輸入ビジネスでメーカーからの仕入れをする際に契約書を交わしていないと言う企業は多いと思います。
私も昔は交わしていませんでした。
しかしあるメーカーの不良品発生率が10%を超えるような商品を仕入れてしまった時にそれまで契約をしていたメーカーは契約書を交わさなくても無償で交換をしてくれていたのですがそのメーカーは自費で返品をしてくれたら確認後商品を送る、と言ってきました。
これでは納期的にも非常に時間がかかりますし返品をしたら返品の送料で利益が利益を圧迫してしまうことになります。
しかし契約書を交わしていなかったので一応正当なクレームはいれましたが無駄に終わりました。
もちろん長期的に見てこのようなメーカーとは付き合いをやめていくべきなのですが一回限りの仕入れでも同様の問題が発生することはあります。
また他にも契約書を交わしていないと後から条件を変えられてしまったこともありました。
その経験から中小企業でも契約書は交わしておくべきだと思い契約書を交わすようになったのでその書き方などをシェアしたいと思います。
ちなみに実際のビジネスでは、信頼関係が出来てない新しい取引相手に対しいきなり貿易規則の話をしても煙たがられるだけなのでまずは一定の信頼関係を築くことが前提です。
契約書を交わさないことによるトラブル事例
- 商品個数の相違
- 商品規格の相違
- 品質の相違
- 不良品発生時の保証問題
- 納期の遅れ
契約書は輸入者、輸出者どちらが作るべき?
これは絶対輸入者が作るべきです。
作り方がよく分からないから相手に任せたいと言う気持ちはわかりますが輸出者は当然自社に都合がいい条件を契約書に盛り込んできます。
輸入取引において何か問題が起きた時に責任の所在を明らかにしておかないと輸入者ばかりが負担を被ることになってしまいます。
ちなみに輸入者が契約書を有利に作ろうとすることを危惧して今度はメーカー側がサインをしないのでは?と思われた方もいると思いますがその通りです。
そこで考えたいのが契約書の作り方です。
輸出入取引における契約書の作り方とは?
輸出入取引における契約書は表面約款と裏面約款という2つから出来ています。
契約書の表面には個別条項を記載し、裏面には一般条項を記載します。
表面に記載する個別条項を「表面約款」、裏面の一般条項を「裏面約款」と呼びます。
表面約款に記載すべき内容は
- 品質条件
- 数量(Quantity)
- 単価(Price)
- 船積日(on BoardDate)
- 貿易条件(Trade Terms)
- 支払い条件(Terms of Payment)
- 保証(Warranty)
- 仕向地(Destination)
- 荷印(Shipping Mark)
です。
品質条件は
- 見本売買(サンプルを元に決定)
- 銘柄売買(商標や銘柄が基準)
- 規格売買(ISO<国際標準化機構>やJIS<日本工業規格>の基準に基づいて決める)
- 仕様書売買(図面に基づいて決める)
などがあります。
品質でトラブルになることは多いので契約書で決めておきましょう。
また品質を判断するのはいつにするかという問題もあります。
これはインコタームズ(貿易条件)とも関係するのですが事例としては
- FOB、CIF→船積品質条件
- DAT→揚地品質条件
となります。
ただしFOBやCIFでも契約書に記載すれば揚地品質条件にするようなことは可能です。
支払い条件とは前金Paypal30%、B/L発行後T/Tで70%などです。(←よくある条件です)
荷印とは貨物を照合させるためのマークのことで
- 主マーク(社名など)
- 仕向け地
- 注文番号(PO No.)
- ケースナンバー
- 貨物の原産地表示(例:Made in Japan)
- 取り扱い注意事項(例:DANGEROUS、This Side Upなど)
- 総重量(Gross Weight)/純重量(Net Weight)/容積(Measuremen
などを記すことになります。
この部分は通常フォワーダーに任せることになると思うので難しく考える必要はありません。
裏面約款に書くのは
- 価格調整禁止
- 船積期間の厳守
- 契約不履行責任
- 準拠法や裁判
などです。
メーカーと輸入者で表面約款だけ交わして裏面約款には互いにサインせずトラブルが起きた時に話し合いで解決するというケースもあります。
しかし裏面約款もきちんと取り決めておくべきだと私は経験上思います。
ちなみに実際の契約書は当然ですが外国語(主に英語)で交わす必要があります。
「standard import contract」、「 import contract sample」などでググると英文のサンプルが見つかるので今回の内容を参考にしつつサンプルを使って契約書を作成してみてください。