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経営判断を間違えて3000万円の損失を出した過去

いきなりですが、私は過去に経営判断を大きく間違えて、3000万円の損失を出したことがあります。
2017年頃のことです。当時、物販事業がそこそこ軌道に乗っていて、「このまま一気に拡大すれば、もっと稼げる」と思っていました。感覚的には「いける」と確信していたんです。
具体的には、ある商品カテゴリーで月商が伸びていたので、一気に在庫を積み増す判断をしました。仕入れ先との関係もあったので、「ここで大量発注すれば単価も下がるし、売上も倍になるだろう」と。
結果は散々でした。
市場のトレンドが想定より早く変わり、大量に仕入れた在庫が動かなくなりました。値下げしても売れない。倉庫代はかさむ。キャッシュフローがどんどん悪化していく。最終的に在庫処分と機会損失を合わせて、約3000万円の損失です。
この失敗の原因を振り返ると、判断の根拠が「感覚」と「勢い」だけだったということに尽きます。
市場データを見ていなかった。競合の動きを分析していなかった。需要予測をシミュレーションしていなかった。「なんとなくいける」という感覚だけで、数千万円の仕入れ判断をしてしまったんです。
この大失敗の後、私は経営判断のやり方を根本的に変えました。
あらゆる判断をデータに基づいて行う。感覚を完全に排除するわけではないけれど、少なくとも「データで検証した上で、最後に直感を加味する」という順序に切り替えたんです。
この切り替えがあったからこそ、その後2社の法人を売却するところまで事業を成長させることができました。1社目は物販事業、2社目はコンサル事業です。どちらも売却時の評価で「データに基づく経営管理体制が整っている」という点が高く評価されました。
具体的に何を変えたかというと、まず仕入れ判断の前に必ず市場データを確認するようにしました。Amazonのランキング推移、Google Trendsでの検索ボリューム、競合セラーの数と価格帯。これらのデータを見てから仕入れるかどうかを決める。当たり前のことですが、当時の私はこれすらやっていなかったんです。
次に、重要な判断をする前には必ず「最悪のシナリオ」を書き出すようにしました。「この判断が完全に外れた場合、いくら損するのか」「その損失に耐えられるのか」を数字で確認してから動く。これだけで判断の精度が劇的に上がりました。
そして今、私がデータに基づく意思決定の「最強のパートナー」だと感じているのがAIです。
2023年頃からChatGPTやClaudeを経営判断の場面で本格的に使い始めて、今では重要な経営判断をする前に、必ずAIに「壁打ち」をしています。
この記事では、私自身の経験と、コンサル先の事例を交えながら、経営判断にAIをどう活用しているかを具体的にお話しします。プロンプト例もそのまま載せるので、すぐに使えるはずです。
経営判断にAIを使うとは具体的に何をするのか

経営判断でAIを活用するとは、AIに答えを出させるのではなく「壁打ち相手」として使うことです。具体的には、選択肢のメリデメ整理・リスクシナリオの洗い出し・見落としの指摘という3点に絞ると、コンサル先でも再現性高く効果が出ています。
「経営判断にAIを使う」と聞くと、AIが自動的に「この事業をやめるべきです」とか「この商品を仕入れるべきです」と教えてくれるイメージを持つかもしれません。
でも、実際の使い方はまったく違います。
AIに「答え」を出させるのではなく、「壁打ち相手」として使う。これが私のスタンスです。
経営判断って、最終的には経営者本人が決めるしかないんです。どれだけデータを集めても、どれだけ分析しても、最後の「やる・やらない」は人間が決める。そこはAIに任せるべきではありません。
じゃあAIに何をさせるのかというと、大きく3つあります。
1つ目は、選択肢のメリット・デメリットの整理です。
経営判断の場面では、複数の選択肢があることがほとんどです。「新商品Aを仕入れるか、Bにするか」「事業を続けるか、撤退するか」「人を雇うか、外注にするか」。こういった選択肢それぞれのメリットとデメリットを、AIに網羅的に洗い出させます。
自分の頭だけで考えると、どうしても偏りが出ます。特に「やりたい」と思っている選択肢のメリットばかり目に入って、デメリットを過小評価してしまう。AIは感情がないので、フラットにメリデメを出してくれます。
2つ目は、リスクシナリオの洗い出しです。
「最悪の場合、何が起きるか」を考えるのは、経営者にとって最も重要な作業の一つです。でも、これが意外と難しい。自分では思いつかないリスクがあるからです。
AIに「この判断をした場合に考えられるリスクシナリオを、最悪のケースから順に10個挙げてください」と聞くと、自分では絶対に思いつかなかったリスクが2〜3個は出てきます。これが本当に価値があるんです。
3つ目は、見落としの指摘です。
経営者は忙しいので、判断に必要な情報をすべて集めきれていないことがよくあります。AIに状況を説明して「この判断をする前に、他に確認すべきことはありますか」と聞くと、見落としていた視点を教えてくれます。
たとえば、新規事業の判断をしているときに「法的な規制リスクは確認しましたか」と指摘されたことがあります。完全に抜け落ちていた視点でした。もし確認せずに進めていたら、後から法的な問題に直面して大きなトラブルになっていた可能性があります。AIが一言指摘してくれたおかげで、事前に調査して対策を講じることができました。
このように、AIは「判断を代行する存在」ではなく、「判断の質を上げるためのツール」です。優秀な参謀やコンサルタントに壁打ちしてもらう感覚に近いですね。
しかも、24時間いつでも使えて、何度聞いても嫌な顔をしない。遠慮もいらない。これは経営者にとって本当にありがたいことです。
よくある誤解として「AIに経営判断を任せるなんて怖い」という意見があります。でも、繰り返しますが、AIに判断を「任せる」のではありません。判断するのはあくまで自分です。AIは判断の精度を上げるための材料を提供してくれるだけです。
イメージとしては、信頼できる幹部に「この件、どう思う?」と意見を求めるのと同じです。幹部の意見を聞いたからといって、すべてその通りにするわけではないですよね。でも、意見を聞くことで自分の考えが整理されたり、見落としていた視点に気づいたりする。AIの壁打ちも、まさにそういう使い方です。
では、ここからは具体的なシーンごとに、私がどうAIを使っているかを見ていきます。
仕入れ判断をAIでシミュレーションする

仕入れ判断でAIを使う最大の効果は、楽観・標準・悲観の3シナリオを事前に数値化できることです。コンサル先のAさん(年商8000万円)も、AIシミュレーションで500万円の損失を未然に防ぎました。「市場データをAIに渡して分析させる」というだけのシンプルな手順で再現性があります。
物販事業において、仕入れ判断は経営判断の中でも最も頻度が高く、影響が大きいものの一つです。
私自身、冒頭でお話ししたように仕入れ判断で3000万円の損失を出した経験があるので、ここは特に慎重になるポイントです。
今では新商品を仕入れるかどうかの判断をする際、必ずAIにシミュレーションをさせています。具体的にはこんな流れです。
ステップ1:市場データを整理してAIに渡す
まず、仕入れ候補の商品について、自分で集められるデータを整理します。Amazonの売れ筋ランキング、価格帯、レビュー数、競合セラーの数、Google Trendsでの検索ボリュームの推移などです。
これをテキストにまとめて、AIに渡します。データが多ければ多いほど分析の精度は上がりますが、完璧を目指す必要はありません。手元にあるデータだけでも十分です。
ステップ2:AIに分析とシミュレーションを依頼する
以下のようなプロンプトを使っています。
あなたは物販ビジネスの経営アドバイザーです。
以下の商品の仕入れ判断について、分析とシミュレーションをお願いします。
【商品情報】
・商品名:(商品名を入力)
・仕入れ単価:(金額を入力)
・想定販売価格:(金額を入力)
・仕入れロット:(数量を入力)
・仕入れ総額:(金額を入力)
【市場データ】
・Amazon売れ筋ランキング:(順位を入力)
・同カテゴリーの競合商品数:(数を入力)
・競合の平均価格:(金額を入力)
・競合の平均レビュー数:(数を入力)
・Google Trendsの検索ボリューム推移:(上昇/横ばい/下降を入力)
以下の観点で分析してください:
1. この商品の市場性評価(5段階)と根拠
2. 利益シミュレーション(楽観・標準・悲観の3パターン)
3. 想定されるリスクトップ5
4. 仕入れる場合の推奨ロット数とその理由
5. 仕入れを見送るべきと判断する基準
6. 総合的な仕入れ推奨度(5段階)と最終コメント
このプロンプトのポイントは、楽観・標準・悲観の3パターンでシミュレーションさせるところです。
多くの経営者は楽観シナリオしか考えません。「月100個は売れるだろう」と思って仕入れるけど、実際は月30個しか売れない、ということがよく起きます。悲観シナリオを事前に把握しておくだけで、「最悪これくらいの損失で済む」というリスク許容度が明確になります。
ステップ3:AIの分析結果をもとに最終判断する
AIの分析が返ってきたら、それを100%鵜呑みにするのではなく、自分の経験や直感と照らし合わせて最終判断します。
たとえば、AIが「市場性は高いが競合が多い」と分析した場合、自分の差別化ポイント(独自の仕入れルート、ブランディング力など)がAIには見えていない要素として加味できるかどうかを考えます。
ここで一つ、コンサル先での事例をお話しします。
物販事業を営むAさん(年商8000万円)が、新しい商品カテゴリーに参入しようとしていました。仕入れ総額は約500万円。Aさん自身は「絶対にいける」と確信していました。
私のアドバイスで、上記のプロンプトを使ってAIに分析させたところ、AIは「仕入れ推奨度2/5」という結果を出しました。理由は、Google Trendsでの検索ボリュームが直近3ヶ月で下降トレンドにあること、競合の参入が急増していること、利益率が悲観シナリオでは赤字になることでした。
Aさんは最初「AIなんかに何がわかるんだ」と思ったそうですが、冷静にデータを見直して、最終的に仕入れを見送りました。
3ヶ月後、そのカテゴリーは価格競争が激化して、先に参入していた競合セラーたちが軒並み赤字になっていたそうです。AIが止めた仕入れが正解だったわけです。
Aさんは今では「重要な仕入れ判断の前には必ずAIに壁打ちする」と言っています。500万円の損失を防げたと考えれば、AIの活用コストなんて無いに等しいですよね。
ちなみに、このプロンプトは仕入れだけでなく、新規事業の立ち上げ判断にも応用できます。商品情報の部分を事業計画に置き換えて、市場データを業界データに変えるだけです。骨格は同じで、「複数のシナリオで事前にシミュレーションする」という考え方が重要なんです。
私自身、2社目の法人を立ち上げるかどうかの判断でも同じアプローチを使いました。当時はまだChatGPTはなかったのでExcelでシミュレーションしましたが、やっていることは本質的に同じです。楽観・標準・悲観の3パターンで計算し、悲観シナリオでも耐えられるかどうかを確認してから立ち上げを決めました。今ならAIに一瞬でやってもらえるので、本当に楽になりました。
事業の撤退判断にAIを使う

撤退判断にAIが特に有効な理由は、サンクコストバイアスや希望的観測といった心理的バイアスをデータと論理で排除できるからです。コンサル先のBさん(年商1億2000万円)はAIの分析を機に2年間続いた赤字事業から撤退し、半年後に月間利益が120万円改善しました。
経営判断の中で、最も難しいのが「撤退判断」だと私は思っています。
新しいことを始める判断は、ワクワクするし、エネルギーが湧くのでそこまで苦しくありません。でも、今やっていることを「やめる」と決めるのは、本当に苦しい。
なぜ撤退判断が難しいのか。理由は主に3つあります。
1つ目は、サンクコストバイアスです。「これだけ時間とお金を投資してきたのに、今やめたらもったいない」という心理です。でも、過去に投資したコストは戻ってきません。将来の判断には関係ないはずなのに、感情的にはものすごく影響します。私自身も、最初の法人で赤字事業を「もったいないから」と続けてしまい、撤退が半年遅れた経験があります。その半年で失った金額は、すぐに撤退していれば別の事業に投資できたはずのお金でした。
2つ目は、「もう少し頑張れば好転するかもしれない」という希望的観測です。赤字が続いていても、「来月は売上が上がるかもしれない」「新しい施策が当たるかもしれない」と思ってしまう。でも、その「もう少し」が半年、1年と続いて、傷口がどんどん広がるケースを私は何度も見てきました。
3つ目は、撤退に対するネガティブなイメージです。「撤退=失敗」「撤退=負け」と感じてしまう。特に周囲に「この事業をやる」と宣言していた場合、プライドが邪魔をします。SNSで意気揚々と発信してしまった後だと、なおさらやめづらい。でも、撤退しないことで損失が拡大するほうが、よほど経営者として問題です。
こうした心理的なバイアスがあるからこそ、撤退判断にはAIのような感情のない分析ツールが非常に有効です。
私がコンサル先で撤退判断のサポートをする際に使っているプロンプトを紹介します。
あなたは経営コンサルタントです。
以下の事業について、客観的な撤退判断の分析をお願いします。
感情を排除し、データと論理のみで分析してください。
【事業概要】
・事業内容:(内容を入力)
・開始時期:(時期を入力)
・累計投資額:(金額を入力)
・直近6ヶ月の月次売上推移:(数値を入力)
・直近6ヶ月の月次利益推移:(数値を入力)
・現在の固定費(月額):(金額を入力)
・この事業に費やしている時間(週あたり):(時間を入力)
以下の分析をしてください:
1. 収益トレンド分析(改善傾向か悪化傾向か)
2. 損益分岐点までに必要な売上増加率と、その実現可能性
3. 撤退した場合に回収できるリソース(時間・資金)の活用価値
4. 継続した場合の6ヶ月後・12ヶ月後のシナリオ(楽観・標準・悲観)
5. 撤退すべきと判断する客観的基準を3つ提示
6. 総合判定:「継続」「条件付き継続」「撤退準備」「即時撤退」のいずれか
7. 判定理由の詳細説明
このプロンプトで重要なのは、「感情を排除し、データと論理のみで分析してください」という指示を入れていることです。AIに対して明確に「客観的に分析して」と伝えることで、より厳格な分析結果が得られます。
また、「撤退した場合に回収できるリソースの活用価値」を分析項目に入れているのもポイントです。撤退判断で見落とされがちなのが、「今この事業に使っているリソースを他に回したら、どれだけの価値を生むか」という視点です。
赤字が月50万円の事業を続けるということは、月50万円の損失だけでなく、その事業に費やしている時間と労力を他の事業に投入したら得られたはずの利益も失っているということです。これを「機会コスト」と言いますが、経営者はこれを見落としがちです。
コンサル先での事例をお話しします。
EC事業とコンテンツ事業を両方やっているBさん(年商1億2000万円)がいました。コンテンツ事業は2年前に始めたものの、ずっと月20〜30万円の赤字が続いていました。
Bさんは「コンテンツ事業はこれから伸びる市場だから、もう少し頑張りたい」と言っていました。典型的なサンクコストバイアスと希望的観測の組み合わせです。
上記のプロンプトでAIに分析させたところ、AIの総合判定は「撤退準備」でした。理由は、売上の伸び率が鈍化傾向にあること、損益分岐点に到達するには売上を現在の3倍にする必要があること、そしてコンテンツ事業に週20時間使っているリソースをEC事業に回せば、月100万円以上の利益増加が見込めるというシミュレーション結果でした。
Bさんはこの分析を見て、ようやく感情と切り離して考えることができたそうです。「AIに言われると、なぜか素直に受け入れられる」と笑っていました。人間のコンサルタントに「やめたほうがいい」と言われると反発したくなるけど、AIのデータ分析だと冷静に受け止められる、と。
結果的にBさんはコンテンツ事業を3ヶ月かけて撤退し、EC事業に集中しました。半年後、EC事業の月間利益は以前より120万円増えたそうです。撤退判断は正解だったわけです。
ここで大事なのは、AIが「撤退しろ」と命令したわけではないということです。AIは客観的なデータ分析を提示しただけです。それを見てBさん自身が「撤退する」と決めた。意思決定の主体はあくまでBさんです。
でも、もしAIの分析がなかったら、Bさんは今もコンテンツ事業を続けていたかもしれません。赤字を垂れ流しながら「もう少し頑張ればきっと好転する」と思い続けていたかもしれない。AIの分析が、感情のフィルターを外して現実を直視するきっかけになったんです。
撤退判断は「負け」ではありません。限りあるリソースを最も価値の高い場所に集中させるための、前向きな経営判断です。そのことを、AIの客観的な分析は教えてくれます。
採用・外注の判断をAIで整理する
採用・外注の判断でAIを使う最大の利点は、コスト・リスク・スケーラビリティ・コア業務適合度を4軸で短期と中期の両方から分析できることです。コンサル先のCさん(年商6000万円)は外注→採用という段階的プランをAIが提案したことで、ミスマッチリスクをほぼゼロにして採用を成功させました。
「人を雇うべきか、外注にすべきか」という判断も、経営者が頻繁に直面する意思決定の一つです。
特に年商数千万円から1億円くらいのフェーズにいる経営者にとって、この判断は非常に重要です。採用を間違えると、コストが膨らむだけでなく、組織の雰囲気まで壊れてしまうリスクがあるからです。
私自身も過去に「採用すべきだったのに外注にしてしまった」ケースと、「外注で十分だったのに採用してしまった」ケースの両方を経験しています。どちらも数百万円単位の損失につながりました。
この判断をAIで整理する際、単純なコスト比較だけでは不十分です。考慮すべき要素は多岐にわたります。
コスト面では、採用なら給与・社会保険料・福利厚生・教育コスト・採用コストなどがかかります。外注なら業務委託費のみですが、単価は一般的に高くなります。ただし、固定費か変動費かという違いは非常に大きいです。売上が下がったとき、外注費は止められますが、給与は簡単には止められません。
リスク面では、採用には「ミスマッチリスク」「退職リスク」「労務トラブルリスク」があります。一方、外注には「品質のバラつき」「情報漏洩リスク」「依存リスク(特定の外注先がいなくなると回らなくなる)」があります。
スケーラビリティ面では、採用は長期的に見ると組織力が蓄積されます。ノウハウが社内に残り、教育によって人材が成長します。外注はスケールしやすいですが、ノウハウは外部に依存したままです。
コア業務かどうかという視点も重要です。事業の競争優位性に直結するコア業務は、できるだけ社内で持つべきです。一方、経理、デザイン、システム保守などの非コア業務は外注のほうが効率的なケースが多いです。
これらの要素を総合的に分析するために、私は以下のプロンプトを使っています。
あなたは中小企業の経営アドバイザーです。
以下の業務について「採用」と「外注」のどちらが適切か、
多角的に分析してください。
【対象業務】
・業務内容:(内容を入力)
・必要な稼働時間:週(時間数を入力)時間
・求めるスキルレベル:(入力)
・現状の対応方法:(入力)
・この業務の事業における重要度:(高/中/低)
【会社の状況】
・年商:(金額を入力)
・従業員数:(人数を入力)
・利益率:(パーセントを入力)
・今後1年の事業見通し:(成長/横ばい/縮小)
以下の観点で比較分析してください:
1. 年間コスト比較(採用 vs 外注、詳細内訳付き)
2. リスク比較(それぞれ上位3つ)
3. スケーラビリティ(事業拡大時の対応力)
4. コア業務との関連性評価
5. 短期(6ヶ月)と中期(2年)での推奨判断
6. 推奨する選択肢とその理由
7. 選択した場合の具体的なアクションプラン
このプロンプトのポイントは、短期と中期で分けて判断を出させていることです。
採用・外注の判断は、時間軸によって最適解が変わることが多いです。「今すぐは外注のほうがいいけど、2年後を見据えたら採用したほうがいい」というケースはよくあります。逆に「今は採用したいけど、事業の見通しが不透明だから、まずは外注で始めて様子を見る」という判断もあり得ます。
AIに両方の時間軸で分析させることで、より精度の高い意思決定ができます。
実際にこのプロンプトを使ったコンサル先の事例です。
アパレルEC事業を営むCさん(年商6000万円、従業員2名)が、商品撮影の担当者を採用するか外注にするか悩んでいました。
AIの分析結果は「短期は外注、中期は採用」でした。理由は、現時点の月間撮影量では採用のコストパフォーマンスが合わないが、事業計画通りに商品数が増えれば1年半後には採用のほうがコスト効率がよくなる、というものです。
加えてAIは、「まず外注で3〜4社試してクオリティと相性を確認し、並行して採用の準備を進める」という段階的なアクションプランを提案しました。これは非常に実践的で、Cさんもすぐに実行に移していました。
結果的にCさんは外注先2社と契約し、半年後に事業が拡大したタイミングで外注先で最も相性の良かったカメラマンを社員として採用しました。外注期間中にスキルや人柄を確認できたので、採用のミスマッチリスクもほぼゼロでした。
このように、AIの分析は「どちらが正解か」という二択ではなく、「どういうステップで進めるべきか」という道筋を示してくれることが多いです。これが壁打ち相手としてのAIの真骨頂ですね。
採用・外注の判断は、一度決めたら終わりではありません。事業の状況は常に変わるので、定期的に見直す必要があります。私は四半期に一度、現在の外注先・社員の体制が最適かどうかをAIに分析させています。環境が変われば最適解も変わる。その変化にすばやく対応するためにも、AIは非常に便利です。
また、採用・外注の判断に限らず、「AかBか」の二択で悩んでいるときこそ、AIの壁打ちは威力を発揮します。人間は二択になると、どうしても感情的に一方に寄ってしまいます。「こっちのほうがワクワクする」「こっちは面倒くさそう」という感情が入る。AIにフラットに分析させることで、感情のバイアスを排除した判断材料が手に入ります。
AIに頼りすぎてはいけない場面
AIが苦手なのは「前例のない判断」「人間関係が絡む判断」「経験に裏打ちされた直感が重要な判断」の3場面です。コンサル先のDさん(年商2億円)はAIが「参入不推奨」と分析した市場に直感で参入し、1年後に月商500万円の柱を作りました。AIの分析は「80点の判断材料」と割り切り、残り20点は経験と直感で補うのが正しい使い方です。
私はAIを経営判断に積極的に使っている側の人間ですが、だからこそAIの限界も身をもって感じています。
AIに頼りすぎてはいけない場面も確実にあります。
AIが苦手なのは、大きく分けて3つの場面です。
1つ目は、前例のない判断です。
AIは基本的に、過去のデータやパターンに基づいて分析します。つまり、過去に類似のケースがある判断には強いですが、前例のない判断には弱いんです。
たとえば、まったく新しい市場に参入するかどうかの判断。既存市場のデータはあっても、新しい市場がどうなるかは誰にもわかりません。AIに聞いても「データが不足しているため、確度の高い分析はできません」という趣旨の回答が返ってくることが多いです。
2つ目は、人間関係が絡む判断です。
ビジネスパートナーとの関係、従業員のモチベーション、取引先との信頼関係。こうした「人間関係の機微」が判断に大きく影響する場面では、AIの分析はあまり役に立ちません。
AIはデータと論理で分析しますが、「あの人がこう言ったときの表情」「チームの空気感」「長年の信頼関係の価値」といった定性的な情報は扱えません。
3つ目は、直感が重要な判断です。
これは矛盾しているように聞こえるかもしれません。冒頭で「感覚だけで判断して失敗した」と言ったのに、直感が重要だと言っているわけですから。
でも、直感には2種類あります。「根拠のない直感」と「経験に裏打ちされた直感」です。
私が2017年に3000万円の損失を出したのは「根拠のない直感」でした。経験が浅い状態での「なんとなくいける」は危険です。
一方、何年もその業界で経験を積んだ経営者の直感は、データでは拾いきれない微妙なシグナルをキャッチしていることがあります。市場の空気感、顧客の微妙な反応の変化、業界内の噂話。こうした定性的な情報を総合的に処理した結果としての直感は、AIの分析を上回ることがあります。
実際に、コンサル先でこんな事例がありました。
食品EC事業を営むDさん(年商2億円)が、新しいジャンルの商品ラインを立ち上げようとしていました。AIに分析させたところ、「市場の成長率が鈍化しており、競合も多いため、参入は推奨しない」という結果でした。
データ上は確かにその通りでした。市場全体の成長率は鈍化していました。
でもDさんは、10年以上食品業界にいた経験から、「この市場は今は踊り場だけど、健康志向のトレンドが本格化すれば必ず伸びる」と感じていました。さらに、展示会で出会った生産者との関係から、競合には真似できない商品が作れるという確信もありました。
Dさんは最終的に、AIの分析結果を参考にしつつも、自分の直感を信じて参入を決めました。
結果は大成功でした。参入から1年後、健康志向のトレンドが予想以上に加速し、Dさんの商品ラインは月商500万円を超える柱に成長しました。競合は後から参入してきましたが、Dさんには先行者利益と独自の仕入れルートがあったので、圧倒的な優位性を保てました。
この事例が教えてくれるのは、AIの分析はあくまで「判断材料の一つ」であって、「最終判断そのもの」ではないということです。
AIが「やめたほうがいい」と言っても、経営者としての経験と直感が「やるべきだ」と言っているなら、その直感を信じる価値はあります。ただしその場合は、AIが指摘したリスクを十分に理解した上で、リスクヘッジの策を講じてから進むべきです。
私がコンサル先によく言うのは、こういうことです。
「AIの分析で80点の判断ができる。残りの20点は、あなたの経験と直感でしか埋められない。でも、その80点を持たずに直感だけで判断するのは無謀だし、80点の分析があるのに直感を完全に無視するのももったいない。両方を組み合わせることが大事です。」
AIをうまく使いこなしている経営者に共通しているのは、AIを「神託」として崇めるのでもなく、「使えないツール」として無視するのでもなく、「優秀だけど限界もある参謀」として適切な距離感で付き合っていることです。
この距離感をつかむためには、実際に使ってみるしかありません。AIに聞いてみて、その分析が的確だったケースと、的外れだったケースを自分で経験して、どういう場面でAIが使えるのかを体感していく。それが最も確実な方法です。
私自身の感覚では、AIの分析が特に役立つのは「守りの判断」です。「やらないほうがいいこと」を見極める判断ですね。リスクの洗い出し、撤退判断、コスト分析。こういった守りの局面では、AIの客観性と網羅性が大いに活きます。
逆に「攻めの判断」、たとえば新市場への参入や革新的な商品開発のような判断では、AIの分析は参考程度にとどめたほうがいいケースが多いです。攻めの判断には、データでは測れない「嗅覚」や「胆力」が必要だからです。
だからこそ、経営者はAIを使いこなすと同時に、自分自身の経験値も積み上げ続ける必要があります。AIが進化しても、経営者としての経験や直感の価値がなくなることはありません。むしろ、AIが守りの部分をカバーしてくれるからこそ、経営者は攻めの判断に集中できる。そういう補完関係が理想です。











