が安定しません。
スケールとは、売上の規模を拡大していくことです。新しい商品ラインの追加、新しい販路の開拓、広告を使った集客の拡大など、成長のための投資を行います。たとえば、Amazonだけで販売していたのを楽天やYahooショッピングにも展開する。国内仕入れだけだったのを海外仕入れにも広げる。自社ブランドのオリジナル商品を開発する。こうした「横展開」と「深掘り」の両方を進めていくことで、売上は加速度的に伸びていきます。
ただし、スケールの前に必ず仕組み化を完了させてください。仕組み化できていない状態で規模を拡大すると、自分がパンクします。これは私自身が経験した失敗でもあります。売上が伸びても自分の時間がなくなり、体を壊しかけたことがあります。仕組み化してからスケールする。この順番は絶対に守ってください。
初心者が選ぶべきビジネスの条件
「起業のステップはわかった。でも、そもそも何のビジネスを選べばいいの?」という疑問を持つ方も多いでしょう。ここでは、起業初心者がビジネスを選ぶときに押さえるべき4つの条件を解説します。

条件1:初期投資が少ない
起業初心者が最初に避けるべきなのは、大きな初期投資が必要なビジネスです。飲食店なら数百万円〜数千万円の初期投資が必要ですが、失敗したらその借金を返すために何年も苦しむことになります。
最初のビジネスは、失敗しても致命傷にならない金額で始められるものを選びましょう。具体的には、初期投資が10万円以内で始められるビジネスがおすすめです。
「10万円で始められるビジネスなんてあるの?」と思うかもしれませんが、ネットビジネスなら山ほどあります。物販、アフィリエイト、スキル販売、コンテンツ販売、どれも10万円以内で始められます。私自身も最初の仕入れ資金は8万円でした。その8万円で仕入れた商品が15万円で売れて、その利益でまた仕入れて……という繰り返しで、雪だるま式に資金を増やしていきました。
条件2:在庫リスクが低い
初心者が陥りやすい失敗の一つが、「大量に仕入れて在庫を抱える」ことです。「まとめ買いすれば安くなる」と大量仕入れして、売れ残って資金がショートする。これは物販初心者の典型的な失敗パターンです。
最初は在庫リスクの低いビジネスを選ぶか、在庫を少量に抑える運用をしましょう。
在庫リスクがゼロなのは、スキル販売やコンテンツ販売です。自分の知識やスキルが商品なので、在庫という概念がありません。物販でも、無在庫転売やドロップシッピングなら在庫リスクを最小限に抑えられます。ただし、無在庫転売はプラットフォームのルールに注意が必要です。
条件3:1人で始められる
起業の初期段階では、できるだけ1人で始められるビジネスを選びましょう。最初から人を雇うと、売上がなくても人件費が発生します。固定費が高いビジネスは、起業初期には致命的です。
1人で始めて、売上が伸びてきたら外注を使い、さらに伸びたら人を雇う。このステップを踏むことで、リスクを最小限に抑えられます。
「1人でビジネスなんて回せるの?」と思うかもしれませんが、今はクラウドソーシングやSaaS(月額制のソフトウェアサービス)が充実しています。経理はfreee、顧客管理はスプレッドシート、デザインはCanva、メール配信はBravo。1人でも十分にビジネスは回せます。
条件4:スケール可能
4つ目の条件は、将来的にスケール(規模拡大)が可能なビジネスであることです。
たとえば、自分が1対1でサービスを提供するコンサルティングは、自分の時間が上限になります。1日に対応できるクライアント数には限りがあるので、売上には天井があります。
一方、オンライン講座やコンテンツ販売は、一度作れば何人にでも販売できます。物販も、仕組み化すれば自分の時間に関係なく売上を伸ばせます。
「自分の時間を売るビジネス」から「仕組みで稼ぐビジネス」へ移行できるかどうかが、長期的な成功の分かれ目です。
以上の4つの条件を満たすビジネスとして、私が初心者におすすめするのは以下の3つです。
まず、物販(せどり・輸入転売)。初期投資が少なく、成果が出るまでの期間が短い。再現性が高く、仕組み化もしやすいです。私自身もここからスタートしました。
次に、スキル販売。自分の得意なことを商品にできる。初期投資ほぼゼロ。ただし、スケールするには仕組み化が必要です。
そして、コンテンツ販売。一度作れば繰り返し販売できる。利益率が非常に高い。ただし、最初の集客に時間がかかるのがデメリットです。
どれを選ぶかは、あなたの適性や興味によります。迷ったら、まずは物販から始めることをおすすめします。物販は「仕入れて売る」というシンプルなモデルなので、ビジネスの基本を学ぶのに最適です。仕入れ、価格設定、集客、販売、顧客対応、利益管理。ビジネスに必要な要素がすべて詰まっています。物販で基本を身につけてから、スキル販売やコンテンツ販売に展開していく人も多いです。
起業初期にやってはいけない5つのこと
ここまで「何をすべきか」を解説してきましたが、同じくらい重要なのが「何をすべきでないか」です。起業初期にやりがちな失敗を5つ紹介します。これらを避けるだけで、成功の確率は格段に上がります。

1. いきなり法人設立する
「起業する=会社を作る」と思い込んでいる人がいますが、これは間違いです。先ほども述べたように、最初は個人事業主で十分です。法人設立には費用がかかりますし、毎年の決算・税務申告にもコストがかかります。
売上がゼロの段階で法人を作っても、ただコストが増えるだけです。法人化は「利益が出てから」で遅くありません。むしろ、利益の状況を見て最適なタイミングで法人化した方が、税金面でも有利です。
私のコンサル先でも、「まず法人を作りました」という人がいますが、そういう人に限って売上がなかなか立ちません。法人を作ったことで「起業した気分」になってしまい、本来やるべき営業や商品開発がおろそかになるのです。
2. 事務所を借りる
「起業するなら事務所が必要だ」と考える人もいますが、最初は自宅で十分です。特にネットビジネスなら、パソコンとネット環境があればどこでも仕事ができます。
事務所の家賃は毎月確実に出ていく固定費です。売上がない段階で毎月10万円、20万円の家賃を払い続けるのは、精神的にもキツいです。事務所が必要になるのは、スタッフを雇って作業スペースが足りなくなったときです。それまでは自宅やカフェ、コワーキングスペースで十分です。
3. 名刺を作り込む
起業準備で名刺のデザインにこだわる人がいます。ロゴを作って、肩書きを考えて、紙質にもこだわって。気持ちはわかりますが、名刺に1円もかけなくても売上は立ちます。
今の時代、ビジネスの多くはオンラインで完結します。名刺交換の機会自体が減っています。名刺のデザインに3日かけるなら、その時間で商品を1つでも多く出品した方が、よほど起業に近づきます。
名刺が必要になったら、その時にラクスルで100枚500円のものを作ればいいのです。凝った名刺は、売上が立ってからいくらでも作り直せます。
4. SNSで起業報告する
「起業しました!」「独立しました!」とSNSで報告する人がいます。周囲から「すごい!」「頑張って!」と応援コメントが集まって、承認欲求が満たされます。
でも、これが実は危険なのです。SNSでの報告で「やった気」になってしまい、実際の行動が伴わなくなることがあります。心理学では「代替報酬」と呼ばれる現象で、目標を宣言しただけで達成感を感じてしまい、実際の行動力が低下するという研究結果があります。
起業報告は、最初の売上が立ってからでも遅くありません。それまでは黙って行動しましょう。結果が出てから報告した方が、説得力もあります。
5. 高額セミナーに通い続ける
起業セミナーやビジネス塾に通い続ける人がいます。30万円のセミナー、50万円のビジネス塾、100万円のコンサルプログラム。「これに参加すれば成功できる」と次から次へと申し込む。
学ぶこと自体は悪くありません。でも、学ぶことが目的になってしまっては意味がありません。セミナーで学んだことを実践して、初めて意味があるのです。
私の経験上、セミナーに100万円使って起業できない人より、セミナーに1円も使わずに見よう見まねで始めた人の方が、成功する確率は高いです。なぜなら、後者は「実践」を通じて学んでいるからです。
どうしてもセミナーに参加したいなら、1つだけ参加して、そこで学んだことを徹底的に実践してください。実践せずに次のセミナーを探すのは、「準備ごっこ」でしかありません。
以上の5つに共通しているのは、「準備している気分になれるけど、実際にはビジネスが前に進んでいない」ということです。起業で大事なのは、見た目を整えることではなく、実際にお金を稼ぐことです。この違いを常に意識してください。
起業してからの「壁」と乗り越え方
実際に起業して動き始めると、いくつかの「壁」にぶつかります。ここでは、私自身の経験とコンサル先の事例をもとに、代表的な3つの壁と、それぞれの乗り越え方を解説します。

月利10万円の壁 ― 集客の壁
起業して最初にぶつかるのが、月利10万円の壁です。これは「集客の壁」とも言えます。
商品は用意した。出品もした。でも、お客さんが来ない。売れない。この状態が続くと、「やっぱり自分には向いていないんじゃないか」と不安になります。
でも安心してください。最初から順調に売れる人なんてほとんどいません。私も最初の1ヶ月は売上がほぼゼロでした。
月利10万円の壁を突破するために必要なのは、「量」をこなすことです。出品数が少なければ、売れる確率も低い。物販なら出品数を増やす。スキル販売ならサービスメニューを増やす。コンテンツ販売なら記事数を増やす。
具体的な数字を出すと、物販なら最低100商品は出品しましょう。100商品出品して1つも売れないということは、まずありません。売れ始めたら、どの商品が売れるのかパターンが見えてきます。そこから売れ筋に集中していけばいいのです。
また、プラットフォーム内のSEO(検索最適化)も重要です。Amazonなら商品タイトルやキーワードの最適化、メルカリなら商品写真と説明文の工夫、ココナラならサービス説明の充実。プラットフォーム内で検索上位に表示されるだけで、売上は大きく変わります。
月利10万円に到達するまでの期間は、人によりますが、だいたい1〜3ヶ月が目安です。3ヶ月やっても全く売上が立たない場合は、商品や売り方を根本的に見直す必要があります。ただし、「全く売上が立たない」と「売上が少ない」は別です。月に3,000円でも5,000円でも売上が立っているなら、その延長線上に月利10万円があります。売れている商品のパターンを分析して、そこに注力すれば売上は伸ばせます。ゼロと1の差は、1と100の差よりもはるかに大きいのです。
月利50万円の壁 ― 時間の壁
月利10万円を突破して、20万円、30万円と売上が伸びてくると、次にぶつかるのが月利50万円の壁です。これは「時間の壁」です。
売上が伸びるにつれて、やることが増えます。仕入れ、出品、梱包、発送、カスタマー対応、経理……。気がつくと1日15時間働いても追いつかない状態になります。しかも、自分が休むと売上が止まる。これは「自営業」であって「ビジネス」ではありません。
月利50万円の壁を突破するカギは「仕組み化」と「外注化」です。
まず、自分の作業を棚卸ししてください。1週間の作業をすべて書き出して、それぞれの作業に「自分でなければできないこと」と「他の人でもできること」のラベルを貼ります。
すると、驚くほど多くの作業が「他の人でもできること」に分類されるはずです。梱包・発送は外注できます。商品の撮影も外注できます。カスタマー対応もマニュアルを作れば外注できます。データ入力や経理もアウトソースできます。
外注先は、クラウドワークスやランサーズで見つかります。最初は時給800〜1,200円程度で、在宅ワーカーを探せます。
自分は「自分にしかできないこと」に集中する。具体的には、商品選定、仕入れ先の開拓、販売戦略の立案、新規事業の企画など、ビジネスの頭脳部分です。作業者から経営者へ。この意識の転換が、月利50万円の壁を突破する最大のポイントです。
月利100万円の壁 ― マインドセットの壁
月利50万円を突破して、70万円、80万円と伸びてくると、最後にぶつかるのが月利100万円の壁です。意外に思うかもしれませんが、この壁の正体は「マインドセット」です。
月利100万円の手前で止まってしまう人には、共通するパターンがあります。それは、「自分が月100万円稼いでいいのか」という心のブレーキです。
「月に100万円も稼ぐなんて、なんか悪いことしてるんじゃないか」「自分にはそんな価値がない」「周りの人と比べて稼ぎすぎじゃないか」。こうした無意識のブレーキが、行動にブレを生みます。
たとえば、商品の値上げをためらう。もっと広告費をかければ売上が伸びるのに、投資をためらう。新しい施策を思いついても、「うまくいかなかったらどうしよう」と実行を先送りにする。
これらは全て、マインドセットの問題です。
乗り越え方としては、まず「お金を稼ぐこと=価値を提供すること」という認識を持つことです。あなたが月100万円稼いでいるということは、それだけの価値をお客さんに提供しているということです。誰も損していません。お客さんは喜んでお金を払っているのです。
次に、同じレベルの起業家と交流することです。月利100万円が「当たり前」の環境に身を置くと、心理的な壁が下がります。自分一人で悩んでいると、どうしても現状維持バイアスが働きます。
そして、小さな挑戦を積み重ねること。いきなり大きなリスクを取る必要はありません。「今月は広告費を10%増やしてみよう」「新しい商品ラインを1つ追加してみよう」「商品の価格を500円上げてみよう」。小さな挑戦の積み重ねが、大きな成果につながります。
私自身も、月利100万円を超えたときは不思議な感覚でした。でも、一度超えてしまえば、それが新しい「当たり前」になります。200万円、500万円と伸びていく過程で、何度も同じような心理的な壁にぶつかりましたが、乗り越え方は同じです。「自分にはその価値がある」と信じて、行動し続けること。シンプルですが、これが本質です。
この3つの壁は、ほぼ全ての起業家が通る道です。壁にぶつかったときに「自分だけがうまくいかない」と思わないでください。みんな同じ壁にぶつかって、乗り越えて、成長しています。壁があるということは、あなたが前に進んでいる証拠です。
ちなみに、月利100万円を超えた後にも壁は続きます。月利300万円、500万円、1,000万円と、それぞれの段階で新しい課題が出てきます。でも、最初の3つの壁を乗り越えた経験があれば、その後の壁も同じ要領で乗り越えられます。「壁にぶつかる→原因を特定する→対策を打つ→乗り越える」というサイクルを回し続けること。これが起業家としての成長そのものです。
まとめ
この記事では、「起業するには何から始めればいいのか」について、私自身の経験とコンサルティングの実例をもとに解説してきました。
最後にもう一度、大事なポイントを整理します。
起業に本当に必要なものは3つだけ。「売るもの」「売る場所」「最低限の資金(10万円)」。それ以外は後から揃えればいい。法人設立もオフィスも名刺も、最初は不要です。
起業のステップは5つ。副業レベルでテスト→最小限で始める→月利30万円を目指す→法人化を検討→仕組み化・スケール。いきなり大きく始めるのではなく、段階的にステップアップしていくことが成功の鍵です。
初心者が選ぶべきビジネスの条件は4つ。初期投資が少ない、在庫リスクが低い、1人で始められる、スケール可能。この条件を満たす物販・スキル販売・コンテンツ販売から始めましょう。
起業初期にやってはいけないこと。いきなり法人設立、事務所を借りる、名刺を作り込む、SNSで起業報告、高額セミナーに通い続ける。これらは全て「準備ごっこ」です。
起業には3つの壁がある。月利10万円の壁(集客)、月利50万円の壁(時間→仕組み化)、月利100万円の壁(マインドセット)。壁にぶつかるのは当たり前のこと。正しい方法で乗り越えていきましょう。
冒頭でお話しした「3年間準備し続けて起業できなかった人」の話を覚えていますか。あの方は、私のコンサルを受けた後、2ヶ月でメルカリ物販を始めて、3ヶ月目に月利8万円を達成しました。3年間の準備より、2ヶ月の行動の方がよほど起業に近づいたのです。
起業に「完璧な準備」はいりません。必要なのは、不完全でもいいから「まず始める」という一歩です。
この記事を読んで「よし、やってみよう」と思ったなら、今日中に1つだけ行動してください。メルカリで不用品を1つ出品する。ココナラにサービスを1つ登録する。noteで有料記事を1つ書く。何でもいいです。
完璧な準備を目指して3年間止まるより、不完全な一歩を今日踏み出す方が、起業には100倍近づきます。
あなたの起業が成功することを、心から応援しています。











