VAT登録・申告・還付の方法

Amazon輸出欧州販売を行う上で問題になるのがVAT登録や申告・還付です。

VATとは

VATとはValue Added Taxの略で日本語で付加価値税と訳されます。欧州AmazonはVATを出品者が負担することを規約として定めています。

インコタームズでいうDDP条件でユーザーの手元まで荷物を送る必要があるのです。

DDP条件というのは購入者の手元に届くまでの全ての費用を出品者側が負担するということです。

欧州のAmazonはあくまで欧州にあります。
消費地は欧州になります。

どの国で資産の所有権が購入者に移転したかを考えるとわかりやすいと思いますが例えば欧州向けのネットショップを日本でやっていればVAT登録はしなくてもOKです。この場合消費地は日本です。

※Shopifyなどで完全に海外向けに行なっている場合課税されるようになりました。国によってルールは違いますが少なくとも欧州に関しては課税されます。

FBA納品をするために商品を欧州に送ると通関時に通関VATが請求されます。

そして欧州Amazonでは消費税(VAT)を商品代金に含めて販売する必要があるので購入者は注文時点でVATを支払っていることになります。

原則は日本の消費税と同じです。
そもそも日本の消費税は欧州のVATを元に作られています。

VAT登録をしないで販売すると通関時に約20%課税されるだけで損しかしませんが支払うVATは

売上にかかるVAT-仕入れ(通関時)にかかるVAT

で計算されます。

ここで問題になるのが何も知らないセラーの方達です。彼らはVATをよくわかっていないのかVATを含めない価格で販売します。

するとその価格は相場より安いので購入者に課税された時に問題が発覚していずれアカウントが凍結されますがそれまでは市場に存在する競合になるのでVATを理解してVAT登録をしているセラーも被害を受けます。

欧州の購入者からしたらまさかVAT価格が含まれていないとは思わないので安い方から購入するでしょう。

ちなみに出品者出荷だとしてもVATは納めないといけません。
国によって異なりますが連続12ヶ月で日本円で150万円ほど売りあげるとVATを納める必要が出てきます。

欧州から見て日本のような遠い島国のVAT未払い者の取り立てはわざわざ行わないだろう、とタカをくくっている人もいるかとは思いますがUKの例だけを見てもHMRCとAmazonはツーカーなのでアカウントが急に凍結される確率は非常に高いです。

本来は過去の分まで遡って請求されるのと欧州では国によっては未払い分200~300%の罰金があるところもあります。

VAT numberは売上が低いうちは一カ所で取得すればいいのでまずはメインの販売国で取得しましょう。
ちなみにイギリスがEU離脱をしたためイギリス以外で販売する場合はイギリスとそれ以外の国それぞれでVAT登録が必要になります。

なおインポーターがいない場合はEORIナンバーの取得も必要です。

VATは閾値を超えるとそれぞれの国で納税登録義務が発生します。都度税金を払うことが出来れば楽に見えるかもしれませんがEU域内取引では、VATの仕入税額控除を受けるため、VAT登録番号の確認が日常的に行われており実質VAT登録を行なっていないと取引ができない企業が多数存在します。

そもそもVAT登録が必要?

Amazonおよび自社ECで一か国に対して15000EURO以上販売しているセラーは登録が必要です。(国により金額は異なります)

ebayの場合ebayが間接的に納税してくれるためVAT登録は不要です。

アメリカの州税について

少し寄り道して他の国の税制についても見ていきましょう。

米国Amazonで物品販売している場合、州ごとにEconomic Nexus(年間売上10万ドルまたは年間200取引)を超えると、該当州にて売上税登録義務及び売上税課税義務が発生します。

ただし多くの州ではこれとは別にマーケットプレイスファシリテーター法が適用されているため例え売上税が掛かったとしても、日本企業は現地での売上税登録を行う必要はありません。

AmazonやeBay等のマーケットプレイスが貴社の代わりに売上税の課税・徴税・納税を行います。ただしShopifyやWooCommerceの場合はこの限りにありません。よってEconomic Nexusの閾値を超えると税申告義務が発生します。

以前は物の移動が伴う場合にのみ税金がかかってしましたが現在はデジタル商品、サービスにも適用されこの傾向は全世界共通となりつつあります。

VATの登録方法

居住者証明書や、商業登記簿謄本等があれば登録自体は誰でも出来ます。国によって公証が必要です。自分で翻訳しても認められないので業者に頼みましょう。

値段は5万円位です。VAT登録代行自体は10万円程度です。

登録だけであれば国内の業者でも安い業者が増えていますがその後の申告や還付まできちんとサポートしている所はまだまだ少ない印象です。

輸入も同時に行うのであれば還付は生命線になるのでなおさら還付まで行える所を選びましょう。

また売上によって毎月納税するか四半期で納税するかなど変わってきますがそれも国ごと違います。

私の会社でもVATの登録から申告代行まで行っていますが月額1.5万円~(国により異なる)で行っています。

VATのOSS制度

EU OSSとも呼ばれるワンストップショップ (OSS) 制度と呼ばれる制度が始まりました。
EU加盟国に所在地があるセラーが他のEU加盟国に在住している個人消費者にECサイトを通じて物品販売を行う際、仕向地のVATを徴収・納付しなくてはならない場合に適用されます。

2021年7月1日以降、他のすべてのEU加盟国への年間売上が総額10,000ユーロ以上の場合、各地でVAT登録をして申告を行う代わりにOSS制度を利用できます。

しかしOSSの申告手続きは複雑であるため会計費用が余分にかかってきます。
会計事務所によって異なりますが多くの場合目安としては3カ国以上VAT登録するよりは安いものの2カ国VAT登録するよりは高いという認識を持っておけば問題ありません。

フランス、ドイツ、イタリアで販売するような場合は1カ国でのVAT登録+OSS制度を活用する方が安くなると言うことです。

イギリスはEUを脱退したのでイギリスで商品を販売する場合はイギリスでのVAT登録も別途必要になります。

Non EU OSS制度

IOSSの制度として、在庫が非EU地域にあり、この在庫をEU域内消費者に販売する場合かつ販売価格が150ユーロ以下の場合、通常のVAT番号ではなくIOSS番号での申告で足りるという制度です。

AmazonのFBA販売などでは在庫がEU圏内にあることになるので適用不可能になります。

VAT申告の方法

VATの申告は、1~12月の年次で行い、毎月あるいは四半期ごとの予納申告と年度末申告の二本立てとなります。

予納申告は、VAT登録の初年度は毎月での提出となり、申告期限は翌月10日までです。

VAT申告は予納申告書を作成し、管轄税務署に電子申告を行うことで申告が可能です。

例えばドイツであればドイツ語で書類を作成する必要がありますが日本で税理士事務所に任せず自分で決算を行う人がいるようにVAT申告も自分でやろうと思えば自分で行うことは可能です。

特に今の時代は電子申告が普及しているため日本にいながら行うことも可能です。しかし法人を運営していて自ら決算書を作る人が稀であるようにVAT申告を自分で行う人はほぼ存在しません、というより書類に不備があり還付が受けられないケースも出てくるのでおすすめしません。

VAT還付の方法

VAT還付は、翌年6月までに申請する必要があります。申請締め切り日等は、国により異なります。

  • インボイス原本
  • 居住者証明書(非居住者である必要がある)
  • 委任状
  • 質問票
  • その他国毎の必要書類

などが必要です。国ごとに違うため独力でやって還付されなかった時の損失が大きすぎるので業者に依頼しましょう。

P.S ヨーロッパの大手事務所と提携して私の会社でもVAT登録・申告・還付の業務を始めました。(EU加盟国28カ国全て対応可能です)

日本語でのやりとりが可能で現地の事務所がバックにいるのでスムーズに対応が可能です。

VAT申告代行・サポートの料金

初年度40万円(輸出コンサルティング受講者は20万円)

上記料金にはVAT登録・EORI登録費用を含みます。

2年目以降月額1.5万円~(国により異なります)

還付申請は年何回申請でも料金は変わりません。

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