輸出ビジネスの関税の取り扱いについて

この記事では輸出ビジネスの関税の取り扱いについてまとめています。

最初に関税について解説します。

1. 関税の基本知識

a. 関税の種類

  • 輸出関税: 一部の国では、特定の製品(特に天然資源や特定の農産物)に対して輸出関税が課されることがあります。これは、資源の国内消費を促進するためや、国際市場での価格を調整する目的で行われます。
  • 輸入関税: 輸出先の国で課されるもので、通常は商品の価値に基づいて計算されます。関税率は、商品のHSコードによって異なります。

b. HSコード

  • 国際品目分類: HSコード(Harmonized System Code)は、国際的に商品を分類するための標準コードです。このコードは、税関が輸出入品の関税率を決定する際に使用されます。正確なHSコードを選定することが、適切な関税率を適用するために不可欠です。

2. 輸出に関する手続き

a. 輸出許可

  • 特別許可: 輸出を行う商品が特別な規制対象となる場合(例:武器、化学物質、特許品など)、事前に許可を取得する必要があります。これには、外為法や各国の法律を遵守することが求められます。

b. 通関手続き

  • 書類準備: 輸出手続きには、以下の書類が必要です。
    • 輸出申告書: 税関に提出する書類で、商品の詳細や輸出者情報が含まれます。
    • インボイス: 商品の価格、数量、取引条件を明記した請求書です。
    • パッキングリスト: 商品の内容や梱包の詳細を記載したリストです。

またアメリカへの輸出を例としてあげると商品によっては

  • MSDS
  • TSCA
  • Cable Check Sheet
  • Clock Work Sheet
  • Watch Work sheet
  • Drop Ball Test Cert
  • Fabric Detail Sheet
  • FCC
  • LACY ACT FORM
  • PPQ
  • YDW
  • Bearing Check Sheet
  • Diamond Sawblades Worksheet
  • Aluminum Extrusions Worksheet
  • Radec

などの書類が必要になります。

アメリカの場合はアメリカの税関(CBP)の公式サイトを参照することをお勧めします。他の国の場合も各国の税関の公式サイトを参考にしましょう。

c. 輸出申告

  • 税関申告: 輸出する際は、税関に対して申告を行います。この申告が承認されると、商品の通関が完了します。

クーリエで送る場合は通関士がいるので深く考えないでも大丈夫ですがEMSで送るような場合は自分で通関手続きが必要になります。

3. 関税率と計算方法

a. 関税の計算

  • 関税率: 輸入関税は、商品価値(CIF価格:Cost, Insurance, and Freight)に基づいて計算されます。関税は通常、次のように計算されます。
  • CIF価格=商品価格+運賃+保険料
  • 関税=CIF価格×関税率 

※正確には航空便の場合はCIP価格が使われますが計算の仕方は同じでクーリエ業界の人でもまとめてCIF価格と呼んでいることが多いのでCIF価格とします。

b. その他の費用

  • 追加費用: 関税以外にも、輸送費、保険料、手数料などがかかる場合があります。これらの費用を考慮して、最終的な価格設定を行うことが重要です。

4. 国際貿易協定の活用

a. 自由貿易協定(FTA)

  • 関税の削減: 日本と特定の国との間で結ばれている自由貿易協定により、特定の商品に対する関税が削減または免除されることがあります。これを利用することで、競争力を高めることが可能です。

b. 確認手続き

  • 原産地証明書: FTAを利用する際には、商品の原産地を証明する書類が必要です。この書類は、関税の適用を受けるために重要です。

5. 関税法規制の遵守

a. 法律と規制

  • 輸出管理法: 日本国内における輸出管理に関する法律(外為法など)を遵守することが求められます。違反すると、罰則や製品の押収が行われる可能性があります。

b. 監査と記録

  • 記録保持: 輸出業者は、取引の記録を保持し、税関の監査に備える必要があります。これには、取引書類や輸出申告書の保存が含まれます。

6. 実際のケーススタディ

a. 具体例

例えば、ある中小企業が日本からアメリカに電子機器を輸出する場合を考えます。

  1. 市場調査: アメリカ市場における電子機器の需要や関税率を調査。
  2. HSコードの確認: 輸出する商品のHSコードを確認し、適切な関税率を把握。
  3. 輸出申告書の準備: 輸出申告書、インボイス、パッキングリスト、Cable Check Sheet(必要であれば)を作成。
  4. 通関手続き: 日本の税関に書類を提出し、承認を得る。
  5. 輸入手続き: アメリカの税関にて、必要な書類を提出し、輸入関税を支払う。

このように、輸出ビジネスにおいて関税の取り扱いは複雑ですが、正しい情報をもとに手続きを行うことで、スムーズにビジネスを展開することができます。

7. 専門家への相談

関税や輸出入に関する法規制は、常に変化しているため、専門のコンサルタントや通関士、物流会社などと連携することをお勧めします。彼らは最新の情報を提供し、適切なアドバイスを行ってくれるでしょう。

これらの情報を基に、輸出ビジネスにおける関税の取り扱いについての理解を深め、効果的な戦略を立ててください。

ケース別関税の負担者について

AmazonFBAのようにまとめて商品を現地の倉庫宛に発送するする方法とエンドユーザーに直接商品を送る方法とでは考え方が変わるのでそれぞれについて解説します。

現地の倉庫にまとめて商品を送る場合

AmazonFBA納品やBtoBで現地の企業に送る場合はこの方法になります。

前者は輸出者側で関税を支払いインコタームズでいうDDP条件で送ります。直接納品をせずに現地の納入業者に送る場合一時的に関税を立て替えてもらうケースも出てくると思いますが結局は輸出者が関税を払っていることになります。

後者は事前にインコタームズを元にどのような取り決めをしたかによって変わります。一般的には輸入者側が関税を負担するCIF価格を用いることが多いです。

エンドユーザーに直接商品を発送する場合

この場合はAmazonかそれ以外か(eBayなど)で変わってきます。

Amazonでは輸出者側で関税を負担する必要があります。(ヨーロッパAmazonなどに輸出する場合はVATも負担することになります)
ただしこれは海外Amazonで販売している場合で日本のAmazonで商品を販売しAmazonグローバルセリングで海外にも配送を行う場合は輸入者が関税を負担することになります。

またeBayなどでは販売ページに輸出者で負担するなど特記しない限り輸入者が関税を支払うことになります。

輸出ビジネスの関税の取り扱いについてまとめ

  • 関税はCIF(CIP)価格に対してかかる
  • AmazonFBA納品ではDDP(関税輸出者負担)
  • 海外Amazon販売で自社出荷で送る場合もDDP
  • 日本Amazon販売でグローバルセリングで売る場合はCIF(関税輸入者負担)
  • eBayなどで販売する場合はCIF

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