この記事では中国輸入に取り組むにあたってアバウトに計算を行なっていると痛い目を見る消費税・関税の計算方法についてまとめてみました。
以下中国輸入時にかかってくる関税に関係する税金です。
- 関税
- 消費税
- 税関手数料
1つずつ見ていきたいと思います。
目次
関税
中国から商品を輸入する際には関税・消費税・関税手数料の3種類のコストが発生し、商品のHSコードと申告価格によって税率が決まる仕組みを理解することが仕入れコスト管理の基本だ。

関税の計算方法と税率適用の仕組み
中国輸入における関税率は商品カテゴリによって0%~20%まで変動し、CIF価格(商品代金+保険+送料)を基準に課税されるため、正確な計算が必須です。
関税の算出には「CIF価格 × 関税率」という基本式を使いますが、実際の計算ではいくつかのルールと切り捨て処理が必要になります。まずCIF価格は1,000円未満である場合は切り捨てられ、関税額が100円未満の場合も同様に切り捨てられます。
たとえば、商品代金8,000円・送料2,500円・保険料500円の合計でCIF価格は11,000円。この場合、1,000円未満切り捨て後の計算対象額は11,000円(変更なし)。関税率が8%であれば、関税 = 11,000 × 8% = 880円となりますが、実際の課税では「CIF価格(1,000円未満切り捨て)」を基準に計算されるため、この例はそのまま適用可能です。
注意:CIF価格が654円の場合でも、「商品代金×0.6」で算出された課税価格が16,666円未満であれば関税・消費税ともに免除されます。つまり、実際の支払いは「商品代金+送料+保険」となります。
また、CIF価格が1万円以下の場合も同様に免税対象となりますが、「商品代金」+「国際送料」の合計額が10,000円未満であることが条件です。この点を誤ると、予期しない関税負担につながるため注意が必要です。
15年以上中国輸入ビジネスを続けてきた経験上、最初に関税計算でつまずく人は非常に多いです。「思ったより利益が出ない」「仕入れ価格は安いのにトータルコストが高い」という相談を何度も受けてきました。その大半は関税・消費税の見積もり漏れが原因です。最初に仕組みを正確に理解しておくことで、後々の計算ミスを大幅に減らせます。
適用される5種類の税率とその優先順位
中国輸入における関税率は以下の5つのタイプから選ばれますが、実際には「最も低い税率」が優先して適用されます。計算上ではそれらを合算するのではなく、「優先度が高いものだけ」に注目する必要があります。
- 基本税率: 一般的な関税設定で、国ごとの貿易政策に基づく標準率
- 暫定税率: 暫定的に適用される低めの税率。主に特定産業支援や輸入促進目的で設けられる(例:電子機器など)
- WTO協定: WTO加盟国間での関税引き下げ合意に基づく制度。自動的に適用される場合あり
- 特恵税率: 特定の発展途上国向けに設定された優遇率(中国には該当しない)
- 特別特恵税率: 無償支援や貿易促進を目的とした、限定的な適用対象となる場合あり
実務上、中国からの輸入で最も頻繁に適用されるのはWTO協定税率または暫定税率のどちらかです。商品のHSコードを特定してから、実際に適用される税率を関税率表で確認する手順が重要です。なお、税率が複数適用できる場合は、輸入者にとって有利な(低い)税率が選択されます。この点は誤解が多いので注意してください。
関税の計算例と実際の運用ステップ
以下の手順で正確に関税額を求めることができます。
- CIF価格を算出する: 商品代金+送料+保険料。この合計が1,000円未満の場合は切り捨て(例:987円 → 0)
- 計算対象額に「関税率」を適用する。税種は財務省貿易統計実効税率表で確認可能。
- 結果が100円未満の場合はゼロ扱い(例:97.5円 → 0)
- 関税額は「CIF価格(切り捨て後) × 関税率」で算出される。計算機やエクセルでの自動処理が推奨。
実際のビジネス現場では、この計算を商品ごとに手動でやるのは非効率です。スプレッドシートで仕入れ価格・送料・保険料・関税率を入力すれば自動計算できる表を一度作っておくと、複数商品を同時に比較する際にも役立ちます。利益率の計算を仕入れ前に完結させる習慣をつけることが、中国輸入ビジネスで利益を安定させる最大のポイントです。
関税がかからない商品の注意点と除外条件
以下の商品群は原則として関税免除対象ですが、以下に該当する場合は例外的に課税される可能性があります:
- 時計・腕時計(高級ブランド品や希少価値のあるもの)
- 楽器類:特にアコースティックギターなどは「製造国」「素材」によって税率が変動する場合あり
- 化粧品:香水の容量に応じて課税対象となるケースも。750ml未満でも複数個で合計超過時注意
- 家具類・椅子(革張り):高価な素材を使用した場合、関税率が上昇する可能性あり
- 例外:「個人輸入」かつ課税価格16,667円以下でなければ免税にはならない。また、同一商品を複数回に分けて送付することで、「分割通関」としてのリスクも存在するため注意が必要
中国輸入における関税の重要ポイントまとめ
中国輸入において関税を正確に計算するために、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 課税の基準はCIF価格(商品代金+送料+保険料)であり、商品代金だけではない
- 関税率はHSコードで決まるため、商品分類を間違えると計算が大きくずれる
- CIF価格が1万円以下(一部商品を除く)なら関税・消費税が免除される
- 同一荷物を複数に分割して免税ラインを下げようとする行為は違法であり、税関に発覚した場合は追徴課税・ペナルティの対象となる
- 関税率が不明な場合は税関の事前教示制度(無料)を活用する
関税の基礎知識と計算方法の詳細
関税は輸入申告価格(CIF価格)に品目ごとの税率を掛けて計算され、同じ商品でも用途・材質・形状によってHSコードが変わり税率も異なるため、正確な品目分類が不可欠だ。

中国輸入ビジネスを始める上で、関税の仕組みを正確に理解することは利益計算の基本です。関税は輸入する商品の種類によって税率が異なり、同じカテゴリーでも細かい分類によって税率が変わることがあります。
関税率の決まり方
関税率は「関税定率法」に基づいて定められており、商品はHSコード(輸出入統計品目番号)によって分類されます。HSコードは6桁の国際共通コードに、日本独自の3桁を加えた9桁で構成されています。
HSコードの正確な分類は、実際の通関現場でも専門知識が求められる作業です。例えば「電子タバコ」は商品の材料・仕組みによって食品・医療機器・電子機器と異なるHSコードに分類されることがあり、それぞれ関税率が大きく異なります。仕入れ前にHSコードを自分で仮分類して税率を把握しておくだけで、コスト計算の精度が格段に上がります。
例えば、アパレル製品の場合:
- 綿製のTシャツ:7.4%〜10.9%
- 合成繊維製のTシャツ:7.4%〜10.9%
- 革製のバッグ:8%〜16%
- プラスチック製のバッグ:3.9%
同じ「バッグ」でも素材によって関税率が大きく異なるため、仕入れ前に正確なHSコードを確認することが重要です。
CIF価格の計算方法
関税の課税対象となるのは、商品代金だけではありません。CIF価格(Cost, Insurance, Freight)、つまり「商品代金+保険料+運賃」の合計額に対して関税がかかります。
計算式:
CIF価格 = 商品代金 + 国際送料 + 保険料
関税額 = CIF価格 × 関税率
例えば、商品代金10万円、国際送料2万円、保険料1,000円、関税率10%の場合:
CIF価格 = 100,000 + 20,000 + 1,000 = 121,000円
関税額 = 121,000 × 10% = 12,100円
ここで重要なのは、「送料が高い商品ほど関税総額も増える」という点です。軽くても体積の大きな商品(クッション、家具など)は国際送料が高くなり、CIF価格を引き上げるため、結果として関税負担も増加します。発送方法の選択も含めたトータルコスト計算が欠かせません。
HSコードの調べ方と実務での注意点
HSコードは税関のWebタリフシステムで調べることができます。商品名で検索すると候補が表示されますが、最終的な分類は税関職員の判断によることもあります。特に新商品やハイブリッド製品(複数機能を持つ商品)は、分類が難しいケースがあります。
確実を期すなら、税関に「事前教示」を申請することをおすすめします。この制度を利用すれば、輸入前に正式なHSコードと関税率の確認が可能です。通関業者(フォワーダー)に相談するのも有効な手段で、経験豊富な業者は類似商品の過去事例から適切な分類を提案してくれます。
消費税の計算と納付タイミング
輸入時の消費税は「(CIF価格+関税)×10%」で計算され、通関時に税関に対して関税と同時に支払うのが原則で、事業者は確定申告で仕入税額控除が受けられる。

輸入時には関税に加えて消費税(10%)も課税されます。消費税の計算基準は以下の通りです。
消費税の課税標準 = CIF価格 + 関税額
消費税額 = 課税標準 × 10%
上記の例で計算すると:
課税標準 = 121,000 + 12,100 = 133,100円
消費税額 = 133,100 × 10% = 13,310円
つまり消費税は「関税込みのCIF価格」に対してかかるため、関税率が高い商品ほど消費税も比例して増加します。この二重課税的な構造を理解せずに利益計算をすると、実際の手取り利益が大幅にずれてしまいます。
地方消費税について
消費税10%の内訳は、国税7.8%と地方消費税2.2%です。通関時に一括で納付しますが、経理処理の際には区分が必要になることがあります。
会計処理において消費税を仕入税額控除として計上する場合、輸入時の消費税は「輸入消費税」として別途管理します。国内仕入れとは異なり、インボイス(適格請求書)ではなく税関から発行される輸入許可通知書(輸入許可書)が証明書類となります。確定申告・法人税申告の際には適切に区分して計上してください。
消費税の輸入仕入税額控除
事業者として輸入を行う場合、通関時に支払った消費税は仕入税額控除の対象となります。これにより、輸入コストにかかった消費税分を売上から発生した消費税から差し引いて納税できます。
この仕組みを正確に把握しておくことで、実質的な消費税負担はゼロに近くなるケースもあります。ただし、免税事業者(年間課税売上が1,000万円以下)は仕入税額控除を適用できないため注意が必要です。インボイス制度(適格請求書等保存方式)の導入により、2023年以降は課税事業者登録の有無も重要になっています。
簡易税率と一般税率の違い
個人輸入では関税額20万円以下の少額貨物に簡易税率(一般貨物の税率より高めだが計算が簡単)が適用され、商業輸入には品目ごとのHSコードに基づく一般税率が適用される。

個人輸入で課税価格が20万円以下の場合、簡易税率が適用されることがあります。簡易税率は商品を7つのカテゴリーに分け、それぞれに固定の税率を適用する制度です。
簡易税率の区分
- 酒類:無税〜30%
- トマトソース、氷菓、なめした毛皮等:20%
- コーヒー、茶、衣類及び衣類附属品等:15%
- プラスチック製品、ガラス製品、卑金属製品等:10%
- ゴム、紙、陶磁器、鉄鋼製品、家具等:3%
- その他のもの:5%
- 無税品目:無税
商業目的の輸入の場合は簡易税率は適用されず、一般税率が適用される点に注意が必要です。
個人輸入と商業輸入の境界線
「個人輸入」か「商業輸入」かの区分は、税関が商品の数量・種類・輸入頻度などを総合的に判断します。同一商品を大量に、または繰り返し輸入している場合は、個人使用と見なされず商業輸入として扱われるリスクがあります。
たとえば、Tシャツを1枚個人用として輸入するのは問題ありませんが、同じデザインを100枚輸入すれば明らかに商業目的とみなされます。転売・販売目的で輸入する場合は最初から商業輸入として処理するのが正しい対応であり、後から商業目的と判断されて追加課税されるリスクを避けられます。
簡易税率のメリットと落とし穴
個人輸入の範囲内であれば、簡易税率は手続きの簡略化というメリットがあります。しかし一般税率より高くなる場合もあるため、必ずしも有利ではありません。例えば、一般税率で無税となる商品が簡易税率では5%になるケースもあります。判断に迷う場合は税関に確認するか、通関業者に相談するのが確実です。
関税が無税になるケース
中国輸入でも特定の商品カテゴリ(IT機器の一部・医療機器・学術研究用機材等)は関税が無税(EPA・WTO協定税率)となるケースがあり、HSコード確認で事前に把握できる。

すべての輸入品に関税がかかるわけではありません。以下のケースでは関税が免除されます。
少額輸入貨物の免税
課税価格の合計が1万円以下の場合、関税と消費税が免除されます。ただし、以下の商品は対象外です:
- 革製のバッグ、手袋
- ニット製品
- 靴
- スキー靴、スケート靴
この免税制度はあくまで「少額かつ個人使用」が前提であり、同一の送り先に何度も少額荷物を送ることで意図的に免税を受けようとする行為(「分割輸入」)は税関法違反となる可能性があります。ルールを正しく理解した上で活用してください。
特恵関税制度
発展途上国からの輸入品には、一般特恵関税(GSP)が適用され、通常の関税率より低い税率または無税で輸入できることがあります。中国は特恵受益国ですが、一部の商品カテゴリーでは除外されています。
なお、RCEPの発効(2022年1月)により、中国からの特定品目についてはさらなる関税削減が進んでいます。アパレル・雑貨・電子部品など、扱う商品カテゴリーによってはRCEP税率が適用されることで仕入れコストが改善されるケースがあるため、確認する価値があります。
再輸入貨物の免税(関税定率法第14条)
一度日本から輸出した商品を再び輸入する場合、一定の条件を満たせば関税が免除されます。輸出した際の証明書類(輸出許可書など)が必要です。展示会や修理のために一時的に海外へ送り、返送される商品などがこれに該当します。
実際の関税計算シミュレーション
例えば中国から10万円相当(CIF価格)の衣類を輸入した場合、関税率10.9%なら関税1.09万円+消費税(10.9万円×10%)1.09万円の合計約2.18万円が実質追加コストとなる。

具体的な商品を例に、実際の関税計算をシミュレーションしてみましょう。
ケース1:アパレル製品の輸入
綿製Tシャツ100枚を中国から輸入する場合:
- 商品代金:5万円(@500円×100枚)
- 国際送料:1万円
- 保険料:500円
- 関税率:10.9%
計算:
CIF価格 = 50,000 + 10,000 + 500 = 60,500円
関税額 = 60,500 × 10.9% = 6,594円
消費税課税標準 = 60,500 + 6,594 = 67,094円
消費税額 = 67,094 × 10% = 6,709円
総輸入コスト = 60,500 + 6,594 + 6,709 = 73,803円
この例では、商品代金5万円に対して税金だけで約13,000円以上かかっています。仕入れ値の約26%が税金・送料として上乗せされる計算になります。販売価格の設定時にこの数字を見落とすと、利益が出ているように見えて実際は赤字になりかねません。
ケース2:電子機器の輸入
スマートフォンケース500個を中国から輸入する場合:
- 商品代金:15万円(@300円×500個)
- 国際送料:2万円
- 保険料:1,000円
- 関税率:無税(プラスチック製電子機器付属品)
計算:
CIF価格 = 150,000 + 20,000 + 1,000 = 171,000円
関税額 = 0円(無税)
消費税額 = 171,000 × 10% = 17,100円
総輸入コスト = 171,000 + 17,100 = 188,100円
電子機器関連の付属品は無税になるケースが多く、中国輸入ビジネスでは取り扱いやすいカテゴリの一つです。ただし消費税は発生するため、そちらの計上を忘れないようにしましょう。
ケース3:雑貨・インテリア用品の輸入
陶磁器製の食器セット(50セット)を中国から輸入する場合を考えます。
- 商品代金:30万円(@6,000円×50セット)
- 国際送料:4万円
- 保険料:2,000円
- 関税率:陶磁器食器は一般的に無税〜4.8%
計算(関税率3%で算出):
CIF価格 = 300,000 + 40,000 + 2,000 = 342,000円
関税額 = 342,000 × 3% = 10,260円
消費税課税標準 = 342,000 + 10,260 = 352,260円
消費税額 = 352,260 × 10% = 35,226円
総輸入コスト = 342,000 + 10,260 + 35,226 = 387,486円
この場合、商品代金30万円に対して税金+送料で約8.7万円の追加コストが発生します。1セットあたりの実際のコストは約7,750円となるため、販売価格の設定には必ずこの数字を起点にしなければ、利益計算が崩れます。
輸入コスト計算の実践テンプレート
以下の計算フローを毎回確認することで、仕入れミスを防ぐことができます。
- 商品代金(CNY)× 為替レート → 円建て商品代金
- 国際送料(重量・体積で算出)
- 保険料(任意、通常は商品代金の0.3〜0.5%)
- CIF価格 = ①+②+③
- 関税額 = CIF価格 × HSコードで確認した関税率
- 消費税 = (CIF価格+関税額)× 10%
- 通関費用・代行手数料(業者による)
- 総仕入れコスト = ④+⑤+⑥+⑦
この8ステップを仕入れ検討段階で完成させる習慣をつけると、「思ったより儲からなかった」という失敗を事前に防げます。
関税を正確に把握するためのツールと方法
関税率の正確な確認には税関の「実行関税率表」(税関ウェブサイト公開)またはJETROの「日本の関税率」データベースを使い、HSコード6桁で検索するのが確実な方法だ。

関税率を事前に調べるための方法をご紹介します。
税関のWebタリフ
税関の公式サイト「Webタリフ」では、HSコードを入力することで関税率を確認できます。商品名からHSコードを検索することも可能です。無料で利用でき、最新の関税率が反映されているため、仕入れ前の確認に最適です。
検索の際は日本語商品名よりも英語での品名検索の方が精度が高いケースがあります。中国輸入で多い商品(スマホケース、アパレル、雑貨など)は事前にHSコードを把握しておくと検索が効率化されます。
事前教示制度の活用
商品の関税率に不安がある場合は、税関の事前教示制度を利用できます。これは、輸入前に税関に対して関税率や原産地などの照会を行い、回答を得られる制度です。回答は文書で発行され、通関時に拘束力を持ちます。
申請はオンラインで行え、原則として30日以内に回答が届きます。高額商品・新製品・分類が難しい商品を扱う際には必ず活用すべき制度です。事前教示の回答書は通関時に提出することで、税関とのトラブルを未然に防ぎます。
通関業者への相談
通関業者(フォワーダー)は輸出入手続きの専門家であり、HSコードの判定・関税率の確認・申告書類の作成まで一括対応してくれます。月に数回以上輸入する場合は、専任のフォワーダーを確保しておくと、通関作業の効率と精度が大幅に向上します。
費用は1件あたり5,000〜2万円程度が目安です。通関費用を節約しようとして自己申告でミスを犯すリスクを考えると、専門家に任せた方がトータルコストは低くなるケースが多いです。
輸入時の注意点とトラブル回避策
中国輸入でのトラブル上位3つは「申告価格の過少申告(脱税リスク)」「禁輸品の混入」「知的財産権侵害品の輸入」であり、いずれも税関で差し止め・罰則の対象となる。

中国輸入で関税に関するトラブルを避けるための注意点をまとめます。
アンダーバリュー(過少申告)は厳禁
商品価格を実際より低く申告する「アンダーバリュー」は関税法違反です。発覚した場合、追徴課税に加えて、重加算税や延滞税が課される可能性があります。最悪の場合、刑事罰の対象となることもあります。
中国のサプライヤーから「インボイスの金額を安く書いてあげる」という申し出を受けることがあります。一見便利に見えますが、これを受け入れることで日本側の輸入者が法律違反を犯すことになります。税関は輸入実績・過去の取引価格・市場価格などを参照して申告価格の妥当性を検証しているため、過少申告は発覚しやすいです。絶対に行わないようにしましょう。
インボイスの正確な記載
通関時に提出するインボイス(商業送り状)には、以下の情報を正確に記載する必要があります:
- 商品名(英語での正確な品名)
- 数量
- 単価と合計金額
- 原産国
- HSコード(可能であれば)
インボイスの記載内容と実際の荷物が一致しない場合、税関で開梱検査が行われ、通関が大幅に遅延します。特に初めて取引するサプライヤーからの輸入では、事前にインボイスのサンプルを確認しておくことをおすすめします。
知的財産権の確認
模倣品や知的財産権を侵害する商品は税関で差し止められます。ブランド品や特許・意匠権のある商品を輸入する際は、正規品であることを証明できる書類を用意しましょう。
特に注意が必要なのが「一見本物っぽい商品」です。中国のマーケットプレイスでは、著名ブランドのロゴに酷似したデザインの商品が販売されていることがあります。日本の税関はこうした商品を厳しくチェックしており、差し止めになれば商品は没収されます。サプライヤーに知財クリアランスの確認を徹底してください。
輸入禁止品・規制品の確認
関税とは別に、日本への輸入が禁止・制限されている商品があります。食品衛生法・薬機法・消費生活用製品安全法など、商品カテゴリーによって対応法令が異なります。
例えば、電子機器は電気用品安全法(PSEマーク)の対象となることがあり、PSE取得なしに販売すると法律違反となります。輸入後に販売できないという最悪の事態を避けるために、仕入れ前に必ず適用法令を確認することが重要です。
関税の支払い方法と時期
関税と消費税の支払いは通関業者(乙仲)を通じる場合は立替払い後に請求書が届く形が一般的で、支払い期限は通関後30日以内が標準的な商慣習となっている。

関税と消費税の支払い方法について解説します。
通関業者経由の場合
多くの場合、通関業者(フォワーダー)が関税を立て替え払いし、後日請求されます。国際送料と合わせて一括請求されることが一般的です。
業者ごとに支払い条件(翌月末払い・都度払いなど)が異なるため、取引開始前に確認しておきましょう。大量・高額輸入が続く場合は与信枠の設定が必要になることもあります。
個人での通関の場合
EMSやFedEx、DHLなどの国際宅配便の場合、配達時に関税を現金で支払うか、事前にオンライン決済で支払います。
近年はオンラインでの事前支払いが普及しており、通知メールに記載されたリンクから決済が可能なケースが増えています。現金での対応が難しい状況でも、柔軟に対応できるようになっています。
リアルタイム口座引き落とし
大量に輸入する事業者は、税関と契約してリアルタイム口座引き落とし(NACCS連携)を設定できます。これにより、通関ごとの現金支払いが不要になり、業務効率が向上します。
月に数十件以上の輸入を行う場合は、この仕組みを活用することで経理作業の負担が大幅に減ります。申請は最寄りの税関に問い合わせてください。
延納制度の活用
一定の条件を満たす輸入者は、関税・消費税の納付を最大3ヶ月間延納(後払い)できる制度があります。これにより、商品を先に受け取って販売した後に税金を支払えるため、キャッシュフローの改善に有効です。担保の提供が必要ですが、継続的に輸入する事業者には検討の価値がある制度です。
関税還付制度について
輸入した商品を加工・製造後に再輸出した場合、支払い済みの関税の還付(戻し税)を申請できる制度があり、輸出事業者にとって重要なキャッシュフロー改善手段となる。

一度支払った関税が還付されるケースもあります。
再輸出による還付
輸入した商品を加工せずに再輸出する場合、支払った関税の還付を受けられることがあります。ただし、事前に税関への届出が必要です。
手続きとしては、輸入許可から原則として1年以内に再輸出し、輸出許可書を添付して税関に還付申請します。輸入時に「再輸出予定」である旨を申告しておくと手続きがスムーズになります。
保税地域での加工
保税地域(保税工場、保税倉庫など)で商品を加工・保管する場合、関税の支払いを輸入許可時まで繰り延べられます。キャッシュフローの改善に有効です。
保税地域を活用するには税関への事前申請が必要ですが、輸出向けに加工を行う製造業では非常に有効な制度です。中国から原材料を輸入して加工し、完成品を国内販売する場合でも、一定の条件下で保税制度を活用できます。
輸入後のクレーム・返品時の対応
輸入した商品に不具合があって返品する場合、支払った関税・消費税の還付を申請できます。輸入許可日から6ヶ月以内に「輸入時の申告誤り」として申請する必要があります。
ただし、手続きに必要な書類(輸入許可書・サプライヤーとの返品合意書など)を揃える必要があり、手間がかかります。仕入れ段階でサプライヤーと返品・保証条件を明確にしておくことで、こうしたトラブルへの対処が容易になります。
2026年の関税制度の変更点
2026年の関税制度では少額輸入貨物への免税措置(現行:1万6000円以下)の見直しが議論されており、越境ECビジネスモデルへの影響を定期的に税関情報で確認することが重要だ。

関税制度は毎年見直しが行われます。2026年の主な変更点を確認しておきましょう。
EPA/FTA協定の拡大
日本は複数の国・地域と経済連携協定(EPA)を締結しており、協定相手国からの輸入品には特恵税率が適用されます。中国との間にはRCEP(地域的な包括的経済連携)が発効しており、一部の商品で関税削減のメリットを受けられます。
RCEPでは段階的な関税削減スケジュールが設けられており、2026年時点ではさらなる削減が進んでいる品目もあります。取り扱い商品のHSコードに対応するRCEP税率を確認し、適用申請を行うことで仕入れコストを削減できる可能性があります。
デジタル通関の推進
NACCSシステムの機能拡充により、通関手続きのデジタル化が進んでいます。ペーパーレス化により、通関時間の短縮とコスト削減が期待できます。
2026年度からは電子インボイスによる通関申告が従来よりも簡略化され、書類の郵送・持参が不要になるケースが増えています。通関業者と連携してシステムを整備しておくと、業務効率が大幅に改善します。
輸入規制の強化動向
安全基準を満たさない製品の輸入規制は年々強化されています。電池内蔵製品・化学物質含有製品・食品接触材料などは特に規制が厳しく、PSEマーク・REACHなどの認証取得が求められるケースがあります。
中国からの輸入品に対する規制動向は定期的にチェックし、仕入れる前に最新の規制情報を確認する習慣をつけることが重要です。規制強化により、今まで問題なく輸入できていた商品が突然差し止めになるケースも発生しています。
消費税
輸入消費税は仕入税額控除の対象となるため、インボイス制度対応の事業者は輸入許可証(B/L・輸入申告書)を保管し、確定申告で適切に控除申請することで実質負担を軽減できる。

輸入時の消費税の仕組みと計算
輸入品には原則として消費税10%が課税されますが、課税の基準はCIF価格だけでなく、関税額を加算した「課税標準額」となります。これは国内で商品を購入する場合の消費税とは異なる仕組みです。
具体的には、消費税 =(CIF価格+関税額)× 10% という式で計算されます。関税が多くかかる商品ほど、消費税の計算基準も高くなるため、「関税がかかるカテゴリ」を扱う際は特に注意が必要です。
また、課税標準額の端数処理として、1,000円未満の端数は切り捨てられます。消費税額も100円未満は切り捨てとなります。少額の差ですが、大量ロットでは積み上がるため計算時に覚えておきましょう。
消費税の還付(仕入税額控除)の実務
課税事業者(消費税の申告義務がある事業者)が輸入時に支払った消費税は、確定申告・法人税申告において仕入税額控除として差し引くことができます。
この手続きには、「輸入許可書」もしくは「輸入許可通知書」が必要書類となります。通関時に必ず受け取り、会計処理のために保管しておいてください。紛失した場合は税関に再発行を依頼することも可能ですが、手間がかかります。
年間の輸入量が多い事業者は、支払った消費税が多くなるため還付額も大きくなります。適切な会計処理を行うことで、実質的な税負担を最小化できます。
軽減税率と輸入品
国内での販売時には軽減税率(8%)が適用される食料品ですが、輸入時の消費税は一律10%で計算されます。輸入時と販売時で税率が異なるため、食品・飲料を扱う場合は経理処理の区分に注意が必要です。
税関手数料
税関手数料は通関業者に支払う通関料(1申告あたり5000〜2万円程度)と保税倉庫利用料から構成され、小口多頻度輸入より大口まとめ輸入の方が手数料の対売上比率を下げられる。

税関手数料の種類と金額
税関手数料は、税関が行う検査・審査・許可等のサービスに対して課される手数料です。輸入者が直接支払うケースと、通関業者が代行して請求するケースがあります。
主な手数料の種類は以下の通りです:
- 輸入許可手数料:輸入申告1件につき発生。貨物の種類・金額に応じて変動する。
- 開梱検査手数料:税関が貨物を実際に開けて検査した場合に発生。通常1回1,500〜3,000円程度。
- 保管料:通関が完了するまでの間、税関の保税地域に荷物が保管された場合の倉庫使用料。
- コンテナ検査手数料:大型貨物でコンテナごと検査される場合、X線スキャン等の費用が発生することがある。
一般的な少量輸入では税関手数料はほぼ発生しませんが、大量輸入・定期的な輸入では積み上がりコストになります。通関業者の見積りに手数料が含まれているかを事前に確認しておきましょう。
NACCSを使った電子通関と手数料削減
通関手続きをNACCS(通関情報処理システム)経由で電子申告することで、書類郵送コストや人件費を削減できます。また、電子申告による通関は審査が迅速で、荷物の引き取りまでの時間が短縮されます。
NACCSの利用には事前登録が必要ですが、通関業者に依頼している場合は業者側が対応するため、輸入者本人が手続きする必要はありません。ただし、自社で通関を行う場合は登録を検討してください。
通関時の追加費用一覧
税関手数料以外にも、通関時には以下の追加費用が発生する可能性があります:
- 保税倉庫使用料:通関が遅れた場合の倉庫保管費用(日額課金)
- デバン費用:コンテナから荷物を取り出す際の作業費
- ドレージ費用:港から通関場所まで貨物を運ぶ費用
- 書類作成手数料:通関業者がインボイス・パッキングリストを確認・作成する費用
- 検疫手数料:食品・植物・動物などに対して検疫が行われた場合の費用
これらの費用はケースバイケースで発生するため、事前に通関業者から詳細な見積りを取得し、どのような条件で追加費用が発生するか明確にしておくことが重要です。
保税倉庫の活用で通関コストを最適化する
通関コストを削減するための有効な手段として、保税倉庫(保税蔵置場)の活用があります。保税倉庫は関税・消費税の納付を一時的に保留した状態で商品を保管できる施設であり、通関前に在庫を一定期間管理できます。
保税倉庫を利用するメリットは以下の通りです:
- 資金繰りの改善:商品が売れてから通関・納税できるため、キャッシュフローが改善される
- 一括通関によるコスト削減:複数の入荷ロットをまとめて通関することで、通関手数料の総額を抑えられる
- 品質確認後の通関:検品を実施した後に通関手続きを行えるため、不良品に対して関税を支払うリスクを避けられる
保税倉庫の利用は保税蔵置場の許可を受けた業者と契約する必要がありますが、大量・継続的に輸入するビジネスでは積極的に活用を検討する価値があります。











