楽天のSEO対策について

楽天市場は日本最大級のECモールとして、多くの事業者にとって重要な販売チャネルとなっていますが、競争も激しく、売上を伸ばすためには戦略的なアプローチが必要です。

この記事では、私が実際に取り組んできた楽天市場における売上向上施策について、アクセス数、転換率、客単価という3つの重要指標を軸に、具体的な手法と実践例を交えながら詳しく解説していきます。

楽天市場で売上を伸ばすための基本的な考え方

楽天市場での売上は、シンプルな計算式で表すことができます。

売上 = アクセス数 × 転換率 × 客単価

この3つの要素をそれぞれ改善することで、売上を大きく伸ばすことが可能です。私の経験では、どれか一つに偏るのではなく、バランスよく全ての要素を改善していくことが重要だと考えています。

1. アクセス数向上施策:より多くのお客様に商品を見てもらうために

自然検索対策(SEO)の重要性

楽天市場内での自然検索対策は、アクセス数を増やす上で最も基本的かつ重要な施策です。楽天市場内の検索で抑えるべきポイントは、自然言語処理による検索キーワードと商品の関連性、そして検索キーワードごとの商品の人気度です。

私が実践している具体的な対策は以下の通りです。

商品名の最適化

商品名は127文字まで設定可能で、選定したキーワードを重要な順に盛り込むことが重要です。例えば、「プロテイン」を販売している場合、「プロテイン ホエイ 1kg 国産 無添加 人工甘味料不使用 WPC バニラ味 チョコレート味」のように、検索されやすいキーワードを網羅的に含めるようにしています。

キャッチコピーの活用

商品名に入りきらないキーワードは、キャッチコピーに記載します。私は特に、季節性のあるキーワードや、トレンドキーワードをキャッチコピーに含めることで、時期に応じた検索流入を獲得しています。

販売説明文の充実

販売説明文には、関連性のあるキーワードを半角スペースで区切って記載することで、検索エンジンに商品の関連性を正しく伝えることができます。

RPP広告の効果的な運用

RPP広告は楽天市場内の広告で費用対効果が高く、キーワードの検索結果への表示順位に大きく影響するため、私は最優先で取り組んでいる広告です。

RPP広告運用のポイントは以下の通りです。

  1. キーワードの選定楽天市場のサジェストキーワードを参考に、検索ボリュームがあり、かつ競合が少ないキーワードを選定します。
  2. CPC(クリック単価)の調整:目安CPCは日々変化するため、週に2~3回ほどのチューニングが重要です。私は毎週月・水・金曜日にCPCを確認し、調整を行っています。
  3. イベント時の対応:お買い物マラソンやスーパーセールなど、イベント時はCPCが大きく変動するため、事前に予算を確保し、積極的に入札単価を上げています。

クーポンアドバンス広告の活用

クーポンアドバンス広告は、消費者の購買履歴や閲覧履歴をベースに、購入される可能性が高いクーポン金額を表示して購入を促進する広告です。

私の経験では、値引き率を「中」から「高」に変更したことで、利用枚数が2倍程度に増加した事例があります。特に、初回購入者向けのクーポンを発行することで、新規顧客の獲得に大きく貢献しています。

アフィリエイトの戦略的活用

アフィリエイトは外部から成果報酬で集客できる施策で、リスクをコントロールしたうえで集客できるため、私も積極的に活用しています。

成果報酬料率は、商品の利益率を考慮しながら、競合他社よりも高めに設定することで、アフィリエイターからの紹介を増やすことができます。私の場合、利益率の高い商品は5%以上の料率を設定し、プレミアムパートナーへの商品提供も行っています。

楽天スーパーセール対策

楽天スーパーセールは年に4回(3月、6月、9月、12月)実施され、楽天市場内では売上を立てる絶好のチャンスです。

私がスーパーセールで実践している施策は以下の通りです:

  1. セールサーチへの申請:スーパーセール開始の4週間以上前から販売している商品で、10%以上の割引を予定している商品を申請します。
  2. 二重価格表示の注意:スーパーセール開始の8週間以内に合計4週間以上元値での販売実績が必要なため、事前の価格管理を徹底しています。
  3. RPP広告の調整:セール期間はRPP広告の目安CPCの変動が大きくなるため、細かな調整が重要です。私は1日2回以上CPCをチェックし、適切な調整を行っています。

メルマガ・LINEを活用したリピーター対策

メルマガ・LINEは主にリピーターに向けて訴求ができ、最近ではLINEの普及により、メルマガよりもLINE経由の流通が2倍以上立つ傾向があります。

私のLINE活用方法:

  • 友だち登録でクーポン発行
  • 5の倍数日やイベント開始時に配信
  • 商品の使い方や活用方法などの有益な情報も配信

2. 転換率向上施策:来店したお客様を購入に導くために

価格・送料戦略

転換率に最も影響が大きいのは価格を調整し競合他社よりも安く販売することです。私は以下の方法で価格戦略を実践しています:

  1. 競合調査の徹底:毎週、主要競合の価格をチェックし、エクセルで管理しています。
  2. 送料込み価格での比較:送料も含めた価格で最安値をとれるようにすることが前提となるため、送料設定も含めて検討します。
  3. イベント時の値下げ5の倍数日やスーパーセールなど、アクセスが集中するタイミングで戦略的に値下げを実施します。

クーポン施策の効果的な活用

価格調整の次に有効な方法はクーポンで、定価を維持しつつ一時的に値下げが可能です。

私が実践しているクーポン施策:

  • 配布型クーポン:イベント時や店舗独自セール時に活用
  • サンキュークーポン:リピーター獲得のため、購入後自動付与
  • クーポンアドバンス広告:集客と転換率向上を同時に狙う

ポイント施策の戦略的活用

自社の販売価格は下げたくないものの、競合他社商品に価格で負けている場合はポイントを活用します。

私のポイント活用方法:

  1. 楽天市場実施のキャンペーンへの参加
  2. 店舗独自のポイントキャンペーン実施
  3. 商品別のポイント変倍設定(売れ筋商品に重点的に設定)

特典・プレゼント施策

価格・クーポン・ポイントでの調整が難しい場合は商品購入での特典やプレゼントをつける施策を実施します。

私が実践している例:

  • スマートフォンケース購入で充電ケーブルプレゼント
  • 化粧品購入でサンプルセットプレゼント
  • 一定金額以上購入でオリジナルグッズプレゼント

納期設定の最適化

価格・クーポン・ポイントの実施で転換率があまり上がらない場合は配送納期が他社商品より遅い可能性があります。

私は「あす楽」の申請を行い、正午までの注文で翌日配送を実現しています。これにより、検索結果画面にアイコンがつき、消費者からの視認性が上がりやすいというメリットも享受しています。

レビュー対策の重要性

レビュー件数約50件目安にCVRが大幅に増加するため、レビュー獲得は転換率向上の重要な要素です。

私のレビュー獲得施策:

  1. レビュー記載で次回使える500円OFFクーポンプレゼント
  2. レビュー記載でオリジナルグッズプレゼント
  3. 購入後のフォローメールでレビュー記載をお願い

商品ページの最適化

商品の転換率を向上させるためには、ページを一定の水準の品質まで引き上げる必要があります。

私が実践している商品ページ構成:

  1. キャンペーン内容:ページ冒頭で訴求し、興味を引く
  2. 基本的な商品情報:商品イメージが湧く画像を使用
  3. 実績訴求:楽天ランキングやSNS掲載実績を掲載
  4. 商品詳細情報:他社との差別化ポイントを明確に
  5. 今買うべき理由:期間限定キャンペーンなどを記載
  6. レビューキャンペーン:最後にレビュー促進

店舗内回遊施策

商品ページでの転換率対策をやり切った後は回遊施策によって店舗全体の転換率向上を目指します。

私が設定している回遊施策:

  • 同カテゴリ商品の表示
  • よく一緒に購入される商品の表示
  • セット商品の提案
  • 人気商品ランキングの表示

3. 客単価向上施策:一人当たりの購入金額を増やすために

セット商品の戦略的設定

売れ筋商品の複数個セットや売れ筋商品とよく同時購入される商品とのセットを販売することで、客単価の向上を狙えます。

私が実践しているセット商品の例:

  • 同一商品の3個セット、5個セット
  • 関連商品とのセット(シャンプー+トリートメント)
  • 季節商品とのセット(日焼け止め+アフターサンケア)

組み合わせ販売の設定

組み合わせ販売を設定することで、複数商品の購入を促進し、客単価を向上することができます。

私の組み合わせ販売設定:

  • シューズとシューケア用品
  • アパレル商品とモデル着用アクセサリー
  • 調理器具と関連する調味料や食材

金額条件付きクーポンの活用

まとめ買い条件のクーポンを発行することで客単価向上が狙えます。

私が設定しているクーポン条件:

  • 5,000円以上購入で500円OFF
  • 10,000円以上購入で1,500円OFF
  • 2個以上購入で15%OFF

金額条件付きプレゼント施策

一定の金額以上を購入いただいたお客様にノベルティや試供品などのインセンティブを付与することで客単価向上が狙えます。

私の実践例では、税込1.1万円以上購入者にお試しパックを配付した結果、条件金額以上売上が1.6倍、客単価が639円向上しました。

私が実践してきた具体的な成功事例

食品メーカー様の事例

RPP広告を中心としたきめ細やかな広告運用と、競合他社の流入キーワードなどの分析を踏まえた検索対策により、楽天市場売上が昨年対比1,000%以上、アクセス人数も大幅に増加した事例があります。

この事例では、以下の施策を実施しました。

  1. 商品の売上状況、利益率、商品ページ、価格設定の徹底的な見直し
  2. 検索対策と積極的な広告運用
  3. 週次でのデータ分析とPDCAサイクルの実施

アパレルメーカー様の事例

商品ページのLP改善と広告運用の最適化により、広告経由売上が82%増加、ROASが131%改善した事例です。

実施した施策

  1. 現状分析と競合分析
  2. RPP広告の掲載対象商品見直し
  3. 時期別の日予算最適化
  4. 競合他社で転換率の高いキーワード選定
  5. 週次レポーティングによる改善

スーパーセール売上向上事例

スーパーSALEに合わせたアクセス数、転換率を向上させる施策を実施することで、売上の昨年対比を1,200%以上に伸ばした事例もあります。

実施施策

  • 広告運用の最適化(RPP広告調整、無料目玉枠広告活用)
  • スーパーSALEサーチの活用
  • セール情報の商品ページ反映
  • 各種キャンペーン実施(メルマガ、ポイント、クーポン)

楽天市場でのEC運営を成功させるための心構え

データ分析の重要性

私が楽天市場での運営で最も重視しているのは、データに基づいた意思決定です。売上、アクセス数、転換率、客単価などの数値を日々確認し、施策の効果を検証しています。

PDCAサイクルの徹底

ECにおけるPDCAサイクルを”正確に””素早く”回していくことが重要です。私は以下のサイクルを実践しています:

  1. Plan(計画):イベント対応企画、広告企画、ページ改修企画
  2. Do(実行):キャンペーン対応、メルマガ対応、広告運用
  3. Check(評価):レポート作成、データ分析、月次定例報告
  4. Action(改善):数値分析による改善策の提案

競合分析の継続

楽天市場は競争が激しいマーケットプレイスです。私は定期的に競合他社の価格、商品ページ、広告出稿状況などを分析し、自社の施策に反映させています。

顧客視点の維持

最終的に購入を決めるのはお客様です。私は常に「お客様にとって価値があるか」「お客様が求めているものは何か」を考えながら施策を実施しています。

楽天市場でのSKUプロジェクト移行への対応

最近の重要なトピックとして、SKUプロジェクトへの移行があります。SKU移行後は商品価格が1つの商品ページ内で複数設定が可能になるため、スーパーセールサーチイベント商品申請時の審査事項などが見直されます。

私が注意している点:

  • 全SKUが合格条件を満たす必要がある
  • 商品ページまとめ時の販売実績初期化に注意
  • SKU管理番号の変更による販売実績リセット

まとめ:楽天市場での成功に向けて

楽天市場でのEC運営は、一朝一夕には成功しません。私も日々試行錯誤を重ねながら、少しずつ売上を伸ばしてきました。

重要なのは、以下の3つの要素をバランスよく改善していくことです:

  1. アクセス数の向上:SEO対策、広告運用、イベント活用
  2. 転換率の改善:価格戦略、クーポン・ポイント施策、ページ最適化
  3. 客単価の向上:セット商品、まとめ買い促進、金額条件施策

これらの施策を組み合わせ、PDCAサイクルを回しながら継続的に改善していくことで、必ず成果は出てきます。

私自身、これからも自社の楽天運営を通じて、お客様により良い商品とサービスを提供できるよう、日々努力を続けていきます。

この記事が、楽天市場でEC運営をされている方々の参考になれば幸いです。

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